長期優良住宅を建てる! メリットやデメリットは?

念願のマイホームで快適な生活を長く維持するためには、住宅の構造や性能を高めておくことが何より重要です。そうした構造や性能を備えた住宅のことを長期優良住宅といいます。長期優良住宅には、快適な生活を長期にわたって維持するだけでなく、税制面の優遇措置を受けられるなど、さまざまなメリットがあります。今回は、長期優良住宅を建てることで得られるメリットや、逆に建てることによって生じるデメリットなどを紹介します。

そもそも長期優良住宅って?

長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいた基準で設計~申請した住宅のことをいいます。耐震性能や省エネ設計など、いくつかの厳しい基準を満たしている場合、所轄行政庁へ申請することで、長期優良住宅として認定されます。。耐震性能や省エネ設計以外にも、劣化対策がきちんと施されているかどうかや、リフォーム・メンテナンスのしやすさが確保できているかどうかも認定基準に含まれます。また、バリアフリー対策や居住環境、維持保全計画なども重要な認定項目です。

日本の住宅は、欧米など諸外国に比べて寿命が短いとされています。日本の平均的な住宅寿命は、新しく建てた家を子や孫の世代まで受け継ぐ前に取り壊してしまうこともめずらしくありません。長期優良住宅は、長い期間にわたっても快適に住み続けられることが期待できる住宅です。それは生活の質を維持につながるだけでなく、税制面での優遇措置が受けられるなど、お金の面でもさまざまな恩恵をもたらしてくれます。

【長期優良住宅のメリット1】住宅ローン控除が有利になる

長期優良住宅に認定されると、住宅ローン控除の最大控除額がアップします。より有利な条件で住宅ローン控除が適用されれば、税金の負担が軽くなります。ただし、住宅の床面積が50平方メートル以上であることや、借入金の償還期間が10

年以上であることなど、住宅ローン控除を受けるためにはいくつかの項目を満たしている必要があります。

長期優良住宅の場合、住宅ローン控除の条件を満たしていれば、借入限度額の優遇措置を適用することが可能です。一般住宅が4,000万円のところを、長期優良住宅なら5,000万円まで引き上げができます。そのため、一般住宅の最大控除額は400万円ですが、長期優良住宅の場合だと10年間で最大500万円まで控除される計算になります。

【長期優良住宅のメリット2】不動産取得税が減額

長期優良住宅なら、不動産取得税も減額することができます。不動産取得税とは、購入や建築で土地や建物を取得したときにかかる税金です。一般の住宅の場合、不動産取得税は1,200万円まで控除の対象になりますが、長期優良住宅だと控除の対象が1,300万円まで引き上げられます。不動産取得税の税率は3%と定められていますから、普通の住宅より100万円だけ控除の対象が高い長期優良住宅なら、100万円×3%で一般住宅より3万円の節税効果が得られる計算です。

ただし、この減額措置は建物の評価額が1,200万円を超える場合にのみ効力を発揮します。そのため、長期優良住宅であっても、狭小地などの小規模住宅では減額措置を受けられない場合もあるので覚えておきましょう。

【長期優良住宅のメリット3】登録免許税の優遇

住宅を登記する際にかかる税金に登録免許税というものがあります。登録免許税は、一般の住宅にも軽減措置がとられており、完成した建物の登記をする場合、通常なら0.4%の税率がかかるところを、一般住宅の場合は0.15%に軽減されています。これは個人の不動産売買を促進することが目的です。一方、長期優良住宅の場合、一般住宅よりもさらに税率が軽減され、その税率はわずか0.1%に過ぎません。

たとえば、住宅の評価額が1,000万円だった場合、一般の住宅なら1万5,000円の登録免許税がかかるところ、長期優良住宅なら1万円しか登録免許税がかからないことになります。つまり、この場合だと、5,000円の節税効果が望めるということです。また、住宅を建築・購入したときだけでなく、不動産の所有権を移転する登記をしたときも軽減税率が適用されます。通常なら2.0%ですが、一般住宅では0.3%に、さらに長期優良住宅なら0.2%まで軽減されます。

【長期優良住宅のメリット4】固定資産税の優遇

長期優良住宅には、固定資産税の優遇措置もあります。床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下の場合、一般の一戸建てなら3年間、マンションなら5年間は2分の1に減額されます。一方、長期優良住宅の場合、一戸建てなら5年間、マンションなら7年間と、減額措置が一般の住宅よりも長くなります。

固定資産税の税率は1.4%です。たとえば、評価額が1,000万円の住宅の場合、固定資産税は年間14万円となるのが通常です。一般の新築住宅の場合、3年間は2分の1に軽減されるので、年間の固定資産税は7万円まで軽減されます。これが長期優良住宅なら、一戸建ての場合で5年間の減額措置を受けられますから、同じ評価額1,000万円の住宅だったとしても、通常の住宅に比べて2年間分の固定資産税14万円が節約できる計算になります。

【長期優良住宅のメリット5】所得税の投資型減税がある

投資型減税とは、ローンを組まずに住宅を購入するときに所得税が控除される制度のことをいいます。つまり、自己資金だけで住宅を購入したときに、その年の所得税を少しだけ少なくできる制度ということです。住宅の性能を強化するためにお金がかかった場合、その10%にあたる金額を所得税額から控除することができます。控除対象限度額は消費税が8%または10%の場合は650万円、それ以外の場合は500万円です。ただし、控除額が所得税額を上回った場合、その分を翌年へ繰り越すこともできます。

所得税の投資型減税を受けられるのは、長期優良住宅や低炭素住宅など一部の基準を満たした住宅に限られます。これは耐震機能や省エネ性能など、住宅を強化するのにかかった金額が対象になるためです。ただ、減税措置を受けられるのは居住を開始した年だけで、さかのぼって申請することはできないので注意しましょう。

長期優良住宅のデメリットは?

長期優良住宅にも、いくつかデメリットがあります。まず、長期優良住宅は申請から認定までに時間がかかってしまうことです。長期優良住宅を建てるための打ち合わせや認定申請書をはじめとする提出書類の準備、所管行政庁への申請手続きなど、通常の住宅を建てるよりも時間と労力を必要とするでしょう。認定を受けた計画を変更する際は、変更認定申請書の提出も必要です。

また、時間だけでなく、コスト面のデメリットもあります。長期優良住宅で長く快適な生活を実現するためには、通常の住宅よりも設備面を充実させなければなりません。そのため、建築コストはどうしても上がる傾向にあります。また、申請するのにも数万円程の費用がかかりますし、長期優良住宅の維持にも費用が発生します。定期的な点検をしたり、メンテナンスが必要となるためです。長期優良住宅には、こうしたデメリットもあることを理解しておきましょう。

長期優良住宅は税金面で有利!

長期優良住宅には、とりわけ税制面で大きなメリットがあります。税金を減らしたい人にとって、長期優良住宅は節税効果が得られる魅力的な住宅でもあります。それだけでなく、長く快適に過ごせるという点や、耐震強度が高く安心して住める点もメリットのひとつです。もちろん、長期優良住宅を建てるためには、建築コストやランニングコストもしっかり計算しておかなければなりません。

快適な住環境で暮らすためには、それ相応のコストがかかるもの。健康を維持するために、意識して運動をしたり、人間ドックを受けたりするのと同じように、住宅の健康を守るためにも、定期的な点検やメンテナンスは欠かせません。、長期優良住宅の場合、税制面での優遇措置を受けられるため、建築や維持にかかるお金をいくらか軽減することもできます。税金を節約したい人や、快適な暮らしを実現したい人などは、長期優良住宅を検討してみるとよいでしょう。             

(最終更新日:2019.10.05)
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