マンション売却には税金がかかる! 計算方法や手続きは?

不動産の譲渡や売却を行う際には、法が定める税金を納める必要があります。マンション売却の場合も、売却して利益を得ると一定の税金がかかるので、どんな税金がどのくらいかかるのか、どのような手続きをすればよいのか知っておかなくてはなりません。この記事では、これからマンションの売却を考えている人に、税金の仕組みや計算方法、手続きについて解説します。

マンションを売却したときの譲渡所得を計算しよう!

譲渡所得とは、土地や建物を譲渡したときに生じる税金のことをいいます。譲渡所得は所得税の一種です。マンションを売却したときに利益を得ると、この譲渡所得がかかります。

譲渡所得の計算方法は、

「譲渡所得=収入金額-取得費(購入代金や建築費など)-譲渡費用(仲介手数料や印紙税など)」

です。

収入金額は、土地や建物を売却したときに買主から受け取る金銭の金額のことを差します。これに加え、一定の要件を満たした場合には特別控除額も差し引かれます。

不動産を売るときには、得た利益から、その不動産を購入したときにかかった費用(取得費)と売るときにかかった費用(譲渡費用)を引いてもらえるということになります。

参考:【国税庁】No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

マンション売却時の必要経費に含まれるものとは?

マンションを売却して利益が出ると、譲渡所得となり所得税が発生します。税額を決定するにあたっては、譲渡にかかった費用を必要経費として差し引いてもらうことができます。

マンション売却時の経費に含まれるものとしては、取得費譲渡費用の2つがあります。

取得費には、土地や建物の購入代金、建築代金、取得時の仲介手数料などがあります。また購入時にかかった税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税)も該当します。測量費もこれに含まれます。

譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことをいいます。具体的には、土地や建物を売るために不動産業者に支払った仲介手数料、印紙税で売主が負担したもの、貸家を売るために借家人に家屋を明け渡してもらうための立退料などです。

参考:【国税庁】No.3255譲渡費用となるもの
参考:【国税庁】No.3252取得費となるもの

マンションを売却したときにかかる税金の種類と計算方法

マンションを売却したときにかかる税金には、譲渡所得税住民税の2種類があります。

これは、マンションの売却で利益が出た場合に課税されるものです。譲渡所得税と住民税の計算方法を知っておきましょう。計算式は、譲渡所得額によって異なります。

譲渡所得額が6,000万円未満の場合は、

譲渡所得税=譲渡所得×10%(復興特別所得税2.1%)
住民税=譲渡所得×4%

です。

譲渡所得額が6,000万円以上の場合は、譲渡所得が6,000万円までの部分は、譲渡所得額が6,000万円未満の場合と同じです。

譲渡所得が6,000万円を超える部分については、

譲渡所得税=譲渡所得×15%(復興特別所得税2.1%)
住民税=譲渡所得×5%

となります。

短期保有(5年未満)で売却した場合は、

譲渡所得税=譲渡所得×30%(復興特別所得税2.1%)
住民税=譲渡所得×9%

となっています。

マンション売却後の確定申告!手続きの流れ

マンション売却後の確定申告は、売却した翌年の2月16日から3月15日までに行うことが必要です。

まず、譲渡所得の内訳書、売買契約書や売買代金受領書の写しなど売却したときの書類、取得時の資料、売却した土地・建物の全部事項証明書、戸籍の附票などの必要書類を準備します。

国税庁のホームページまたは税務署で申告書を入手し、国税庁のホームページから入力または手書きで書類を作成します。

そして、住所地の税務署へ申告書と添付書類を送付して完了です。

マンション売却で損失が出たときに適用される特例

マンション売却で損失が出たときには、特例が適用されます。

まず損益通算の特例です。売却に伴う損失分を、その年のほかの所得と相殺することができるという制度です。

次に、繰越控除です。損益通算をして損失が控除しきれない分があっても、その年の他の所得と損益通算することは原則としてできません。

例外的に、長期譲渡所得(譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える土地又は建物の譲渡による所得)で居住用財産を譲渡し、一定の要件を満たす場合には、譲渡した年の事業所得や給与所得など損益通算をすることができます。

それでも損失を相殺しきれない場合には、翌年以降の所得から3年間繰り越して差し引けるようにしたのが繰越控除です。

参考:【国税庁】No.3203不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合

相続したマンションを売却する際の特例措置

住んでいた家を相続して売却する場合にも、さまざまな特例が適用されます。

たとえば、マイホーム(居住用財産)を売ったときに、長期所有・短期所有に関わらず譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例です。この特例を活用することで、譲渡所得税がかからない方が大半でしょう。

さらに、法が定める5つの要件を満たす場合には10年超所有の場合の軽減税率の特例も受けられます。特定の居住用財産の買換え特例もあり、いずれも一定の適用要件があるので調べておきましょう。

また、マイホームの買い換えの場合の譲渡損失の繰越控除、特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除なども使えます。

参考:【国税庁】No.3302 マイホームを売ったときの特例
参考:【国税庁】No.3302 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

マンション売却に関わる税金の仕組みを理解しよう!

マンション売却を行う際には、税金に注意する必要があります。売却によって利益が出た場合には税金がかかり、損失が出た場合には、ほかの所得で相殺できるということを知っておきましょう。あらかじめ仕組みを理解しておくことで、いろいろな手続きがスムーズにできるようになります。知識を身につけて、正しい手続きを行いましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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