マンションの新築・中古物件のチラシがポストに入っていることがあります。見ると外観や間取りはすぐに目につきますが、細かい情報についてはあまりチェックをしない方も多いと思います。ちょっと気になるチラシを見つけたら、どのような点に気をつけて確認すればよいのでしょうか。今回は、マンションの住宅チラシの見方を知りたい方のために、押さえておきたい3つのポイントについて紹介していきます。
マンション住宅チラシの見方3つのポイント
マンションの住宅チラシは、カラーでたくさんの写真が載っていたり間取り図が大きく記載されていたりするので、見ているだけで楽しくなる人もいるでしょう。しかし、チラシに記載されているマンションに興味をもって、実際に購入を検討するのであれば、チラシの内容をしっかり確認する必要があります。
マンションの住宅チラシを確認するときに気をつけておきたいポイントは、以下の3点です。
【1】宅地建物取引業免許の番号を確認する
【2】チラシに掲載されている外観の写真だけで判断しない
【3】チラシの情報だけに頼らず自分の目で実際に確認する
これら3つの見方や考え方について、これから詳しく説明していきます。
まず確認! 宅地建物取引業免許の番号
宅地建物取引業免許は、不動産会社が不動産の売買や仲介などの取引をするために必要な免許です。住宅チラシには、必ずそのチラシに載っているマンションの売買・仲介をする不動産会社名とともに、宅地建物取引業免許の免許番号が記載されているので確認しましょう。
この免許番号から一般的な情報が読み取れます。宅地建物取引業免許は、ひとつの都道府県内に事務所がある場合には都道府県知事の免許になります。一方で、大手の不動産仲介会社は全国各地に事務所や営業所があるので、国土交通大臣の免許が必要です。
免許番号の更新回数の多さは、営業年数の長さ
宅地建物取引業免許に記載されている内容は、国土交通大臣または都道府県知事・更新回数・免許番号で、特に気にしておきたいのが宅地建物取引業免許の更新回数です。(1)(3)などのようにカッコの中に更新された回数が数字で記載されています。免許の更新は5年に一度行われます。平成8年3月までは3年ごとの更新でした。カッコの中の数字から、何回免許を更新しているかがわかり、一般的には数字が大きいほど営業年数が長い会社です。営業年数が長いということは、ある程度信頼できる会社といえるでしょう。
一方で、更新回数が少ないからといって信用できない不動産会社というわけではありません。なぜなら、いままでひとつの都道府県内で事務所を構えていた不動産会社が事業拡大により他の都道府県にも支店を開設することがあります。その場合、都道府県知事免許から国土交通大臣の免許に変更になるので、更新回数は(1)と表記されます。
そのため、更新回数の数字が小さいから必ずしも営業年数が少ないというわけではありません。宅地建物取引業免許の更新回数が多いほど長年営業しているため、信頼の目安にはなりますが、例外も存在することを覚えておくとよいでしょう。
(参考記事:トラブルを未然に防ぐ!悪徳不動産業者の見分け方と土地・建物購入時の注意点)
危険! チラシに乗っている外観やイメージだけで判断することはNG
マンションのチラシには、新築から中古までさまざまな物件があります。特に新築マンションのチラシは、CGを用いて完成前の予想図を記載していることがあるので注意が必要です。なぜなら、物件のイメージをよく見せるために、電線や電柱、近隣の建物は再現せず、植栽は成長後の理想的な状態で作成されていることがあるからです。あくまでも完成予想図であり、完全に再現されているわけではないことを意識しておきましょう。
魅力的なチャッチコピーに要注意
また、素敵なキャッチコピーにも惑わされないようにしたいものです。チラシは購入する人をできるだけ多く集めるためのツールなので、魅力的に作成されているものなのです。チラシのイメージだけにとらわれず、チラシに記載されている「物件概要」についてチェックしておくことが大切でしょう。「物件概要」は、そのマンションの基本的な情報が記載されています。築年月日・販売戸数・管理費や修繕積立金などの情報です。文字が小さいので面倒に感じるかもしれませんが、大切な情報なのでしっかり確認しておきましょう。
チラシに掲載の間取りは人気物件のため予約済みのことも
また、中古マンションの場合はそれほど心配ありませんが、新築マンションのチラシで注意したいのが間取り図です。チラシに掲載される間取りは方角や窓からの眺望もよく、価格も含めて最もバランスのとれた、いわゆる人気の間取りであることがほとんどです。購入者の興味を引きそうな間取りを掲載しているため、実際にマンションの資料を取り寄せ、問い合わせた頃にはすでに予約済だったということもあるでしょう。
さらに、マンションの所在地の紹介とともに案内図が記載されていることがあります。案内図には、最寄り駅・公共施設・商業施設・学校など生活に欠かせない情報が載っています。しかし、利便性や人気のある施設は積極的に記載されていますが、そうではない施設はあえて記載しないことがほとんどです。そのため、案内図に白地部分があるときは事前に地図で確認しておくとよいでしょう。マンションは近隣の環境で住み心地が左右されますので、マンションの外観やチラシのイメージだけに惑わされないようにしましょう。
重要! 周辺環境などは自分の目で実際に確認する
売り出し中のマンションのチラシを見ていると、必ず記載されているのが最寄りの駅やバス停から徒歩何分という内容です。通勤や通学は毎日のことなので、交通の利便性が気になる人は多いでしょう。この「徒歩何分」という記載にも注意が必要です。なぜなら、この基準は1分あたり80mの距離を歩くことを想定しています。
たとえば、駅に到着するまでに坂道が多い場合や、想定よりも歩くスピードが遅い人は、チラシ通りの時間では駅に着かない可能性が高くなります。また、地下鉄が最寄り駅の場合、改札から出口までの距離が相当あるにもかかわらず、駅の地上に出てからマンションまで徒歩何分と表記されていても、実際にはそれ以上の時間がかかることがほとんどです。
また、日当たりや交通騒音などは実際に自分で確認しないとわからないでしょう。周辺にどんな施設があるのか、公園などの雰囲気はどのような感じなのかは、マンションを見学するときに必ずチェックしておくことが大切です。自分が長く住む場所なので、マンションだけでなく周囲の環境や利便性などをしっかり確認しておきましょう。
納得のいく住宅購入を!
住宅は一度購入すると簡単に住み替えはできません。大きな金額が動きますので、人生の中でも大きな決断のひとつといえるでしょう。チラシには住宅の魅力が最大限にアピールされているということを心得て、外観の写真やキャッチコピーに惑わされることなく、納得のいくまで時間をかけて選ぶことが大切です。購入後に後悔しないためにも、実際に自分の足で現地を確認するなど、手間は惜しまないようにしましょう。
(最終更新日:2019.10.05)