引っ越し準備“することリスト” 役所での手続きは、できるだけまとめて効率的に

引っ越しに伴う手続きは多岐にわたっています。特に、生活の基盤を支える公的なものは、きちんと手続きできていないと、いざという時に困ってしまいます。時間のない中、何度も役所へ足を運ぶのは大変ですし、できればまとめて済ませたいですよね。そこで、引っ越しの際に自治体等で済ませる公的な手続きはどのようなものがあるのか、ARUHIマガジン編集部が調べてみました。

引っ越しに必要な手続き

引っ越し前の旧住所地の役所と、引っ越し後の新住所地の役所でそれぞれ必要な手続きがあります。引っ越し先が同じ市区町村内かどうかでも手続きが異なってくるので、それぞれしっかり確認しておきましょう。

転居届(転出届&転入届)

住所地の自治体に住民票が登録されているので、引っ越しに伴い変更の必要があります。同じ市区町村内で転居する場合は、「住民異動届」の「転居届」の欄にチェックを入れて提出するだけで手続きは完了します。市区町村が変わる場合は、それぞれの役所で「転出届」と「転入届」を行います。引っ越し前14日以内に、転居前の自治体の役所で「住民異動届(転出届)」をもらって必要事項を記入し「転出届」を行います。手続きが完了すると「転出証明書」が発行されるので、それを持って、引っ越し後14日以内に転居先の自治体の役所で再度「住民異動届」に必要事項を記入し、「転入届」を行います。なお、「転出届」は代理人に手続きをしてもらうことも可能です。その場合は委任状が必要になります。また、郵送での手続きも可能ですが、「転出証明書」を返送してもらうのに1週間程度かかることがあるため、転入手続きに間に合うよう、早めに手続きを済ませましょう。

転校手続き

旧住所地の学校で転校手続きをすると、「在学証明書」と「教科書給与証明書」が発行されます。このうち「在学証明書」を、転居先の自治体へ転居手続きの際に提出すると、「転入学通知書」が発行されます。そして、転校先の学校へ「在学証明書」「教科書給与証明書」「転入学通知書」を提出すると転校手続きは完了です。なお、公立と私立とでは手続きに若干の違いがあるので、転校先へあらかじめ確認しておきましょう。

国民健康保険&介護保険

自営業者や自由業者などで国民健康保険に加入している方や、65歳以上で介護保険に加入されている方は手続きが必要です。同市町村内での転居など管轄の自治体が変わらない場合は、引っ越し後14日以内に住所変更手続きをするだけで完了となりますが、管轄の自治体が変わる場合、引っ越し前に各保険証を返却して「資格喪失手続き」を行い(代理人に委任も可)、引っ越し後に再度加入しなければなりません。そのため、資格を喪失してから再度加入するまでの間、保健に未加入という状態になってしまいます。この間、万が一病気やケガなどで病院へかかると保険がきかないため、全額負担することになります。再度加入後には資格喪失中に支払った金額のうち、保健適用分は戻ってきますが、資格喪失中に病院へかかる際は一時的にお金がかかるため、財布の中身にやや余裕を持たせておくと安心です。また加入手続きの際、保険料を口座振替で支払う場合には預金通帳や銀行届出印が必要となるので、忘れないようにしましょう。

国民年金

自営業などで国民年金に加入している場合、転居後14日以内に転居先の自治体の国民年金担当課の窓口へ「被保険者住所変更届」を提出します。この際、年金手帳と印鑑が必要となります。手続きが遅れて未納期間が発生してしまうと、将来受け取る年金額に影響が出てくる可能性もあるため、忘れずに手続きを済ませましょう。なお、会社勤めの方や扶養に入っている方は勤務先に「被保険者住所変更届」を提出すれば手続きは完了します。

印鑑証明

不動産や車などの購入・相続などに必要な印鑑証明は、各自治体で印鑑登録をしているため、市区町村が変わる場合に手続きが必要です。まず旧住所地の自治体での印鑑登録をいったん廃止し、引っ越し後に転居先の自治体で登録しなおします。廃止の際は印鑑登録証と登録している印鑑を、再度登録する際は印鑑のみを持っていきましょう。廃止も登録も手続きの期日は設けられていませんが、役所に出向いたついでに、ほかの手続きと一緒に済ませるとよいでしょう。

福祉関係

子どもや高齢者がいる場合、児童手当や医療費受給者証の手続きが必要です。どちらも、市区町村が変わらない場合、転居届を提出すれば自動的に住所が変更されます。市区町村が変わる場合は、それぞれに手続きが必要となってきます。

児童手当

旧住所地の自治体で児童手当受給事由消滅届を提出し、転居先で再申請します。転居先の自治体窓口で「児童手当認定請求書」に必要事項を記入し、振込先金融機関がわかる書類、請求者の健康保険証のコピー、そして「所得課税証明書」を提出します。「所得課税証明書」は旧住所地の自治体でもらうことができるので用意しておきましょう。なお、転出から15日以上たってしまうと受け取る手当が少なくなることがあるので、忘れずに手続きを済ませましょう。

医療費助成

旧住所地の自治体へ転出日以降に「医療証」を返却し、転入後すみやかに医療費助成の再申請を行います。自治体窓口へ該当者の健康保険書と所得課税証明書を持参して手続きをしましょう。

原動機付自転車(原付バイク)

市区町村が変わらない場合、転居届を出せば自動的に住所変更がされます。市区町村が変わる場合、旧住所地の自治体へ廃車申告書を提出し、ナンバープレートを返納します。手続きが完了すると「廃車申告受付書」が発行されるので、それを持って転居先の自治体へ転出届と一緒に提出すると、新しいナンバープレートがもらえます。なお、転居先の自治体へ標識交付証明書とこれまで使っていたナンバープレートを持っていくだけでも手続きできるので、一度で済ませたい方はこちらの方法がおすすめです。

ペット登録

犬をペットとして飼っている場合、市町村への届け出が必要となります。引っ越し前の手続きは不要ですが、引っ越したら30日以内に転居先の役所か保健所で登録変更を行いましょう。その際に、旧住所地で交付された犬鑑札と狂犬病予防注射済証が必要です。犬の他にも、爬虫類や鳥類など、国の特定動物となっているペットは、都道府県ごとに届け出が必要なため、住所変更しなければなりません。該当する場合、保健所や動物保護センターなどに確認しておきましょう。

マイナンバー

マイナンバーカードの記載内容の変更をしなければなりません。転居先の役所に提出するだけで完了です。手続き期間は、引っ越し後14日以内です。こちらもほかの手続きのついでに済ませるのがおすすめです。

引っ越し準備“することリスト”

 ✓  手続きの種類  必要なもの  同じ市区町村への引っ越し  違う市区町村への引っ越し  手続き期間
   転居届  ・本人確認書類(運転免許証など)
・印鑑
 要  不要  引っ越し前14日以内
   転出届  ・本人確認書類(運転免許証など)
・印鑑
※代理人にお願いする場合は委任状
 不要  要  引っ越し前14日以内
   転入届  ・本人確認書類(運転免許証など)
・印鑑・転出証明書
 不要  要  引っ越し後14日以内
   転校  ・在学証明書
・教科書給与証明書
・転入学通知書
 要  要  引っ越し後14日以内
※旧住所地の学校へは引っ越しが決まり次第すぐに申し出を
   国民健康保険(資格喪失届)  ・国民健康保険証
・印鑑
※代理人にお願いする場合は委任状
 不要  要  引っ越し前14日以内
   国民健康保険(加入届)  ・印鑑
・転出証明書
・預金通帳
・銀行届印
 不要
※引っ越し後14日以内に住所変更手続きのみ行う
 要  引っ越し後14日以内
   介護保険(資格喪失届)  ・介護保険被保険者証
・印鑑
※代理人にお願いする場合は委任状
 不要  要  引っ越し前14日以内
   介護保険(加入届)  ・印鑑
・預金通帳
・銀行届印
※要支援・要介護の認定を受けている場合は受給者証明書
 不要
※引っ越し後14日以内に住所変更手続きのみ行う
 要  引っ越し後14日以内
   国民年金  ・年金手帳
・印鑑
 要  要  引っ越し後14日以内
   印鑑証明  ・印鑑登録証
・登録の印鑑
※登録の際は印鑑のみ
 不要  要  特になし
   児童手当  ・振込先金融機関がわかる書類
・請求者の健康保険証のコピー
・所得課税証明書
 不要  要  引っ越し後15日以内
   医療費助成  ・所得課税証明証
・該当者の健康保険証
 不要  要  引っ越し後すみやかに
   原動機付自転車  ・廃車申告受付書または標識交付証明書
・ナンバープレート
 不要  要  引っ越し後14日以内
   ペット登録(犬のみ)
※爬虫類等の国定動物は動物保護センターに確認
 ・犬鑑札
・狂犬病予防注射済証
 不要  要  引っ越し後30日以内
   マイナンバー  ・マイナンバーカード  要  要  引っ越し後14日以内

まとめ

多くの手続きがあり、準備するものも多種多様で、引っ越しをするのは本当に大変です。荷造りしていくうちにどこに何があるのか分からなくなってしまわないよう、必要なものをリストアップし、あらかじめまとめておくと安心ですね。各家庭の状況や引っ越し先の地域によっても手続きは異なってくるため、早めに調べて、必要な書類や手続き期間を確認して、しっかり準備を進めていきましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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