住宅ローンの本審査が通った後に、融資取り消しになってしまうことはあるのでしょうか。住宅ローン審査は慎重に行われるため、基本的に審査が通った後の融資取り消しは考えにくいことですが、あり得ないことではありません。どんな場合に融資が取り消しになる可能性があるか、また融資取り消しによってマイホームの売買契約をキャンセルした場合、違約金などペナルティは発生するのかご説明します。
本審査の結果が覆ってしまうことはある?
以前、住宅ローン借り入れのご相談を受けていたお客さまに「融資が取り消しになることはありますか?」と聞かれたことがあります。そのお客さまは、すでに住宅ローンの本審査を通過して、融資の実行を待つだけという状況だったのですが、「もしかして…」と心配になって質問をしてきたのです。
そのお客さまは何の問題もなく融資が実行されましたが、住宅ローンの本審査が通った後、融資実行日までには少し間があります。融資実行日とは、金融機関によって実際に融資が行われる日のこと、つまり、融資を受けた住宅の購入資金が銀行口座など振り込まれる日のことをいいます。
通常、融資実行日には住宅購入代金の決済と鍵の引き渡しが同時に行われますが、本審査の結果が出てから融資実行を待つ間に、審査の結果が覆ってしまうことはあるのでしょうか?仮にそうなってしまったら、どんな問題が生じるのでしょうか。改めて考えてみましょう。
融資実行の取り消しはない?
融資の取り消しについてお話しする前に、まずは融資実行までの流れを確認して、金融機関がどんな審査をしているかをおさらいしておきましょう。
【融資実行までの流れ】
1. 事前審査 金融機関が、本人に返済能力があるか審査します
2. 本審査 金融機関と保証会社によって、物件の担保価値・本人の健康状態など、総合的に審査されます
3.金銭消費貸借契約 金融機関と本人とのお金の貸し借りについての契約を締結します
4.融資実行 住宅購入資金が振り込まれ、手付金・前払い金等の清算と決済を行い、住宅が引き渡されます
融資が実行される時には、抵当権の設定登記も同時に行われます。抵当権とは、金融機関がお金を貸す時に、万が一、お金の回収ができなくなった場合に備えて、家や土地を担保として確保しておくための権利です。住宅ローンは、購入する住宅を担保にしてお金を借り入れするものなので、購入した住宅に金融機関が抵当権を設定するのです。ただし、住宅が完成していなければ抵当権の設定登記はできないため、新築マンションを購入した場合など、スケジュールによっては融資の本審査が通ってから融資が実行されるまで間が空くことになります。 その間に融資が取り消される場合があるのかどうか、ということですが、原則論を申し上げれば、事前審査、本審査という2段階の審査を経た結果の「融資実行」であり、基本的には融資の取り消しは考えにくいものです。
とはいえ、融資をするかどうかは、あくまでも金融機関が判断することですから、その判断によっては例外も起こりえます。言い換えれば、審査結果が出てから融資が実行されるまでの間に、金融機関は「やはり融資はできない」と判断するに値する事情があった場合には、融資実行が取り消される可能性があると考えておくべきでしょう。
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