子どもの成長に合わせて家を新築したり、転勤のために住み慣れた土地から離れたりと、多くの人にとって、人生のなかで「引っ越し」はつきものです。荷造りをしたり、各種手続きに追われたりと、心身共にへとへとになってしまう引っ越し作業。そこでつい後回しになりがちなのが、「隣近所への挨拶」です。昔に比べてご近所付き合いも希薄になっていることから、「引っ越しの挨拶なんて必要ないのでは?」と考えている人もいるかもしれません。しかし、地域社会の中で気持ちよく暮らしていくためには、円滑な人間関係を築くことが何より大切。基本となる挨拶は、おろそかにできません。そこで、引っ越しの挨拶で気を付けたいポイントやマナーなどをARUHIマガジン編集部が調べてみました。
引っ越しの挨拶の範囲とマナー、伝えるべき内容
引っ越しする際の近所への挨拶は、それまで暮らしていた旧居と、これから新生活が始まる新居のどちらでも行います。一軒家ならば両隣の2軒と向かい側3軒、裏にあたる1軒へ、マンションなどの集合住宅ならば両隣2軒と上下階の2軒へ挨拶するのが一般的です。自治会などがある場合は、会長や班長など、地域のとりまとめとなっている人にも挨拶をします。
また、マンションでは管理人や大家にも、退去の連絡とは別にきちんと挨拶を。旧居・新居と合わせると、挨拶だけでもかなりの労力を割くことになります。慌ただしい中でもしっかり挨拶して回れるよう、タイミングやマナーなどのポイントをきっちり抑えて準備しておきましょう。
【引っ越し時の挨拶 ※一般的なケース】
引っ越し前後の挨拶をするタイミング | 旧居、新居どちらのご近所へも挨拶を行う |
一軒家の場合 | 両隣の2軒と向かい側3軒、裏にあたる1軒へ挨拶する |
マンションなどの集合住宅の場合 | 両隣2軒と上下階の2軒へ挨拶する |
管理人や大家にも、退去の連絡とは別に挨拶をする | |
自治会などがある場合 | 会長や班長など、地域のとりまとめとなっている人に挨拶する |
【旧居のご近所さん】
・タイミング
引っ越しをする1週間前から挨拶に回り、前日までに済ませておきましょう。特に親しくお付き合いしていた家庭には、具体的な引っ越し日が決まったところで、早めに挨拶をしてもよいでしょう。挨拶に伺う時間帯は、各家庭の生活サイクルに合わせて柔軟に。日中の明るい時間帯が基本ですが、相手宅が共働きなどで日中不在がちな場合は、19~20時のやや遅い時間帯でも失礼にあたりません。どうしても会えなかった場合、簡単な挨拶文を書いた手紙をポストに入れてもよいでしょう。
・挨拶の言葉
「長い間お世話になりましたが、●月●日に引っ越すことになりました。当日は作業でご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」と、これまでお世話になったお礼と合わせ、引っ越し作業に伴う業者の出入りや騒音などについてもあらかじめお断りしておきましょう。また、引っ越した後に宅配物が誤配送されることもあるため、隣家には新居の住所や連絡先を伝えておくと安心です。
・ギフト
挨拶だけで十分ですが、500円以下のプチギフトを渡せば、より好印象です。不在で直接渡せないこともあるため、手紙と一緒にポストに入れられるよう、かさ張らないものを選んでおくのがおすすめです。
【新居のご近所さん】
・タイミング
マンションなどの集合住宅は、引っ越し当日、または翌日中に挨拶に出向きます。新築一軒家の場合は、建築中から騒音や業者の出入りでご近所に迷惑をかけるため、着工前に挨拶を済ませておいた方がトラブル回避にもなり、おすすめです。挨拶に伺う時間帯は、平日であれば10~17時の明るい間に。休日は、午前中にゆっくり過ごしたい家庭も多いため、午後からうかがう方がよいでしょう。
・挨拶の言葉
新築一軒家などで引っ越し前に挨拶に伺う場合は「●月●日に引っ越しを予定しております●●(名前)と申します。新居建築中や、引っ越し当日はご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」と、挨拶と一緒にお断りもしておきます。マンションなど引っ越し当日または翌日に挨拶する場合は、「このたび隣(近く)に引っ越して参りました●●と申します。今後ともよろしくお願いいたします」と挨拶します。この場合、夫婦だけでなく子どもも一緒に、家族そろって挨拶に回りましょう。
・ギフト
500~1000円程度の挨拶品を準備しておきます。これから長いお付き合いが始まるので、できるだけ会って挨拶するのが好ましいですが、どうしても会えない場合は、旧居での挨拶と同様、手紙を添えてポストに入れるようにします。その場合も、後日、タイミングを見計らって早めに直接挨拶をしましょう。
ギフトの選び方
金額の相場はどのくらい?
前にも紹介したとおり、旧居のご近所へは挨拶品がなくてもマナー違反ではありません。もし渡すのであれば、相手の負担にならない500円以下の少額のものがよいでしょう。また、新居への挨拶品は500円~1000円程度が一般的です。
定番・人気アイテムってあるの?
ウエディングのプチギフトなどには流行りや人気アイテムなどをよく耳にしますが、引っ越しの挨拶品にも定番人気アイテムはあるのでしょうか? 引っ越し比較・予約サイトの「引っ越し侍」が行った「引っ越しの挨拶に持っていく品物の相場と人気ランキング」によると、1位:お菓子、2位:洗剤、3位:タオルという結果に。また、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの通販サイトで「引っ越し」「挨拶」「ギフト」というキーワードで検索しても、タオルや洗剤、お菓子がレビュー評価の高い順にピックアップされます。
贈り物の定番であるタオルは、引っ越し挨拶品としても根強い人気!
どこの家庭でも必ず使われますし、定期的に新しいものに交換したいものなので、多くの方に喜ばれそうですね。洗剤もタオルと同じく日常的に使用するものですが、香りや使用感など、各家庭によって好みが分かれるため、選ぶ際にやや迷うことも。香りの強い海外製品やマイナーなものより、国内大手メーカーの主力製品が無難です。お菓子は、子どものいる家庭にはクッキー、年配夫婦ふたり暮らしにはせんべいやあられなど、日持ちのする焼き菓子が好評のよう。
しかし、家庭によってはアレルギーで食べられないこともあるので、日用品の方がやはり安心かもしれません。タオルや洗剤などの人気定番アイテムをはじめ、ラップやキッチンクロス、贈答用のトイレットペーパーなど、気兼ねなく使える消耗品がおすすめです。また、贈るものはささやかな品であっても、挨拶のためのものなので、きちんとのしを付けて渡すことをお忘れなく。
どこで買ったらいい?
忙しくて買い物の時間が十分に取れない場合は、近くのスーパーで購入したり、Amazonや楽天などネットで注文したりすることもできます。なお、のしは包装の外側にかける「外のし」が一般的で、紅白の花結び(蝶結び)を使い、水引の上に「ご挨拶」、下に名前の苗字だけを入れます。デパートやイオンなどの大型ショッピングモールなら、のしや包装まできちんとそろえてくれるので、便利でおすすめです。
まとめ
贈り物の準備から挨拶回りまで、引っ越し作業と同時進行していくのはなかなか大変です。しかし、挨拶ひとつでご近所さんに与える印象も変わってくるので、マナーを守った気持ちのよい挨拶を心がけたいものです。今回ご紹介したポイントをぜひ参考にしてくださいね。
(最終更新日:2019.10.05)