Q. 老親の住む実家のリフォームを考えています。古い家なので費用がふくらみそうで心配なのですが、リフォーム工事に利用できる補助金制度はありますか。(40代/男性)
A.国や地方自治体には、一定の要件を満たすリフォーム工事に対する補助金制度があります。リフォームの目的に合わせて、早めに情報を集めましょう。
期間限定の補助金制度もあり。早めに情報収集を
バリアフリー化や省エネ化、耐震化など、リフォームの目的に応じた補助金制度が国や都道府県・市区町村などの地方自治体には設けられています。地元の工事業者で施工することや地元の材料を使うことなどを条件とした補助金制度などもあります。
ただし、こういった補助制度には一定の予算があり、期間限定で設けられる場合も多いので注意が必要です。予算がなくなり次第、当初設定された期間よりも早く受付終了となることもあります。しかし、期限が延長されたり、あらたな補助制度が設けられたりすることもあります。リフォームに補助金を利用するなら、リフォーム計画を進めつつ、随時補助金制度の状況を確かめ、情報を集めていきましょう。
「平成29年度長期優良住宅リフォーム推進事業」は、工事費用の3分の1を補助
高齢のご両親が長く住み続けるためのご実家のリフォームであれば、国の「平成29年度長期優良住宅リフォーム推進事業」の対象となるかもしれません。この事業の当初の交付申請などの締め切りは平成29年中とされていましたが、締め切りが延長されています(下記図表1)。
<表1 「通年申請タイプ」の交付申請期限等の延長>
事業者登録期限 |
平成30年1月31日(水) |
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交付申請書の提出期限 |
平成30年2月23日(金)郵送必着 |
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延長後に交付申請書が提出された事業の完了実績報告書の提出期限 |
戸建住宅(下記を除く共同住宅等) |
平成30年9月28日(金)郵送必着 |
共同住宅の共用部分を含む場合 |
平成30年11月30日(金)郵送必着 |
この事業は、「質の高い住宅ストックの形成および子育てしやすい環境の整備を図るため、既存住宅の長寿命化や三世代同居など複数世帯の同居の実現に資するリフォームを推進する」ことを目的とした制度です。表2のような工事の費用の3分の1が、一定額を限度に補助されます(補助限度額は事業タイプによって100万円・200万円・250万円と異なる)。
三世代同居対応改修工事も行う場合は、事業タイプにかかわらず1戸あたり50万円を限度として加算されます。いずれの工事も、事前にインスペクション(専門家による診断)を行い、維持保全計画やリフォーム履歴を作成するなどの要件があります(下記図表3)。
<表2 平成29年度長期優良住宅リフォーム推進事業の補助対象となる工事>
【1】特定性能向上工事 | |
以下の性能項目の基準を満たすための性能向上工事 | |
a.劣化対策 | |
b.耐震性 | |
c.維持管理・更新の容易性 | |
d.省エネルギー対策 | |
e.高齢者対策(※共同住宅等のみ) | |
f.可変性(※共同住宅・長屋のみ) | |
【2】その他性能向上工事 | |
【1】以外の性能向上工事 | |
・インスペクションで指摘を受けた箇所の改修工事(外壁、屋年の改修工事等) | |
・バリアフリー工事 | |
・一定水準に達しないc~fの性能向上に係る工事等。ただし【1】の工事費を限度 | |
【3】三世代同居対応改修工事費用、インスペクション費用、維持保全計画作成費用 |
<表3 平成29年度長期優良住宅リフォーム推進事業活用の要件>
【1】 | リフォーム公示前にインスペクション(専門家による住宅診断)を行い、維持保全計画及びリフォームの履歴を作成すること |
【2】 | リフォーム工事後に、次のaおよびbの性能基準を満たすこと(※若者による既存住宅の購入に伴って実施する場合は要件bは適用しない) |
a.劣化対策および耐震性(新耐震基準適合等)の基準 | |
b.省エネルギー性、維持管理・更新の容易性、高齢者等対策(共同住宅)、可変性(共同住宅)のいずれかの基準 |
地方自治体には、独自の補助金制度もある
都道府県や市区町村などの地方自治体補助制度を調べるなら、一般財団法人住宅リフォーム協議会の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を活用しましょう。調べたい地域やリフォームの種類に応じて利用できる制度を検索できます。
表4は、この検索サイトで「横浜市」の支援制度を検索したものの一部です。制度名をクリックすると、事業内容の概要ページを確認できるようになっています。耐震化やバリアフリー化などのほか、水洗トイレへの切り替え工事への助成や燃料電池導入工事の助成などもあり、多様な目的に応じた補助制度があることがわかります。リフォームを考え始めたら、この検索サイトをまず利用すると、利用できる補助制度の概略をつかみやすいのではないでしょうか。
<表4 横浜市の住宅リフォームに関する支援制度(抜粋)>
都道府県 |
実施地方公共団体 |
制度名(事業名) |
支援分類 |
支援方法 |
工事施工者 |
神奈川県 |
横浜市 |
[2]バリアフリー化 |
[1]補助 |
[3]その他の要件 |
|
神奈川県 |
横浜市 |
[2]バリアフリー化 |
[1]補助 |
[4]要件なし |
|
神奈川県 |
横浜市 |
[5]防災対策 |
[1]補助 |
[3]その他の要件 |
|
神奈川県 |
横浜市 |
[4]環境対策 |
[1]補助 |
[3]その他の要件 |
|
神奈川県 |
横浜市 |
[7]その他 |
[1]補助 |
[3]その他の要件 |
|
神奈川県 |
横浜市 |
[3]省エネルギー化 |
[1]補助 |
[4]要件なし |
バリアフリー工事なら、介護保険制度からの支給も
リフォームでバリアフリー化を図る際、要介護や要支援の認定を受けた方であれば、介護保険法に基づく住宅改修費の支給が受けられます。支給額は、要支援・要介護の区分にかかわらず、支給限度基準額(20万円)の9割にあたる18万円が上限となります。
<表5 介護保険の住宅改修費の対象となる住宅改修>
【1】 | 手すりの取り付け |
【2】 | 段差の解消 |
【3】 | 滑りの防止及び移動の円滑等のための床または通路面の材料の変更 |
【4】 | 引き戸等への扉の取替え |
【5】 | 洋式便器等への便器の取替え |
【6】 | その他全各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修 |
このように、国や地方自治体には多くのリフォームに対する補助金制度などがあります。まずは、リフォームする住宅の地域で利用できる補助金制度の情報を集めるとよいでしょう。自治体の補助金制度には、「その地域の工事業者を利用すること」「その地域の材料(木材など)を利用すること」などを条件とするものもあるので、事前に補助金制度の内容をチェックした上で工事業者を選んだほうがいい場合もあるかもしれません。補助金制度を活用して、リフォームでより快適に過ごせる住まいにしたいですね。
(最終更新日:2019.10.09)