住宅ローンが払えないと家はどうなる? 家を失わないための対策は?

リストラや転職で収入が減少してしまう、怪我や病気で働けなくなり収入が途絶えてしまうといった理由から、住宅ローンの支払いが続けられなくなる可能性は誰にでもあります。もしも、住宅ローンが支払えなくなったら、家はどうなるのでしょうか。家が競売にかけられるまでどれくらいの猶予期間があるのか、それまでにどんな対策を取ることができるのか、家を守るための方法についてもお話しします。

住宅ローンが払えなくなる可能性は誰にでもある

住宅ローンが払えなくなる時とは、どういう時でしょうか?

多いケースとしては、まず、「リストラや転職による収入の減少」があげられるでしょう。その他には、生活スタイルが変わったことで「家計の収支バランスが崩れた」、「怪我や病気で働くことが困難になり収入が途絶えてしまった」といったケースが考えられます。生活費を何とか確保することはできても、住宅ローンの返済をする経済的な余裕がなくなってしまうケースです。

(参考記事1:病気で住宅ローンが返済できなくなった場合の対処法は?
(参考記事2:リストラで住宅ローンの返済が困難になったら?

つまり、何らかの理由で生活スタイルや経済環境が変わってしまった場合に、住宅ローンの支払いができないという事態に陥る可能性が高いと言えるでしょう。無理のない資金計画を立てていても、こうした不測の事態が起こるリスクは誰にでもあることです。

住宅ローンが払えなくなると何が起こるのか?

では、実際に住宅ローンが支払えなくなると、どういうことが起こるのでしょうか? 実際に住宅ローンを滞納してしまった人の体験談や、金融機関の担当者の話を通して、私が知る限りのことをお伝えします。

返済遅延に対する金融機関の対応には厳しいものがあります。ただし、初めての滞納であれば、大きな問題にはならないでしょう。金融機関からローンの引き落としができなかったという電話連絡が入り、いつまでに振込んでもらえるかという確認だけで終わるケースが多いようです。

ただ、滞納が2ヶ月続くと金融機関からの督促状などが届き始め、滞納が3ヶ月続くと「金融事故」として、個人信用情報に「延滞」の記録が残ることになります。いわゆるブラックリストといわれるものです。

そこからさらに3ヶ月が過ぎて滞納が6ヶ月になると、金融機関から「期限の利益の喪失」を通知する書類が届いて住宅ローンの残債を一括返済するよう求められることになるケースが多くなります。

「期限の利益」とは、期限の到来まで債務の履行をしなくてもよいという債務者の利益のことです。具体的に言い換えると、契約に定められた通りに、毎月滞りなく住宅ローンの支払いをしていれば、金融機関からローンの一括返済を求められることはないという意味です。そして、これが喪失する(無効になる)と、金融機関はローンの一括返済を請求できることになります。

普通、住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)には、どんな場合に「期限の利益」が失われて、ローンの一括返済を求められるのか定められていますので、気になる人は契約書を確認してみてください。

「滞納が6ヶ月になると…」とご説明しましたが、これは最短のケースと考えてください。金融機関によってはもう少し猶予期間を見てくれるところもあるでしょう。

とはいえ、いずれにしても、約束通りに支払いができない状況が続くと取り返しのつかないことになります。生活が苦しい中で、一括での借金返済を求められてからでは遅いのです。支払いを続けるのがむずかしくなった場合には、返済金額の見直しなど、できるだけ早い段階で金融機関に相談するのが、何よりも大切です。

支払いができないとすぐに家を取られてしまう!?

金融機関としては、融資したお金に利息をつけて返済してもらうことで利益を得ています。そのため、住宅ローンの申し込みをした人の返済能力や信用力を審査して、毎月滞りなく支払いをしてもらえることを前提に融資を行っているのです。

仮に支払いが滞った場合、金融機関としては死活問題です。そのため、滞納があった場合には、すぐに督促などの対応を取ってくるのです。

よく「支払いができなくなったことを金融機関に話すのは恥ずかしい」と尻込みしたり、「支払いができなくなったことを伝えたら家を取り上げられてしまう」と思い込んでいたりする方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。

むしろ、前述した通り、支払いを続けるのがむずかしいことがわかったら、できるだけ早い段階で、融資を受けている金融機関へ相談に行くことが最善の道です。

くれぐれも、金融機関に知られたくないからと、住宅ローンの返済をするために、消費者金融などの高金利の借金に手を出すようなことだけは、絶対になさらないでください。

「金融機関の対応は冷たい」というのは勘違い

ファイナンシャル・プランナーとして、いろいろな方のお金にまつわる相談を受けてきましたが、金融機関に対して「冷たい」とか「人間味がない」といった印象をお持ちの方も中にはいらっしゃいます。

ですが、決してそんなことはありません。もちろん、何の連絡も相談もせずに滞納を続けていれば、「返す気がないのだな」と判断されて厳しい対応を取られてしまうこともあるでしょう。

ですが、多少、支払いが滞った場合でも、誠実に対応しようとする人に対して、金融機関がいきなり冷酷な態度に出ることは、まず考えられません。返済を続ける意思はあることを伝えた上で、どういった事情で支払いを続けることができなくなったのか、どれくらいの金額なら返済を続けることができるのか、といったことを率直に伝えて相談すれば、返済計画の見直しなど今後の対応策について一緒に考えてくれるはずです。

返済条件の変更は6ヶ月以内がタイムリミット

では、金融機関との話し合いはどのような流れになるのでしょうか。

一般的なケースでは、金融機関は、まず返済条件の変更を提案してきます。これをリスケ(リスケジュールの略)と言いますが、「当面の間は利息だけの支払いにしてもらう」「毎月の支払い額を減らして返済期間を延長してもらう」、あるいは「当面は返済額を減らすけれど、家計が安定したら返済金額を増やして返済期間は変更しない」など、いろいろな方法が考えられます。実際、早い段階で金融機関に相談して、返済方法を変更することで家を失わずにすんだ人は、何人もいらっしゃいます。

金融機関にとっても、融資したお金を利息と共に回収できるのに越したことはありませんから、しっかり話し合って、お互いに納得できる落とし所を見つけたいところです。

話し合いの結果、お互いの合意が取れればよいのですが、条件変更の交渉が整わなかった場合はどうなるのでしょうか。

その場合でも、滞納から6ヶ月が過ぎると一括返済を求められることになってしまうと考えておいてください。返済ができない場合には、代位弁済といって、保証会社がローンを肩代わりして金融機関に一括返済しますが、だからといってローンが帳消しになるわけではありません。その後は保証会社が債権者となり、多くの場合は、マイホームを売却して住宅ローン残債の返済方法を考えていくことになります。

ですから、ローンの支払いができなくなってから、6ヶ月以内を目安に金融機関と新たな返済条件について合意できるよう、話し合いを進めていきましょう。

何ヶ月くらい滞納すると家を失ってしまうの?

仮に、住宅を売却しなければならなくなった場合、まずは任意売却を考えます。任意売却とは、金融機関や保証会社と売却金額やスケジュールを話し合い、合意した上で進める売却手続きのことです。一般的に競売よりも高い価格で売却することができるので、金融機関や保証会社にとっても、住宅の持ち主にとってもメリットのある方法と言えるでしょう。

ただし、任意売却の開始から6ヶ月以内に買い手が見つからない場合には、多くの場合、競売にかけられることになります。

つまり、住宅ローンを支払えない状態に陥ってから、6ヶ月滞納が続くと任意売却の手続きが取られ、そこから6ヶ月以内に買い手が見つからないと競売にかけられてしまうということです。有効な対策が取れずにいると、滞納が始まってから、約1年後にはマイホームを明け渡さなければならないケースが多いと言えるでしょう。

そう考えると、できるだけ早く金融機関に相談することがいかに重要なのか、おわかりいただけるのではないでしょうか。

家を失わないための対策は?

住宅ローンの支払いを続けるのが難しくなってしまったけれど、それでもマイホームを手放したくないという場合には、「個人再生」や「任意整理」という手続きが取れないか、司法書士や弁護士などの専門家に相談してみるのも一つの方法です。

これらは「債務整理」という手続きで、借金がかさんでしまい、返済の見込みが立たなくなった場合に、合法的に借金の額を減らすことができる手段です。

(参考記事1:債務整理すると返済中の住宅ローンはどうなる?

ただし、いわゆるブラックリストに載ってしまうので、5~10年間は新たな借り入れなどはできなくなりますし、債務整理の手続きを取っても住宅ローンの残債を減額することはできません。とはいえ、住宅ローン以外の借金を減らせれば、住宅ローンの支払いを続けることができるのであれば、支払いを続けていけばマイホームを失わずにすみます。

また、最近ではハウスリースバックという方法を利用するケースも出てきています。これは、マイホームを第三者へ売却し、買い主へ賃料を支払うことで、その家に住み続けるという方法です。

この方法には、たとえば、「将来、売却金額の110%で買い戻すことができる」といった特約を付けることもできるというメリットもあります。

住宅ローンの支払いが厳しくなってきたら、支払いができなくなってしまう前に、こうした方法についても早めに検討してみてはいかがでしょうか。

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(最終更新日:2019.10.05)
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