マンションや中古住宅、建売住宅など、マイホームの選択肢は幅広く存在しますが、家族の理想を形にできる「注文住宅」は、やはりあこがれではないでしょうか。しかし、住みたい土地を選び、一軒家を構えていくためには当然、手間も時間も費用もかかってしまいます。今回は土地取得や建物の設計・建築など、どれだけの費用が必要なのか、ARUHIマガジン編集部が調べてみました。
土地の取得にかかる費用
購入の意思を示す「申込金」
土地を購入する場合、予算や立地条件などに見合うものを仲介業者に紹介してもらうのが一般的です。好条件の土地には当然多くの購入希望者が出てくるため、希望に合った土地を見つけた際には「申込金」を支払って購入の意思を示し、仮押さえの状態にしておくことができます。
申込金の金額は10万円程度が相場です。キャンセルした場合には戻ってくるので、「いいな」と思う土地に出会ったら、まずは申込金を支払って押さえておくと安心です。正式に契約に至った場合、申込金は購入代金の一部に当てられます。契約の際には仲介業者への仲介手数料の支払いも必要となります。
土地購入代金は2回に分けて支払う
土地購入代金は2回に分けて支払います。まず、売買契約を結ぶ際に「手付金」として土地価格の5~10%程度を支払います。仮に1,500万円の土地で10%の割合なら、150万円が必要です。これは土地購入代金の一部に当てられますが、万が一、買主の都合でキャンセルする場合は返金されませんので、契約する際は慎重に決めなければなりません。残りの代金は土地の引き渡しの際に支払います。
それと同時に、土地取得の登記が必要になります。最近はインターネットなどを使って自分で登記することもできますが、専門の知識がある司法書士へ依頼するのが安心です。登記には登録免許税(土地評価額×1.5%)と、司法書士の手数料が必要で数万~数十万円程度かかります。
建物の設計・施工にかかる費用
住宅の施工前には地盤調査を行います。地盤の状態がよくない場合は住宅の荷重に耐えられるよう地盤改良を行うため、調査費用と改良費用が発生します。また注文住宅の場合、間取りや意匠などの設計費もかかります。
建築中に必要な費用
建物の購入代金は、着工時に1/3程度、建築途中に1/3程度、工事完了時に残り全額をハウスメーカーや工務店に支払うことになります。しかし、住宅ローンを利用して支払う際、ローンは原則として工事完了時にしか融資されないため、それ以前の支払いを補うため「つなぎ融資」としてローンを前借りします。その利息・手数料だけで数十万円必要です。そのほか、地鎮祭の初穂料・玉串料、大工さんへの差し入れ、建築中の工事監理費、住宅の引き渡し後に見つかった欠陥を補修する保険料、建物確認申請費用、新たに水道管を整備するための費用、外構工事費用、建物の登記費用などが必要です。
諸経費
住宅ローンを借りる際に必要な費用
借入手数料となる「融資事務手数料」、住宅ローンの保証料、団体信用生命保険、火災・地震保険、収入印紙代、抵当権の設定費用などが必要です。借入額にもよりますが、これら諸経費だけで数十万円もかかります。
入居時に必要な費用
引っ越し費用や不動産所得税、さらに新居に合わせて家具や家電を購入する費用も準備しておきたいところです。特に、入居時に即必要となるのがプライバシーを守るカーテン。家電や家具は手持ちのもので間に合わせることもできますが、カーテンはサイズが合わなかったり、数が足りなかったりするので、事前にきちんと準備しておく必要があります。また、近所への引越し挨拶品も数千円程度考えておかなければなりません。
新生活スタート後に必要な住宅関連費用
不動産を取得すると、固定資産税の支払いが義務付けられます。また、エコキュートや太陽光発電システムなどの各種設備も、長期にわたって使用をしていれば、かならずメンテナンスは必要になってきます。
費用の内訳と金額一覧
費用名 | 内訳 | 金額(参考) |
土地の取得にかかる費用 | 購入の意思を示す「申込金」 | 10万円程度が相場 |
売買契約を結ぶ際の「手付金」 | 土地価格の5~10%程度 | |
土地の引き渡し時に残りの代金の支払い | 残りの代金 | |
土地取得の登記にかかる費用 | 登録免許税 | 土地評価額×1.5% |
司法書士の手数料 | 数万~数十万円程度 | |
建物の設計・施工にかかる費用 | 地盤調査・改良費用 | - |
間取りや意匠などの設計費 | - | |
建築中に必要な費用 | 建物の購入代金 | 着工時に1/3程度、建築途中に1/3程度、工事完了時に残り全額を支払う |
つなぎ融資の利息・手数料 | 数十万円 | |
地鎮祭の初穂料・玉串料 | 約2~3万円 | |
大工さんへの差し入れ | 大工さん人数分×飲み物代 | |
建築中の工事監理費 | 木造約 65万円/坪〜 | |
住宅の引き渡し後に見つかった欠陥を補修する保険料 | - | |
建物確認申請費用 | - | |
新たに水道管を整備するための費用 | 約50万円~100万円程度 | |
外構工事費用 | 数十万円~数百万円 | |
建物の登記費用 | 数万円 | |
住宅ローンを借りる際に必要な費用 | 借入手数料となる融資事務手数料 | 数十万円 |
住宅ローンの保証料 | ||
団体信用生命保険 | ||
火災・地震保険 | ||
収入印紙代 | ||
抵当権の設定費用 | ||
入居時に必要な費用 | 引っ越し費用 | 数十万円 |
不動産所得税 | 不動産の価格×土地及び住宅 3%(平成30年3月31日まで) | |
新居に合わせて家具や家電を購入する費用 | 数十万円~数百万円 | |
近所への引越し挨拶品 | 数千円 | |
新生活スタート後に必要な住宅関連費用 | 固定資産税 | 固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率) |
その他各種設備のメンテナンス費用 | 数十万円~数百万円 |
まとめ
家を建てる前から、その後々まで、実に様々な出費があることがわかりますね。支払いをイメージして準備を進めていくことが大切ですが、金額が大きい分、なかなか骨が折れそうです。ここで頼りになるのが、住宅会社の営業担当やファイナンシャルプランナーです。多くの事例を手がけてきた彼らにアドバイスをもらうことで、無理なく、理想の注文住宅を手に入れることも夢ではありません。プロ目線のマネープランを参考にしながら、ぜひあこがれの注文住宅を手に入れましょう。
(最終更新日:2019.10.05)