こんにちは、ARUHIマガジン地域レポーターで北区在住の櫻井朝子です。
生まれも育ちも北区、という夫と一緒に暮らして早1年。まだまだ新参者のわたしが見つけた、北区王子の街の素敵なスポットを紹介します。
今回紹介したいのは、JR王子駅より徒歩3分の場所にある、独立行政法人国立印刷局が運営する「お札と切手の博物館」です。
「お札と切手の博物館」ってどんなところ?
国立印刷局、といっても一体どんなところなのかは想像がつかない人も多いでしょう。
国立印刷局とは、簡単に言うと毎日皆さんが物を買う際に使用するお札や、郵便物を届けるための切手などを作っている組織です。
この博物館では日本のお札の歴史や、偽造防止の技術の紹介、世界中のお札や切手の展示などがされています。国立印刷局には王子以外にも小田原、静岡、彦根、岡山にも同様の工場がありますが、こうした歴史や展示を見ながら複合的にお札や切手のことについて知ることができるのは、ここ北区にある「お札と切手の博物館」だけ。
普段はなかなか見られない貴重な情報が多く、近隣の学校に通う子どもたちの社会科見学に活用されたり、大人が北区の街歩きをする際のコースのひとつに入っていたりします。また、大変めずらしい展示などもあるため、全国から足を運ぶ人も多いそうですよ。
そんな場所がここ、王子にあるのは驚きです。
簡単には知ることのできない、お札の深い歴史
国立印刷局が創設されたのは、明治4年。今からおよそ150年も前にさかのぼります。当時は「大蔵省紙幣司」という名でした。明治9年に東京・大手町に日本で初めての印刷工場ができ、近代的なお札の製造が始まりました。
お札には簡単には真似できない、特殊な加工技術が用いられています。
お札が初めて日本に登場したのは、今から約400年前。江戸時代が始まるころだったそうです。明治時代、お札を作る技術が未熟だった日本は、外国人の技術者に印刷技術を教わり、外国製の印刷機を使って、少しずつ精巧なお札づくりの技術力を成熟させていきました。
現在のお札は、光に当てるとうっすらと人物の顔が浮かび上がる「すかし」の技術が使われていますが、この技術が登場したのは明治21年。ホログラムなどの新型の技術が取り入れられたのは、なんと平成時代になってからとのこと。
そのお札の紙質や絵柄、偽造防止技術などは戦争や天災、社会情勢などの影響を直に受けているため、まさに時代を映す鏡。その歴史をたどっていくと、普段当たり前に手にしているお札の見え方も変わってくるかもしれません。
体験ブースで、お札をより身近に
博物館1階のフロアの中央部には、お札の中に隠されているさまざまな偽造防止技術の高さを感じられる、体験型のコーナーがありました。
たとえば、「マイクロ文字」。お札を拡大すると「NIPPONGINKO」という文字がいたるところに隠されているのを知っていますか。
知らなくとも無理はありません。もっとも小さな文字は、約0.2ミリメートルという大きさで書かれており、肉眼で目をこらしてようやく確認できる程度。それらを自分のお札を使って顕微鏡で見ることができました。
ほかにも、お札の左下には銀色のシールのようなものが貼られていますよね。これはホログラム。光を当てる角度によって、桜の模様が浮かび上がったり、そのお札の額面数字が表示されたり…。これは、偽造防止の観点からだけではなく、目の見えない人のためのお札の識別方法としても役立っています。
また2階の展示スペースでは、世界中のお札や切手が展示されています。さらにお札や切手にまつわる企画展も定期的に行われているので、気になる展示のときに足を運んでみるのも良いでしょう。
お札の大切さを理解するきっかけづくりに
私たちが暮らす日本では、ATMや自動販売機、最近ではコンビニの自動レジなどが普及しているため、お札を機械に通して識別しなければいけない場面が多くあります。そうした流通環境への対応はもちろんのこと、私たちが安心、安全にお札を当たり前に使い続けていくために、製紙や印刷、偽造防止などの技術が日々磨かれ続けているのです。
ただの紙のように見えて、実は大変な歴史と技術がつまったお札。2024年には北区にゆかりのある渋沢栄一が1万円の図柄になるとあって、また話題となりそうです。
家族でお金の大切さを知るきっかけにも、まずはここに足を運んでみてその歴史や製造技術を学ぶこともおもしろいかもしれません。
※新型コロナウイルス感染拡大のため、来館者の安全を考慮し、2020年2月28日(金)から当面の間、臨時休館しています。再開時期についてはホームページなどで確認を
お札と切手の博物館
住所:東京都北区王子1-6-1
アクセス:JR・東京メトロ「王子」駅徒歩3分
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始、臨時休館日
公式HP https://www.npb.go.jp/ja/museum/
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