【小岩】ノスタルジックな下町の喫茶店。行きつけにしたい「珈琲 木の実」

こんにちは! ARUHIマガジンのライター、斎藤若菜です。今月も、小岩生まれ・小岩育ちの「地域ライター」としておすすめスポットを紹介します。

第2回となる今回は、JR「小岩」駅北口から小岩駅北口通りを左折し、少し歩いたところにある老舗の喫茶店「珈琲 木の実」へ。どこかノスタルジックな外観に引き寄せられるように、店内へ足を踏み入れました。

かつては80店以上の喫茶店が建ち並んでいた小岩

スペイン瓦の山小屋風をイメージした三角屋根が目を引きます

「珈琲 木の実」の現在のマスター・山本義一さんは2代目。初代マスターであるお母さまが40歳のときに開いた喫茶店で、最盛期の小岩には80軒を超える喫茶店があったそうですが、従業員の高齢化やチェーン店の台頭により徐々に減少。今では数えるほどになってしまいました。

エントランス上部のガラスには、創業した年が記されています

昭和30年(1955年)に小岩駅南口で創業後、昭和39年(1964年)に現在の場所へ移転。山本さんは同店とともに変わりゆく小岩を見守り、下町の喫茶店文化を支え続けてきました。店内には昭和~令和にかけて、小岩がいかに変貌を遂げたかを伝えるパネルが展示されており、小岩に対する深い思いを感じます。

店内のあちこちに、亡きお父さまが描いた風景画がディスプレイされています。歴代のマッチラベルもデザインしていたそうです (現在は製作・配布していません)

雰囲気たっぷり! こだわりの詰まった店内

アンティークを思わせる照明やミラー、ネオンサインなど、さまざまな装飾品が空間に溶け込んでいます

市松模様の床や、外観の三角屋根を思わせるデザインの天井、有機的な曲線の鉄格子など、店内は細部に至るまでこだわりが感じられます。「席に座ったとき、目線の先がにぎやかであるように、季節に応じた飾りつけをしています」と山本さん。スタッフの意見を取り入れ、店づくりを楽しんでいる様子がうかがえます。

木の葉をイメージした鉄格子は、鉄鋼会社の技術者だったお父さまの手によるもの

こだわりは内装にとどまらず、「清潔感」も大切にしています。例えば、強力な空気清浄機を取り入れ、空気中の雑菌を除去し、清潔な空間に。空気清浄機は割高でもあえてリース契約とすることで、常にメンテナンスされた状態を維持し、店内環境をととのえています。
店内は分煙ですが、強力な空気清浄機の効果により、喫煙スペースにいてもタバコのにおいをあまり感じることなく、快適に過ごせるように配慮されています。

中布団を3~4枚入れた厚めのクッションがふかふかで心地良く、ついつい長居してしまいそうです

1杯ずつ丁寧に抽出したコーヒーでひと休み

「アイスコーヒー」(480円)。ガムシロップは三温糖と甜菜糖、上白糖をブレンドした自家製

「珈琲 木の実」のメニューは豊富で、何と100種類以上! おすすめは1杯ずつ丁寧に抽出したドリップコーヒー。注文を受けてから淹れてもらうため時間がかかりますが、味は確かです。
写真のアイスコーヒーは、季節を問わず販売。通常のブレンドコーヒーを淹れるときの3倍分もの豆を使用することで、適度な苦み中に旨みを感じる、味わい深い1杯を楽しめます。アイスコーヒーは写真のレギュラーのほか、「炭火アイス」(600円)や「フレンチモカアイス」(650円)も選択が可能です。

「野菜とツナのサンド」(1,190円)。油臭さを感じさせない、上質なツナを使用しています

フードメニューは、本格的なカレーやビーフシチューといったレストランさながらの一品に加え、コーヒーにぴったりのサンドイッチも充実しています。「野菜とツナのサンド」はたっぷりの野菜とツナが、軽く焼いたパンとよく合い、ボリュームもしっかりとあります。食べ切れない場合は、箱に入れて持ち帰ることも可能です。

かつてフランス・パリを旅した山本さんが、とあるカフェの常連客に話しかけたところ「私はまだ、40年しか通っていない新参者です」と返ってきて、その言葉に驚いたそうです。「古いものを大切にしながら、この店で時を紡いでいきたい」そんな思いを強く感じました。

喫茶 木の実
住所:東京都江戸川区南小岩7-17-6
TEL:03-3657-5669
営業時間:平日8:30~17:00、土・日曜8:30~20:00
定休日:無休(年始3日間は休業)
駐車場:なし

※記事に掲載した内容は取材日時点の情報です。変更される場合がありますので、お出かけの際はホームページなどで最新情報の確認をお願いします

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