30代の「マイホーム」と「お金」のリアルに迫るシリーズ。前回は、東京23区に住む30代・年収400万円台の人がどのような家を購入しているのか、ARUHIマガジンが独自にリサーチした住宅ローン利用者データ(※)をもとに紹介しました。
※前回の記事:30代で年収400万円台の人が「実際に家を買っている区TOP10」東京23区編
第2回の今回は、対象範囲を広げて「30代の人が実際に買った家の物件価格、住宅ローンの借入額、頭金、月々の返済額」を年収別に調査。「自分と同じぐらいの年収の人はどの程度頭金を用意して、いくら住宅ローンを借りているの?」という疑問に迫ります。また、住みたいエリアによって住宅事情が異なることから、都道府県別の借入額や頭金についても調査。ランキング形式で紹介します!
年収が増えるほど、物件価格、借入額、月々の返済額が増加!
前回の記事でも紹介した通り、2018年に住宅ローン【フラット35】を借りた人の年代別の割合を見てみると、30代が最多で43.7%、20~40代で全体の85%以上を占めています。住宅金融支援機構が発表した「2018年度 フラット35利用者調査」を見ても、住宅購入時の年齢は30代が42.3%と最も多く、30代でマイホームを購入している人が圧倒的に多いことがわかります。
【フラット35】をおもに利用している30代の住宅購入者は、どの程度の頭金を用意し、住宅ローンを返済しているのでしょうか? 住宅ローン専門金融機関であるARUHIの住宅ローン借り入れデータをもとに、年収別に物件価格、借入額、頭金、月々の返済額を見ていきましょう。
2018年に住宅ローン【フラット35】を借りた30代の住宅購入者を調査したところ、頭金は平均439万円で、物件価格は平均3,495万円。年収ごとの住宅購入金額や頭金を見ると、年収が上がるほど住宅にかける金額が増え、頭金も多くなる傾向がうかがえます。住宅購入金額に対する頭金の割合も大きくなることから、年収が高い人ほど余裕をもって資金を準備できることが予測できます。
また、年収ごとに頭金の平均額をチェックしていくと、年収と同程度の頭金を用意している人が多いことも判明しました。「必要な頭金を貯めてからマイホームを購入したい」と考えている人にとって、目標金額を設定する際に一つの参考になるのではないでしょうか。
続いて、借入額の平均は2,945万1,657円で、月々の返済額は平均8万9,415円。年収300万円台で2,436万2,821円(月々の返済額7万3,570円)、年収800万円以上では4,494万6,245円(月々の返済額13万7,226円)という結果に。年収が上がるごとに借入額も月々の返済額も増えていることがわかります。年収に関わらず、収入に応じた予算でマイホームを購入し、返済計画を立てていることがうかがえます。
借入額が多い都道府県は東京都、神奈川県、大阪府と都市部に集中!
続いて、都道府県ごとに住宅ローン【フラット35】の借入額を比較してみましょう。借入額が1番多いのは東京都で、3,668万8,949円。次いで神奈川県が3,235万232円。大阪府が2,903万5,937円と、都市部が上位を独占しています。2020年にオリンピック開催を控え盛り上がる東京都や、2025年に大阪万博が開かれる大阪府、横浜やみなとみらい、人口増加が著しい武蔵小杉などを擁する神奈川県はいずれも物件価格が高騰しているエリア。住宅ローンの借入額が大きくなってしまうのは納得の結果といえるでしょう。
このほか、千葉県が4位、愛知県が7位、那覇市を中心にマンション価格が高騰している沖縄県(※)が8位と、人が集まりやすいエリアが続々とランクインしている一方で、埼玉県の借入額は2,719万9,929円で13位。東京都の隣に位置し、都心部のオフィスへも通勤する人も多い県でありながら、借入額はそこまで多くない点に注目です。
※参考:国土交通省「平成31年地価公示」
富山県民は堅実!? 頭金を多く準備している都道府県を発表!
頭金が最も多い都道府県は富山県で、829万1,667円でした。少し意外に思う人もいるかもしれませんが、富山県は総務省統計局が発表した「平成25年住宅・土地統計調査」によると、47都道府県で土地・建物ともに最も所有率が高い県。1住宅あたりの延べ床面積も一番広いことで知られ、1人あたり居住スペースの広さも秋田県に次いで2番目に広いという調査結果が出ています。このことからも、大きな家を建てることが一般的な県といえそうです。広い家を建てるには相応の建築費用がかかりますから、頭金の金額が大きくなることは必然かもしれません。
一方、前出の「借入額が多い都道府県ランキング」で富山県は、47都道府県中46番目の1,959万1,667円。全国で2番目に借入額が少ないことから、「頭金をしっかりと準備し、借入額を抑えて家を建てる」堅実な県民性も垣間見えます。
ちなみに、2017年版の「就業構造基本調査」によると、夫婦共働き世帯の全国平均は48.8%。対して、富山県は全国で3番目に共働き世帯が多く、57.1%にのぼり、頭金が多い上位5県すべての共働き率が5割を超えています。稼ぎ手が多く、高い収入を見込めることも、頭金の額に直結しているのかもしれません。
なお、借入額の多い都道府県TOP10のうち、頭金額の多い都道府県TOP10に入ったのは東京都と高知県のみ。借入額が最も多い東京都は頭金額では8位でした。
まとめ
2018年に【フラット35】を利用して住宅購入をした30代の傾向を見ると、年収に応じて頭金・月々の返済額・借入額ともに金額が大きくなることがわかりました。また、都道府県別にみると都市部を中心に借入額が大きくなり、頭金は共働き世帯が多い県を中心に額が大きくなる傾向にあります。
住むエリアによってマイホームの相場が大きく変わりますし、共働きか否か、住宅ローンを1人で組むか夫婦で組むかによって住宅ローンの借入可能額が変わってきます。「家を買う」ということは「住みやすい街を選ぶこと」や「働き方を考えること」、そして「将来の資金計画を立てること」でもあります。この機会に家族でじっくりと話し合い、後悔のない家探しをしてくださいね。
調査概要
調査方法:住宅ローン専門金融機関ARUHIの【フラット35】融資実行データより抽出
調査対象期間:2018年1~12月
対象エリア:全国
居住区分:自己居住用
年齢:30代
データ総数:7,901
※「月々返済額」は借入額に金利1.38%で計算した金額で算出しています
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Illustrations by nodeko