「家を買うタイミングは勤続○年以上がいい」のウソとホント

住宅購入のタイミングは人それぞれですが、どのようなタイミングで購入することが望ましいのでしょうか。住宅を購入する際には、購入にかかる諸費用や住宅ローンについて考えなければならないので、タイミングを計るのはなかなか難しいものです。あなたにとって「最適なタイミング」を見極めるために、少し真剣に考えてみましょう。

ライフスタイルの変化から、購入のタイミングを考える場合

勤続年数が10年にもなると、その経験から重要な仕事を担っていると思われます。それに応じて入社当時よりも給料も上がっていることでしょう。このようなタイミングで、結婚など、今後の生活について考える人もいるかもしれません。ふとマイホームの購入に思いをめぐらせ、今まで払ってきた家賃の総額に、愕然とする人も少なくないようです。
ここで気になるのが、「家を買うタイミングは勤続○年以上がいい」という噂です。みなさんも耳にしたことがあるかもしれません。家を買うタイミングは、果たして勤続年数で計るのが正解なのでしょうか。事例をみながら、一緒に考えましょう。

Aさんは、30年半ばの独身サラリーマンです。勤続年数も10年を超え、生活も安定してきたので、そろそろマイホームを持ちたいと思うようになりました。購入を検討しているのは1LDKで50平米を切るマンションです。ただ、2年以内には結婚をしたいですし、結婚したら子どもは2人欲しいようです。

さて、みなさんはどう考えますか? Aさんが検討している住宅の広さは、ひとり暮らしであれば十分かもしれません。しかし、結婚をして家族の人数が増えることを考慮すると、せっかく買ったマンションも10年経たないうちに手狭になりそうです。

こうみると、勤続年数を根拠に、家を買うタイミングを計るのは無理がありそうです。結婚をするから、子どもが生まれるから、子どもが学校にあがるからなど、人によって家を買うのに適したタイミングは異なります。これからライフスタイルが変わろうとしているAさんは、結婚や家族の人数などが見えてきたら家の購入を考えるのが良さそうです。

住宅ローン審査では勤続年数は金融機関に見られている!?

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では、ライフスタイルの変化をキッカケに家を買っても大丈夫でしょうか。
それだけが根拠なら、あまりおすすめできないでしょう。家を買うためには、自己資金の確保が欠かせないからです。

家を買うときは、家の価格以外にも、売買に関する手数料や税金などの諸費用がかかります。そして多くの人は住宅ローンを利用することになりますが、その場合は、頭金に加えて住宅ローンを借り入れるための費用なども必要になります。
ここから言えるのは、自己資金を確保できること、あわせて住宅ローンを借りられることが、家を買うタイミングを計る材料になりそうだということ。そこで気になるのが、住宅ローン審査のポイントの1つといわれる勤続年数です。「家を買うタイミングは勤続○年以上がいい」という噂は、ここに関係するようです。

勤続年数に関するルールは金融機関によって異なりますが、以前より緩くなったように思います。依然として「3年以上」を条件として提示するところもありますが、最近では「1年以上」を多く見かけるようになりました。また期間のルールがないところもあります。そうは言っても、審査自体が緩くなったという印象は受けません。住宅ローンを借り入れる人たちの実態に合わせて、そのルールが変化してきているのでしょう。

「審査」する側はどう考えているのか

社会人数年の人と40歳転職したばかりの人が、住宅ローンを申し込むと……

例えば、勤続年数を問わない金融機関に、2人が住宅ローンを申し込むとします。

ひとりは、社会人になったばかりの人です。こちらの金融機関では勤続年数を問わないのですから、それについては問題ないはずです。しかし、あなたがお金を貸す立場だとしたら、「どういう理由で買うの?」「結婚は?家族は増えていくの?」など、様々なことが気になりませんか。「こんなに若いうちからローンを返すのは、大変じゃないかな?」「若いからこれからたくさん稼ぐだろう。でも、まだ落ち着かないのでは?」と思う人もいるでしょう。審査を担当する人もきっと同じことを考えます。

もうひとりは40歳で転職したばかりの人です。転職して間もないと、なぜ転職したのか理由を知りたくなりますよね。自分のキャリアアップや収入アップのための「前向きな転職」なら問題ないですが、理由なく転職を繰り返しているようならどうでしょう。少し心配になりませんか? 金融機関の人も同じように思うのではないでしょうか。

金融機関が勤続年数から推し量ろうとするのは、収入の安定性です。もちろん、申し込みに至った事情、年収、借入金額、購入物件など、その他の条件も踏まえるのですが、勤続年数が短くても将来の返済に問題がなさそうなら、審査に通るケースはあります。

<金融機関が住宅ローンを審査するときに考慮する項目>

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※出典:「平成26年度民間住宅ローンの実態に関する調査」国土交通省

住宅購入は、ライフイベントと自己資金の蓄えからタイミングを計る

勤続年数が短くても審査に通るケースがあるとはいえ、住宅ローンの返済を考えると収入が安定してからの方が安心です。このように考えると、家を買うタイミングは勤続3年以上あるといいでしょう。もちろん、諸費用を含めて購入資金の2~3割を賄うだけの自己資金を蓄えることも考慮します。

家を買うタイミングは、ライフプランからみて無理がなく自然なとき。つまり、誰とどこに住むのかの目安がついて、自分が必要とする家のサイズや場所が定まったとき。そして、住宅ローンの返済をしていけるだけの、安定収入の確保と自己資金の準備ができたときです。ある程度の年数をしっかり働いてお金を蓄えることに成功した人は、その後に続くローン返済もきっとうまくいくはずです。

<初めて家を買ったときの世帯主の年齢>

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※出典:「平成26年度住宅市場動向調査」国土交通省

家を買うボリューム層は、30代後半~40代にかけてと聞きます。ライフイベントから見ると、多くは子どもが小学校へあがるころです。社会人としてのキャリアも、15年から20年になろうかというところですから、お金の準備も整う頃でしょう。多くの人は、自然と家を買うタイミングを計っているのかもしれません。

「勤めて10年も経つのだから、そろそろ家を買った方がいい」「いつまで賃料を払い続けるつもり?」など、周りの声や噂に惑わされそうになることもあるでしょう。そのようなときは、少し先を見てください。自分の生き方や暮らし方にあった購入のタイミングは、いずれ見つかります。せっかくの我が家です。居心地のよい住まいを得たいですね。

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(最終更新日:2019.10.05)
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