全期間固定金利型住宅ローンの代表ともいえる【フラット35】。返済終了まで金利が変わらない安心感の一方で、変動金利(半年型)などに比べると金利は高めで、金利タイプを選ぶときに迷う人も多いでしょう。そこで、民間の住宅ローンと比較した、【フラット35】のメリットやデメリットを見ていきましょう。
【フラット35】のメリットは?
金利のメリット
【フラット35】は、最長で35年間、借入時の金利が最終返済まで変わらない全期間固定金利の住宅ローンで、毎回の返済額も一定です。金利が上昇する局面になった場合でも返済額は変わらず、安定した返済が可能なため、将来の家計プランが立てやすくなります。このように、金利が変わらないことが【フラット35】の最大のメリットといえます。
また共働きで収入が多い、借入金額が少ないなど、比較的短期間で返せそうならば、返済期間20年以下にすることで21年以上の金利よりも低い金利で借りることができます。
さらに耐震性能や省エネ性能など、一定の基準を満たす住宅を取得する場合は【フラット35】Sが利用できます。【フラット35】Sでは、【フラット35】の金利から一定期間0.6%(※)金利が引き下げられるため返済額が少なくなります。
住宅の性能基準の違いにより「金利Aプラン」と「金利Bプラン」があり、それぞれ当初10年間または5年間金利が引き下げられます。例えば、3,000万円を返済期間35年で借りた場合の総返済額で比べると、【フラット35】S(金利Aタイプ)で借り入れした場合は、通常の【フラット35】よりも約180万円少なくなります。
種類・返済期間 | 金利 | ||
---|---|---|---|
【フラット35】 | 返済期間20年以下 | 1.31% | |
返済期間21年以上 | 1.54% | ||
【フラット35】S | 金利Aプラン | 1年目~10年目 | 0.94% |
11年目以降 | 1.54% | ||
金利Bプラン | 1年目~5年目 | 0.94% | |
6年目以降 | 1.54% |
借入額3000万円/返済期間35年 | |||
---|---|---|---|
種類 | 返済期間・金利 | 毎月返済額 | 総返済額 |
【フラット35】 | 全期間:1.54% | 92,444円 | 約4,091万円 |
【フラット35】S (金利Aプラン) |
1年目~10年目:0.94% | 83,849円 | 約3,912万円 |
11年目以降:1.54% | 90,047円 |
借入時のメリット
住宅ローンを借りる際には審査があり、民間の住宅ローンでは、職業や勤務形態、勤務年数、年収などさまざまな基準が設けられています。一方で、【フラット35】は年収による返済負担率(年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上は35%以下)は決められているものの、勤続年数は問わないなど、転職したばかりの人や自営業の人などでも比較的申し込みやすくなっています。
参考:安定した収入が見込めれば申し込める! ARUHIフラット35のメリットはこちら
借入時にかかる諸費用の点では、ほとんどの民間住宅ローンには「保証会社の保証が受けられること」という借り入れ要件があり、保証料が必要になります。それに対して【フラット35】は、保証人や保証料は必要ありません。ただし、事務手数料がかかるところが多いので確認しましょう。
また、「団体信用生命保険に加入できること」も多くの民間住宅ローンの借り入れ要件になっています。つまり、健康状態が良好でない場合は団体信用生命保険に加入できず、住宅ローンを借りられないことも考えられます。
一方で【フラット35】は、団体信用生命保険への加入は任意のため、団体信用生命保険に入れない場合でも借り入れ可能です。ただし、団体信用生命保険に加入せずに借り入れする場合は、万が一の場合に現在加入している生命保険で住宅ローン返済がカバーできるかを確認することも忘れずに行いましょう。
返済時のメリット
【フラット35】は、繰上返済の手数料がかかりません。計画的に繰上返済をしていこうという人には嬉しい仕組みです。一方、民間住宅ローンの繰上返済の場合、ネットでの手続きは無料のところが増えてきましたが、窓口での手続きでは金利タイプや返済金額などに応じて手数料がかかるケースがあります。
【フラット35】のデメリットは?
金利のデメリット
【フラット35】は全期間固定金利型ですので、変動金利(半年型)や当初固定金利型に比べると金利は高めで、毎回の返済額も高くなります。仮に世の中の金利が下がった場合でも、借りた時の金利で固定されるので毎回の返済額も変わりません。もしも金利が下がる局面になった場合には、全期間固定金利型のメリットは薄れる可能性があります。
借入時のデメリット
【フラット35】を借り入れするためには、住宅金融支援機構独自の基準を満たす建物であることが必要です。例えば、床面積は、戸建て70m²以上・マンション30m²以上という基準があり、平屋建てやワンルームマンションでは基準を満たさないケースもあるでしょう。また、建物の性能面でも耐久性や断熱性などに一定の基準があります。
【フラット35】の融資を受けるには、基本的に住宅金融支援機構が定めた断熱性などの技術基準に適合していることを示す「適合証明書」の取り付けが必要です。「適合証明書」は、検査機関に依頼して物件検査を受けることで取得できますが、別途で費用がかかります。金融機関や不動産会社が検査機関を紹介してくれる場合もありますが、自分で検査機関へ依頼する場合は手続きの手間もかかってしまいます。
ただし、あらかじめ物件検査を受けて販売される「【フラット35】登録マンション」なら、「適合証明書」の手続きが簡素化され、「中古マンションらくらく【フラット35】」に登録されている中古マンションでは、「適合証明省略に関する申出書」を金融機関に提出することで、物件検査を省略することが可能です(※)。
また、住宅購入には、住宅ローンの事務手数料、登記費用、火災保険料など、さまざまな費用がかかります。民間の住宅ローンではこれらの諸費用を含めて借りられる場合がありますが、【フラット35】では基本的に諸費用を含めて借りることはできず、諸費用分は現金で用意する必要があります。
返済時のデメリット
団体信用生命保険の特約料は、民間の住宅ローンでは通常金利に含まれているため、別途負担する必要はありませんが、【フラット35】では「機構団体信用生命保険特約」に別途加入することとなり、加入する場合は借入残高に応じた特約料を、住宅ローンの返済額とは別に毎年支払う必要があります。
また、繰上返済については、民間の住宅ローンでは、1万円から一部繰上返済できる場合が多くなっていますが、【フラット35】は、一部繰上返済の最低金額はインターネットからで10万円、金融機関の窓口では100万円からです。最低金額が高めなので、早めに返済を終えたい場合は、繰上返済のための資金を計画的に貯めていくことも必要でしょう。
最後に、ここまで見てきたメリット・デメリットを表にまとめました。これらを参考にして、【フラット35】を利用するかどうかの目安にしてください。
<【フラット35】メリット・デメリット一覧>
メリット | デメリット | |
---|---|---|
金利 |
|
|
借入時 |
|
|
返済時 |
|
|
【ARUHI】全国140以上の店舗で住宅ローン無料相談受付中>>
(最終更新日:2019.10.05)