「住宅ローンは固定金利を選ぼう」と決めた人でも、固定金利期間の長さによって金利が異なるため、どれにしたらよいのか迷う人は多いかもしれません。金利タイプの選択や固定金利期間の長さは、金利差による返済額の違いだけでなく、今後の家計収支をもとに考えることも必要です。今回は、「全期間固定金利型」と「当初固定金利型」の比較をしてみましょう。
全期間固定金利型と当初固定金利型、それぞれの特徴と注意点は?
住宅ローンの中で金利が一定期間固定されるものには、「全期間固定金利型」と「当初固定金利型」があります。この2つの金利タイプの違いは、“金利が固定される期間の長さ”です。
「全期間固定金利型」は、文字通り返済終了まで金利が固定されるものです。毎月返済額(※)は完済まで変わらず、借り入れ時に総返済額が確定しますので、将来の金利変動に影響を受けない堅実な返済が可能です。代表的な全期間固定金利型の住宅ローンには、【フラット35】があります。
「当初固定金利型」(金融機関によって、「固定金利選択型」「短期固定型」などの名称が異なります。)は、借り入れしてからの当初3年・5年・10年など一定期間の金利が固定され、その間の毎月返済額(※)は変わりません。固定金利期間終了後は原則として変動金利(半年型)になりますが、再び固定期間を選べる場合もあります。
また、固定金利期間終了後の毎月返済額(※)は、固定金利期間終了時の金利で見直されます。その際に金利が上昇していると、毎月返済額(※)も上がります。そのため、総返済額は返済終了時まで確定できないことになります。また、当初固定金利型には一般的な変動金利(半年型)のように返済額増額の上限ルールがないため、もし金利が大幅に上昇していると大きな負担になる可能性もあります。当初固定金利型を選ぶ場合には、将来金利が上昇しても返済可能かどうかも考えておく必要があるでしょう。
全期間固定金利型と当初固定金利型では、返済額の差はどれくらい出るの?
当初固定金利型は固定金利期間によって金利が異なり、一般的に固定期間が短いほど金利は低く、長いほど高くなります。一例として、全期間固定金利型と当初固定金利型(固定金利期間5年と10年の場合)で住宅ローンを借りた場合の返済内容を見てみましょう。
全期間固定金利型と当初固定金利型の返済額の違い
<前提条件>
借入額:3,000万円
返済期間:35年
元利均等返済・ボーナス払いなし
固定金利期間終了後の当初固定金利型の適用金利は、0.8%アップするものとする。
全期間固定金利型 | 当初固定金利型 | ||
---|---|---|---|
固定金利期間5年 | 固定金利期間10年 | ||
適用金利 | 全期間1.47% | 当初5年間:0.9% 6年目以降:1.7% |
当初10年間:1.15% 11年目以降:1.95% |
毎月返済額 | 9万1,415円 | 当初5年間:8万3,294円 6年目以降:9万3,207円 |
当初10年間:8万6,799円 11年目以降:9万5,332円 |
総返済額 | 約3,839万円 (内利息額:839万円) |
約3,855万円 (内利息額:855万円) |
約3,902万円 (内利息額:902万円) |
上記の事例では、固定金利期間10年で全期間固定金利型の場合と比べて約5千円少なくなりますが、固定金利期間終了時に金利が上がっていると負担が増えます。また、固定金利期間終了後の適用金利は、各々0.8%上昇したとして試算していますが、いずれも全期間固定金利型の場合よりも多くなっています。その結果、総返済額では、全期間固定金利型が固定金利期間5年に比べて16万円、固定金利期間10年に比べて63万円少なくなります。
この事例では、金利見直し後の毎月返済額および総返済額に大きな違いはありませんが、これ以上金利がアップしていれば、さらに負担は増えてしまうことがわかります。
全期間固定金利型と当初固定金利型、あなたはどちらの金利タイプを選ぶ?
このように、金利が固定される期間が全期間なのか、当初の一定期間なのかによって金利が異なり、毎月返済額(※)や総返済額に影響します。では、どちらの金利タイプを選択すればよいのでしょうか。選ぶ際の考え方をまとめたのが、次の通りです。
全期間固定金利型は、借り入れ時に毎月返済額(※)が決まるので、家計支出の予定が立てやすくなります。現状でも貯蓄できる余裕があまりないなどといった場合は、全期間固定金利型で金利上昇リスクを負わないようにしておく方が安心感があるでしょう。
当初固定金利型は、一定期間金利が固定されるので、その間に毎月返済額(※)が増えることはありません。例えば、これから子どもが高校・大学に進学して支出が多くなるといったライフステージであれば、長めの固定期間を選んで子どもの在学中には毎月返済額(※)が上がらないようにしておけば、その間に金利が上昇しても学費と住宅ローン返済で家計負担が急上昇するリスクを減らせます。
一方、共働き家庭や数年後に配偶者が仕事に復帰する予定があるなど、将来にわたって安定収入が見込める場合や、子どもの独立間近などで将来返済余力があるのであれば、2~3年の短い固定期間でも金利変動への許容度があるので比較的安心だといえます。
最近では、固定金利期間2~3年の住宅ローンでも、変動金利(半年型)と遜色ないレベルまで適用金利が下がっています。金利の引き下げ幅によっては、変動金利(半年型)よりも低い金利で借りられる可能性もあります。
住宅ローンは最後まで無理なく返済できることが大前提です。今だけでなく、返済期間中の生活環境の変化や金利上昇時の返済負担を予測しながら固定期間を選びましょう。
あなたはどちらの金利タイプを選びますか? 特徴と選び方の目安 | |
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(最終更新日:2019.10.05)