住宅ローン【フラット35】Sの金利引き下げ幅が0.3%から0.6%に拡大へ

2015年1月、政府が閣議決定した「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」により、【フラット35】Sの金利引き下げ幅拡大が決まり、補正予算成立後から実施される予定です。引き下げ幅が拡大されると、返済負担がどのくらい軽くなるのか試算してみましょう。

当初の金利引き下げ幅を0.3%から0.6%に拡大

【フラット35】Sは、購入する住宅が「耐震性」「省エネルギー性」「耐久性・可変性」「バリアフリー性」のいずれかの基準を満たすと、【フラット35】の当初金利が一定期間引き下げられる制度です。金利引き下げ期間が当初5年間の金利Bプランと当初10年間の金利Aプランがあり、金利Aプランは住宅の技術基準が金利Bプランよりも厳しくなっています。

金利引き下げ幅はこれまで0.3%でしたが、2014年度補正予算案によると0.6%に拡大されるとのことです。【フラット35】の金利はこのところ過去最低を更新し続けており、2015年1月の最低金利(融資比率9割以下、返済期間21年以上の場合)は1.47 %と、初めて1.5%を切りました。さらに、【フラット35】Sなら、現在は0.3%の金利引き下げで当初1.17%で借りられます。それが0.6%の引き下げとなると、もし同じ金利であれば、当初金利が0.87%という超低金利で借りられることになります。

例えば3,000万円を35年返済(ボーナス時返済なし、元利均等返済。以下同)で借りた場合、金利1.47%の【フラット35】では毎月返済額が9万1,415円ですが、0.6%引き下げた0.87%で試算してみると、当初返済額が8万2,880円と9,000円近くダウンします。金利が下がると元金が早く減るので、金利引き下げ期間が終わったあとの返済額も軽くなります。金利Aプランなら、11年目以降の毎月返済額も9万円を切る水準です。

返済期間20年以下なら当初金利が0.6%に

今は民間ローンの固定金利も低くなっていますが、35年固定では最も低い水準でも1.7%台程度です。例えば都市銀行の1.78%の35年固定で3,000万円を借りた場合の毎月返済額は9万6,025円と、2015年1月の【フラット35】と比べて5,000円近く、同じ金利から0.6%に金利引き下げ幅が拡大した場合の【フラット35】Sの当初返済額と比べると1万3,000円以上の差となります。

さらに、【フラット35】は返済期間が20年以下の場合は金利が下がります。2015年1月の最低金利(融資比率9割以下の場合)を例にすると、【フラット35】Sなら1.2%から0.6%引き下げられ、0.60%と民間ローンの変動金利をも下回る超低金利になります。仮に3,000万円を20年返済で借りたとすると、【フラット35】Sの当初返済額は13万2,681円と、【フラット35】より8,000円近く下がります。民間ローンで最低水準となる1.50%の20年固定と比べると、【フラット35】Sの当初返済額は1万2,000円ほど軽くなる計算です。

<民間ローンの固定金利と【フラット35】、【フラット35】Sの返済額の違い>

※2015年1月時点の金利を例に試算

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なお、民間ローンは多くの場合で団体信用生命保険特約料が金利に含まれますが、保証料が必要です。一方で、【フラット35】は保証料はかかりませんが、団体信用生命保険特約料が毎月の返済額とは別に毎年かかるので注意が必要です。

補正予算案ではこの他、住宅価格の9割超を借りた場合の【フラット35】の上乗せ金利を引き下げることも盛り込まれました。これらの制度変更については、実施日から最大1年間実施される予定です。実施日については補正予算成立後に告知されます。

このように性能の高い住宅を買って【フラット35】Sを利用すると、住宅ローンの当初負担を大幅に軽くすることができます。せっかくの低金利を活かすためにも、優れた性能で住み心地の満足度も高い住まいの購入を検討してみてはいかがでしょう。

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(最終更新日:2019.10.05)
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