自営業でも住宅ローンは組める?

一般的に、自営業を営む個人事業主の方が住宅ローンを組んでマイホームを購入しようとする場合、会社員よりも金融機関の審査が厳しくなるためローンが借りにくくなると言われています。しかし借りることができないわけではありません。今回は自営業者(個人事業主)が住宅ローンを組もうとするとき、あらかじめどんなことに注意する必要があるのかを考えてみましょう。

自営業者は会社員よりも住宅ローン審査が厳しい

ほとんどの金融機関では、住宅ローンの融資条件のひとつに「返済可能な安定継続した収入や所得が見込める方」という審査項目を掲げています。

一般的に会社員は過去1~2年分の源泉徴収票、自営業者(個人事業主)は過去2~3年分の確定申告書の提出が求められます。

年によって収入や所得が大きく変動する可能性が高い自営業者は、会社員よりも長い期間の収入・所得が審査の対象になります。

自営業者の審査対象は「所得(収入-経費)」

また、会社員は収入(年収)が審査の対象になりますが、自営業者は所得(収入-経費)が審査対象になります。

たとえば、収入が同じ800万円で、自営業者の経費が300万円のケースで考えてみましょう。

このとき、会社員は年収の800万円が審査対象となるのに対して、自営業者は所得の500万円(=800万円-300万円)が対象になります。このことは、金融機関が貸してくれる住宅ローンの額に大きな影響を与えます。

返済比率35%の場合に借りられる住宅ローン額の比較
会社員の「所得」とは、年収から「給与所得控除額」というみなし経費を差引いた金額で、年収によって金額は異なる。年収800万円の人の給与所得控除額は、800万円×10%+110万円=190万円で所得は、800万円-190万円=610万円となる

金融機関は独自に「返済比率」という基準を設定しています。「返済比率」とは年収(自営業者の場合は所得)に占める年間返済額の割合のことで、たとえば、総返済負担率35%の場合、さきほどの会社員のケースでは年収800万円の35%にあたる280万円の年間返済額まで住宅ローンを借りることができますが、自営業者は所得500万円の35%にあたる175万円の年間返済額までしか借りることができません。

なお、返済比率の計算には、自動車ローンやカードローンなどの返済額も含まれるため、住宅ローンを借りるときには、事前に他のローンを繰上返済して整理したほうがよいでしょう。

自営業の方の中には、節税対策のために経費を使って所得を圧縮している方がいますが、できるだけ十分な額の住宅ローンを借りようと思うなら、目安として3年以上は所得額を増やして借りられる金額の枠を増やしておいたほうがいいでしょう。

また、審査時の提出書類には「納税証明書」もあるため、ちゃんと税金の支払いをして滞納しないことも重要です。

店舗併用住宅を建てるときの住宅ローンのポイント

店舗併用住宅の建設や建て替えを予定している自営業者の方が、住宅ローンを有利に借りるためには、建物の設計段階から配慮したほうがいいかもしれません。なぜなら床面積等によって使えるローンの種類が異なるからです。

一般的に、建物全体の床面積に対して、住居部分の床面積が2分の1以上であれば、住宅ローンを活用することができます。その時、住宅ローンは、住宅部分のみの建築費が対象になり、店舗部分は事業ローン等を活用しなければなりません。

住居部分の床面積が2分の1未満の場合は建物全体の建築費に対して住宅ローンが使えません。(【フラット35】の場合、住宅部分の床面積が2分の1以上であることなどが借り入れの条件※非住宅部分は借り入れ対象外)

住宅ローンは、事業ローンに比べて金利水準が低く、住宅ローン減税などの税制優遇を受けることもできるため、事業ローンより返済負担が軽くなりす。

金融機関によっては、事業年数を問わず、店舗併用住宅の面積要件も緩やかにして自営業の方にも借りやすい住宅ローンを取り扱っているところがあります。

とはいえ、自営業者への融資は金融機関にとってもリスクが高くなるため、金利タイプが変動金利(半年型)のみであったり、適用金利の水準が一般の住宅ローンよりも高いので注意が必要です。

自営業(個人事業主)の方が住宅ローンを借りるときには、会社員とは異なる注意事項がありますので、あらかじめしっかりと準備をして計画的に取り組んだほうがいいでしょう。

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(最終更新日:2021.04.23)
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