変動金利の方要注意! ローン残高が増えてしまう「未払利息」の原因と対策

変動金利(半年型)で住宅ローンを借りた場合、返済中に急激に金利が上昇すると「未払利息」が発生し、ローン残高が減らないばかりか逆に増えてしまうことがあります。変動金利(半年型)の住宅ローンを借りるときは、返済中の金利動向に注意するとともに、金利上昇時の対策も考えておく必要があります。

変動金利(半年型)だと、なぜ「未払利息」が発生するのか?

変動金利(半年型)の住宅ローンの適用金利は、市場金利の変動に応じて半年ごとに見直され、元金と利息の割合が変更するのが一般的です。しかし、毎月返済額が見直されるのは5年ごと(元利均等返済方式の場合)であるため、この間に急激に適用金利が上昇して利息額が毎月返済額よりも多くなってしまうと、その差額が「未払利息」になります。

【未払利息のイメージ】img_00075

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図のように、毎月返済額は「利息部分」と「元金部分」の2つで構成されています。毎月返済額は5年間見直されず金額が変わらないため、この間に金利が上昇すると「利息部分」が増え、「元金部分」が減ります。さらに金利がアップすると、「利息部分」が毎月返済額を上回る可能性があり、その場合、差額が「未払利息」となります。
「未払利息」が生じている期間は、毎月返済額のすべてが「利息部分」ですので、この間に元金はまったく減りません。それどころか、「未払利息」も支払う必要が出てくるため、負担が増えてしまいます。

5年が経過すれば毎月返済額は見直され、金利が上昇していると金額はアップします。しかし、変動金利(半年型)では、金額アップの上限がそれまでの毎月返済額の+25%と決められているため、未払利息が解消できない可能性があります。

毎月お金を払っていると、住宅ローンの返済が着実に進んでいると思いがちですが、変動金利(半年型)の元利均等返済方式には、「返済額が5年間見直されない」、「5年後に見直されても+25%が上限」という、金利上昇に伴う家計の急激な負担増を和らげる2つのルールが、かえって負担増をわかりにくくしている側面があります。
なお、全期固定金利型や当初固定金利型、および変動金利(半年型)の元金均等返済方式には、このようなルールがないため、「未払利息」が生じることはありません。

「未払利息」の支払方法は金融機関によって異なっており、返済の最終回にまとめて支払う方法や、発生後に分割して支払う方法などがあります。

「未払利息」への対策は?

変動金利(半年型)で住宅ローンを借りている人は、まず、現在が歴史的な低金利の状況下にあり、今後景気の回復や物価の上昇に伴って金利が上昇する可能性があることを認識する必要があります。
金利が上昇すれば、毎月返済額に占める「利息部分」が増え、場合によっては「未払利息」が発生する可能性があります。
日本銀行が「利上げ※」を行うと、変動金利(半年型)の金利がアップする可能性が高まります。金融機関から半年ごとに送られてくる「住宅ローンの償還表」の「利息部分」と「元金部分」の内訳の変化を確認するのを習慣化しましょう。
※利上げとは、中央銀行(日本の場合は日本銀行)が政策金利を引き上げることです。一般的にインフレ懸念が高まったり景気が過熱したりした場合に利上げが行われます。利上げが行われると市場金利が上昇し、預金金利や住宅ローン金利が上昇します。最近では、昨年12月に行われた米国の利上げが話題になりました。

「未払利息」への対策は、金利アップへの対策と同じです。金利が低いうちに金利タイプを固定のものに切り替えたり、他の住宅ローンに借り換えを行っておくのが最も確実な方法です。なお、金利は、一般的に変動金利(半年型)よりも全期間固定金利や当初固定金利が先に上昇する傾向があるため、実際に上がりはじめてからでは判断がしにくくなります。

また、貯蓄に励んで手元資金にゆとりを持たせ、繰上返済をしやすい状況を作っておくことも対策になります。なぜなら、繰上返済によって元金を大きく減らすことができれば、金利が上昇しても支払う利息額を増やさないですむからです。

住宅ローンを借りるときには、他の金利タイプよりも適用金利が低いことから変動金利(半年型)が魅力的に映ります。しかし、変動金利(半年型)には金利上昇リスクがあり、場合によっては「未払利息」が生じて、思わぬ負担増を招きかねないことに注意が必要です。

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(最終更新日:2019.10.05)
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