最近では、変動金利(半年型)より金利が低いものがあるなど、当初固定金利型の金利の魅力が増しています。とはいえ、選ぶ上で注意したい点もあります。どんな人なら、安心して選んでいいのか、具体例とともにみていきましょう。
当初固定金利型の特徴をおさらいしよう
まずは、当初固定金利型の特徴を確認しておきましょう。
どんな仕組み?
当初固定金利型は、借り入れ当初から一定期間金利が固定される特約がついた住宅ローンです。固定という名がついているものの、変動金利(半年型)に特約が付いたものと捉えましょう。固定金利期間は2年・3年・5年・10年・20年などがあり、一般的に固定される期間が短いものほど、金利は低く設定されています。固定金利期間終了後は、原則として変動金利(半年型)になりますが、金融機関によっては希望する固定金利期間を選び直すこともできます。
注意しておきたいことは?
もし固定金利期間の終了時に金利が上昇していた場合、毎月の返済額は増えてしまいます。さらに大きく上昇していたとしても、変動金利(半年型)のように返済額の上限を一定以内におさえてくれる措置(※)がない点に注意しておきましょう。つまり、予想以上に毎月の返済額が増えてしまい、一気に家計が苦しなることもありえるのです。
また、固定金利期間終了後、金利の優遇幅がどれくらいあるのかも大事なポイントです。キャンペーンと謳って、当初一定期間の金利のみ低くしてある住宅ローンもあります。当初より優遇幅が小さくなれば、世の中の金利が上がっていなくても、適用される金利は上がってしまいます。このような金利の仕組みを理解しておくとともに、「固定金利期間が終わる頃、家計はどんな状況か」を想像する力も大いに必要です。
メリット | デメリット |
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こんな人なら、当初固定金利型を選んでも大丈夫!
当初固定金利型は、一定期間毎月返済額を全期間固定金利型よりも抑えつつ、返済額を安定させることができます。では、どんな人なら当初固定金利型を選んでもよいのでしょうか?
一定期間を乗り切ったら、収入がアップする人
固定金利期間が終わったあと、収入が増える予定の人なら、ある程度の金利上昇リスクは取れると考えられます。たとえば、将来的に妻の働き方を増やせる人や、収入が伸びる見込みがある個人事業主などです。また、教育費などの支払いや、他の借り入れの支払いが終わるため、支出が減り、確実に家計の余裕ができる人なら検討してみてもよいでしょう。
固定金利期間終了時までに、借入残高を減らせる人
固定金利期間終了時の残高が少なければ、金利上昇の影響は小さくなります。もし金利が上昇したとしても、借入残高を減らすことによって、毎月の返済額が大きく増えるのを回避することができます。固定金利期間中に、繰り上げ返済用の貯蓄ができる人や、保険の満期金など、まとまった資金が入る予定の人なら選んでもよいでしょう。繰り上げ返済を使って残高を減らすことで、その後の返済負担を小さくできるからです。
こんな人に向いている |
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こんな人なら安心して選べる |
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繰り上げ返済は当初固定金利型のリスク対策にもなる
「一定期間を乗り切ったあとは、その後の返済額が増えても大丈夫」という人でも、いざ毎月の返済額が増えると心理的に負担を感じるものです。「返済額を増やさずに済む対策」として、繰り上げ返済用の貯蓄を始めてみましょう。
図は繰り上げ返済の効果です。例えば、借入金額3,000万円、返済期間30年、10年固定で当初10年間の金利は1.3%だった場合、11年目からの金利が、もし2.0%上昇し適用金利が3.3%になると毎月返済額は約2万円もアップします。
この金利上昇リスクを軽減するために、例えば8年目に300万円の繰り上げ返済を返済額軽減型で行っておくことにより、11年目からの返済額は当初の返済額よりも約5千円多くなる水準に抑えられます。
<前提>
借入金額:3,000万円
返済期間:30年
元利均等返済、ボーナス返済なし
当初金利:1.3%(10年固定)
11年目からの金利が3.3%になったと仮定
どんな状況になっても、負担を感じない返済方法を選択できるよう、貯蓄を増やしておくことも大事です。当初固定金利型なら、全期間固定金利型を選んだ場合より借り入れ当初の毎月返済額は少ないはず。このメリットを利用し、差額だけでも貯めるチャレンジをしましょう。ただし、貯蓄を減らしてでも繰り上げ返済すべきかどうかは、その時点の家計の状況もみてから決めましょう。
「当初固定金利型を選んでもいい人」とは、固定金利期間終了時の対策が取れる人といえます。「収入を増やす」「貯蓄で備える」という対策が難しい人は、【フラット35】などの全期間固定金利型を選んでおくと安心でしょう。
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(最終更新日:2019.10.05)