住宅ローン全期間固定金利型の【フラット35】(返済期間20年以下)が注目されています。金利の低さや完済まで金利が変わらない安心感、住宅の新規購入時のみならず、住宅ローンの借り換えにも利用できることも魅力の一つです。どのような人が【フラット35】(返済期間20年以下)を利用しているのかや上手な活用例をご紹介します。
住宅ローンを取り巻く環境
アベノミクスによる経済政策や、オリンピック開催に向けた消費への期待から、日本の経済は少しずつ動き始めています。デフレや低金利が当たり前だった時代から、一人ひとりが金利に敏感になることが求められる時代に変わりつつあります。
私たちの生活を見てみると、消費税や社会保険料などの負担が増し、今まで以上に家計の不安を感じている人が増えています。将来の金利や家計の状況を予測することが難しいからこそ、家計への影響が大きい「住宅ローン選び」は重要です。
【フラット35】(返済期間20年以下)の人気の理由
いま、【フラット35】(返済期間20年以下)が注目されている!
【フラット35】は、返済期間が21年以上の場合と20年以下の場合で金利が異なっていることをご存じですか? みなさんがよく目にする【フラット35】の金利は、おそらく返済期間が21年以上のものでしょう。
意外と知られていませんが、【フラット35】は、返済期間が20年以下であれば、21年以上の場合よりも低い金利で借り入れができるしくみになっています。
この【フラット35】(返済期間20年以下)が注目されています。全期間固定金利型の住宅ローンの中で、金利の低さが群を抜いているからでしょう。特に2014年に入ってからは、いく度か史上最低金利(※)を更新してきました。
また、【フラット35】は新規借り入れだけでなく、借り換えの場合でも利用することができます。金利の低さから、借り換え先の住宅ローンとしても注目されています。
金利が低い分、短期間で返済すると効果的
図1からもわかるように、返済期間が20年以下であれば、【フラット35】(返済期間21年以上)の金利よりも0.26%~0.28%程度低い金利になっています。しかも、20年先まで金利は変わりません。「25年くらいで返そうかな」と考えている人は、【フラット35】(返済期間20年以下)の利用を検討してみてはどうでしょう?
たとえば、2014年11月の金利で計算した場合、2,000万円を返済期間20年で借り入れると、返済期間25年の場合より毎月の返済額は約1.4万円増えますが、総返済額は約150万円少なくなります。しかも、返済は5年も早く終わり、最終的なトータルで家計全体の負担を大きく減らすことができます。
ただし、その分毎月の返済額も大きくなってしまうので、家計に余力がある人や借入額が少なめの人が向いているといえるでしょう。
<図1 ARUHIの【フラット35】金利推移>
多くのファイナンシャル・プランナーも支持
【フラット35】(返済期間20年以下)は、多くのFP(ファイナンシャル・プランナー)の間でも注目されています。活動の地域によって住宅ローン事情はさまざまですが、これだけ金利が低くなったことを背景に、【フラット35】(返済期間20年以下)をお客さまに提案するケースは増えているようです。
ここに、日頃住宅ローン相談を受けている全国各地のFPの声があります。「いま、自分が借りるとしたら?」という質問をした際、「【フラット35】(返済期間20年以下)を選ぶ」と答えたFPの声を、一部ご紹介しましょう。
全期間固定金利型を選択する理由としては、
・借入額が小さいので、10年固定との金利差による影響が僅少であること
・現在の金融政策を続けた結果10年後の金利が読めないこと
・返済額が確定することで家計支出をコントロールしやすいこと
というのが理由です。
それでは、【フラット35】(返済期間20年以下)をどう活用したら良いでしょうか?活用方法や、【フラット35】(返済期間20年以下)に借り換えした場合の効果についてご説明しましょう。
10年固定を考えているなら、【フラット35】(返済期間20年以下)も検討してみよう!
【フラット35】(返済期間20年以下)の魅力の一つは、変動金利や10年固定との金利差が小さくなっている点です。ここ1年ほど、【フラット35】(返済期間20年以下)の金利は1%台前半で推移しています。これは、メガバンクや地方銀行などの10年固定の金利に迫る勢いです。「10年固定で借り入れしよう」と考えている人は、この【フラット35】(返済期間20年以下)の利用を検討してみてはいかがでしょうか?
10年固定は、金利固定期間が終わった11年目から金利が上がる可能性がありますが、【フラット35】(返済期間20年以下)であれば、完済まで当初の金利が約束されています。10年後の家計の様子を想像してみましょう。「返済額が増えると大変」と思う人にとっては、大きな安心が得られる選択といえます。
【フラット35】(返済期間20年以下)は、8人中5人が「借り換え」で利用!(2013年度)
【フラット35】(返済期間20年以下)の実行件数は、2011年度から2013年度の2年間で2倍に増えました(図2参照)。その要因は、「借り換え」での利用が大きく増えたことにあるでしょう。
借り換えの実行件数は、この2年の間に5倍にもなっています。【フラット35】(返済期間20年以下)が借り換えをする人から支持されていることがよくわかります。
<図2 【フラット35】(返済期間20年以下)実行件数推移>
では、借入金額や返済期間はどのくらいでしょうか?
【フラット35】(返済期間20年以下)の借り換え利用者のうち約半数が、2,000万円以下の借り入れです(図3参照)。
次いで約3割の人が3,000万円以下と、比較的借り換えの残高が少なめの人から選ばれていることがわかります。また、借り換えをした人の7割近くが、返済期間20年に借り換えています(図4参照)。
<図3 [借り換え] いくらくらいの借り入れが多い?>
<図4 [借り換え] 何年くらいの借り入れが多い?>
借り換えすると、どのくらいメリットがある?
それでは、実際に2つの借り換え例をみてみましょう。この2つの例では、【フラット35】(返済期間20年以下)で借り換えした結果、大きな効果が生まれています。
「借り換え例」を目安に、わが家のメリットをイメージしてみてください。
<共通の前提条件>
・残高:2,500万円
・残りの返済期間:25年
借り換えにあたって
・元利均等返済
・ボーナス返済なし
・諸費用のうち80万円を上乗せして借り入れ(諸費用明細は下記参照)
<例1> 全期間固定金利型から【フラット35】(返済期間20年以下)に借り換え
金利が高めの全期間固定金利型で借り入れしている人は、【フラット35】(返済期間20年以下)へ借り換えることで、多くの場合総返済額を減らせます。借り換えには諸費用がかかりますが、借入額に上乗せして借りることもできます。
返済期間を20年に縮めることで、定年前に返済が終わるなどのメリットも得られます。返済期間を短くすると毎月の返済額が増える場合もありますが、総返済額は抑えることができます。
<例2> 変動金利から【フラット35】(返済期間20年以下)に借り換え
変動金利で借り入れしている人は、【フラット35】(返済期間20年以下)に借り換えると、多くの場合は金利が高くなり、毎月の返済額も増えてしまうでしょう。しかし、変動金利は将来の金利上昇が心配、という人には有効です。
この例は、金利上昇幅を5年ごとに0.5%ずつとやや小さめに想定しています。それでも、返済期間は5年短くなり、総返済額は約98万円少なくなりました。今後の金利上昇がもっと大きければ、メリットはさらに大きくなります。返済額が増えるリスクをなくしたい場合には、とても有効な借り換えといえるでしょう。
【フラット35】(返済期間20年以下)はこんな人にピッタリ!
ARUHIの利用者データや、借り換え例から分析すると、【フラット35】(返済期間20年以下)は次のような人に向いています。あてはまる人は検討してみましょう。
・ローン残高が比較的少なめの人(返済期間20年でも毎月の返済が苦しくならない)
・残りの返済期間が20年前後の人
・40~50代で新しく借り入れをする人
損得よりも、「リスクに備える」選び方
住宅ローンは20年、30年といった長い返済になります。その間には、急にお金が必要になったり、突然収入が減ったりなど、いまは予測できないことも起こりうるでしょう。将来が読みづらい人ほど、住宅ローンは「損得で選ぶ」よりも「リスクに備える選び方」をすることが大事です。
将来の金利がどうなるか、みなさんはどのように感じていますか?
家計の支出は住宅ローンだけではありません。教育費や老後のお金、日常の出費など、たくさんの項目をトータルで考えていく必要があります。将来の見通しをより立てやすくするには、毎月の返済額が変わらない住宅ローンは、きっと心強い味方になるでしょう。
(最終更新日:2021.04.01)