長年住み慣れた自宅や、自宅を中古で購入する場合など、リフォームを検討することもあるでしょう。自宅を購入する時に住宅ローンを活用することは想像しやすいですが、リフォームに関する費用はどのように支払うのが有利なのでしょうか。考えてみます。
住宅ローンとリフォームローンの違い
住宅ローンは購入する対象物件に抵当権を設定することもあり、低い利率で長期間の借り入れを行うことができます。一方、通常のリフォームローンでは抵当権などの担保を設定せず、住宅ローンに比べると利率が高く、短期間で返済することが一般的です。
リフォームローン | 住宅ローン | |
借入上限額 | 500万円程度 | 1億円 |
返済期間(最長) | 10~15年など | 35年など |
金利 | 通常、住宅ローンより高い | 低い |
担保 | 無 | 有(抵当権) |
審査期間 | 短い | 一定期間必要 |
審査 | 比較的やさしい | 比較的厳しい |
中古住宅を購入する場合、物件購入と並行して、リフォームの内容も検討し、物件とリフォームの契約を同時期に行うことで、リフォーム費用を住宅ローンに上乗せして借り入れを行う方法があります。入居してからリフォームを行うなど、物件の契約とリフォームの契約のタイミングがずれると、費用の支払いは貯蓄かリフォームローンで行うことが多いです。リフォーム費用を住宅ローンで準備したい場合、リフォームについて早めの計画が必要といえます。
既に住んでいる住宅に対してリフォームを行う場合はどうするとよいでしょうか。中古住宅を購入する事例でご紹介したとおり、物件契約のタイミングとずれるため、通常の選択肢は貯蓄かリフォームローンとなります。一方で、最近では、住宅ローンの借り換えと同時にリフォーム費用についても上乗せして借り入れ、返済するという選択肢も増えています。
金利が低ければ絶対に有利か
住宅ローンに比べてリフォームローンの金利が高いと聞くと、リフォーム計画を早めたり、借り換えを検討したりして、なんとしても住宅ローンで支払いを行いたいと考える人も多いかもしれません。しかし、この点については少し注意深く検討する必要がありそうです。
リフォームに必要な資金500万円を返済することを考えてみましょう。金利2.5%・返済期間10年のリフォームローンで借りた場合の総返済額は、約566万円です。一方金利1.5%・返済期間35年の住宅ローンで借りた場合の総返済額は、約643万円になります。住宅ローンの方が金利は低く、月々の負担も軽い(リフォームローンは約4.7万円、住宅ローンは約1.5万円の上乗せ)のですが、返済期間が長くなると、総返済額は多くなることもあるため、一度計算をしてから判断をするのがおすすめです。
同じ例でも例えば住宅ローンの返済年数が20年など短くなると総返済額は約579万円(月々約2.4万円)と少なくなります。既存の住宅にリフォームを行う場合などは、借り換えにリフォーム費用を上乗せ(※)し、こうした返済年数になることもあるでしょう(※金融機関によって商品が異なりますので、詳しくはお問い合わせ下さい)。リフォームローンが有利、住宅ローンが有利、と断定せず、ご自身のケースで一度シミュレーションしてみるのが安心です。
<借入額500万円の場合の比較>
リフォームローン | 住宅ローン(35年) | 住宅ローン(20年) | |
金利 | 2.5% | 1.5% | 1.5% |
返済期間 | 10年 | 35年 | 20年 |
総返済額 | 約566万円 | 約643万円 | 約579万円 |
月々返済額 | 約4.7万円 | 約6.2万円 | 約2.4万円 |
100万円以上のリフォームは住宅ローン減税の対象にも
リフォーム費用を住宅ローンで支払うか、リフォームローンで支払うかを検討する場合にもう1つ知っておきたいポイントがあります。それは一定規模以上の修繕・模様替え、省エネ・バリアフリー改修などで工事費が100万円以上の場合、住宅ローン減税が使えるということです。
住宅ローン減税とは、一定期間、年末ローン残高の割合に相当する金額を、所得税・住民税から減額される制度です。住宅購入時に受けられる印象が強い制度かもしれませんが、自宅のリフォームでも条件を満たせば利用できます。2021年12月31日までの取得の場合年末ローン残高が4,000万円まで1%、10年間、最大400万円の減税となります。ローン年数が10年以上の場合に利用できます。
先ほどの、500万円のリフォーム費用の例で考えてみます。住宅ローンに上乗せをして借り入れを行う場合で35年返済した場合は合計最大約45万円弱、20年返済した場合は合計最大約40万円弱、減税を受けられることになります(毎年の年末ローン残高を基準に計算するので500万円×1%×10年より少なくなります)。
リフォームローンでローン年数が短い場合、住宅ローン減税は受けられません。リフォームローンで借りるか、住宅ローンで借りるか、住宅ローン減税分を考慮して比較するのも1つの方法です。
なお、ローン期間が10年未満(現金支払含)であっても、省エネ、耐震、バリアフリー、三世代同居対応など特定のリフォームについては減税措置があります。耐震工事に関するものは住宅ローン減税と併用可能で、その他のリフォーム減税は住宅ローン減税との併用はできません。
合計金額の損得だけではなく、月々の負担や、数年後に繰り上げ返済ができるか、ある程度現金で支払えるか、などで判断が分かれるところもあるかと思います。実際に借り入れする金額と金利、返済期間と減税措置を照らし合わせて、我が家に一番有利な組み合わせを選択できると嬉しいですね。
▼【相談無料】住宅ローン専門金融機関/国内最大手ARUHIは全国に店舗を展開中