金利負担を大幅に減らすこともできる「住宅ローンの借り換え」は、住宅ローン利用者なら気になるところ。でも、「借り換え」のタイミングや借り換え先の選び方に迷う方も多いようです。今回は、「借り換え」のタイミングや相談について考えてみましょう。
住宅ローンの「借り換え」とは?
まず、住宅ローンの借り換えについて、おさらいしておきましょう。
住宅ローンの「借り換え」とは、返済中の住宅ローンを、新たに借りた住宅ローンによって一括返済し、その後は新たに借りたローンを返済していく方法です。より低金利の住宅ローンに借り換えできれば利息負担が減るため、月々の返済額を減らすことができたり、返済期間を短くしたりすることができます。
なお、借り換えをするには諸費用がかかるので、金利の比較だけでなく、諸費用も含めて「お得」になるかどうかを比較することが大切です。事務手数料や保証会社に支払う保証料、印紙代、登録免許税、司法書士報酬等が必要になります。借入金額や商品、手数料の違いによってかかる費用は違ってきますが、数十万円はみておいたほうがよいでしょう。手数料の設定は、定額のタイプと「借入金額×2.16%」といった定率のタイプがあり、表1のように定率タイプのほうが手数料は高くなりがちです。そのかわり、定額タイプよりも借入利率が低く設定されている場合が多いようです。
諸費用も込みで借り換えできる住宅ローンも多いので、自己資金がなくても借り換えはできますが、費用分も借りれば借入金額が大きくなり、その分利息負担は増えることは意識しておきましょう。
<表:住宅ローンの借り換え例 ソニー銀行の住宅ローンの例>
現在のローン | 借入残高:2,000万円 残りの返済期間:20年 金利:2% 毎月返済額:101,176円 |
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借入商品 | 住宅ローン | 変動セレクト住宅ローン |
返済方法 | 元利均等返済・毎月返済のみ(ボーナスなし) 20年返済 |
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金利タイプ | 変動金利 0.849% | 変動金利 0.549% |
借換後の毎月返済額 | 90,637円 | 88,011円 |
借換後の総返済額 | 21,757,630円 | 21,125,539円 |
現在との比較 | -2,524,610円 | -3,156,701円 |
取扱手数料 | 一律 43,200円(消費税込) | 借入金額×2.16%(消費税込) |
諸費用(概算)※ | 概算登記費用(税込) 約198,800円 |
概算登記費用(税込) 約198,800円 |
諸費用の合計額 | 262,000円 | 650,800円 |
諸費用を考慮した現在との比較 | -2,262,610円 | -2,505,910円 |
※ソニー銀行の住宅ローンは、保証会社を利用していないため保証料はかかりません。
ソニー銀行 住宅ローンシミュレーションにより2016年12月18日に試算。「諸費用の合計額」「諸費用を考慮した現在との比較」は筆者計算 http://moneykit.net/visitor/hl/simulation.html
借り換えのタイミング
このように、利息負担を大幅に減らすことも可能な「借り換え」ですが、諸費用負担も考えると、金利が少々下がったからといって頻繁に行うわけにもいきません。いつ借り換えを考えればいいのでしょうか?
借り換えに踏み切るための第1条件は、借り入れ時よりも住宅ローンの金利が低くなっていることなので、まずは金利動向に気を配っておきましょう。特に、長期金利(新発10年国債利回り)は長期の住宅ローン金利の指標となるので、要チェックです。金利下落のニュースを頻繁に耳にするようになったら、借り換え可能な住宅ローンの金利を確認して、借り入れ中のローンの金利や条件と比較してみましょう。
一般に、借り換えで利息軽減効果が上がるとされる目安は、下記の3つの条件を満たす場合とされています。残高が多く、返済期間が長く、金利差が大きいほど、効果が高くなります。3つの条件を満たした上の表の例では、諸費用を考慮しても200万円以上の利息軽減効果がありました。
【1】ローン残高が1,000万円以上
【2】ローンの残りの返済期間が10年以上
【3】借り換え前と借り換え後のローンの金利差が1%以上
しかし、これらの要件を満たしていなくても、利息軽減効果が得られる場合もあります。借り入れのローンよりも低金利のローンを見つけたら、金融機関のHP等の住宅ローンシミュレーションで、試算してみるとよいでしょう。
「借り換え」の情報収集と相談
借り換えに関する情報はネット上で集めることもできますし、お近くの金融機関で勧誘を受けチラシ等を手にすることもあるでしょう。まずはご自分で、今の金利がどれくらいで、借り入れ中のローンとはどれくらい差があり、諸費用はいくらかかりそう…という基本的な情報を集めてみましょう。住宅ローン比較サイトなどで金利の比較もできますし、金融機関のHP等で借り換えのシミュレーションもできます。
借り換え先の候補が絞り込めて来たら、各金融機関に具体的な条件を伝え、見積もりを依頼して比較検討します。多くの金融機関で住宅ローンの借り換えの相談は無料で行えますが、検討されるのは現在借り入れのローンとその金融機関取り扱いの住宅ローンとの比較が中心になります。
「借り換え先の商品や金融機関が絞り込めない、複数の金融機関の商品を比較検討してほしい」という場合には、ファイナンシャル・プランナー(FP)などの専門家に相談するのもよいでしょう。1つの金融機関に縛られない立場のFPであれば、中立公正な立場から、依頼者の要望に応じた比較検討を行ってくれるでしょう。また、住宅ローンの借り換え相談を専門に行う業者もあり、金融機関への見積もり依頼や金利交渉なども行ってくれる場合もあるようです。
ただし、異なる金融機関のローン商品を比較検討するような「相談」には、お金がかかると思った方がよいでしょう。料金設定はFPや業者によって異なります。相談する前に料金設定を確認し、どんなことが相談できるのか、何をやってもらえるのかを確認し、「借り換えによる利息軽減効果」とひき比べて、相談料金が割高にならないかを検討してみてください。
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返しやすい住宅ローンを選ぼう
だれに相談したとしても、最終的に借り換えを決断し、ローンを選ぶのはあなたです。金利面だけでなく、条件や諸費用等も比較して、なるべく「お得」で、その後も返済しやすいローンを選びましょう。
ローンを選ぶ際には、その後の金利動向をよく考えましょう。今後も低金利が続くと思えば、変動金利や短期の固定金利選択型のほうが有利ですが、金利上昇を予測するなら、多少金利が高めでも固定金利期間の長いローンを選んだほうが、有利に返済を続けることができます。
諸費用については、借り入れ時だけでなく、返済中に繰り上げ済や条件変更を実行した場合にかかる諸費用も考慮しましょう。借り換え後であっても残りの返済期間が10年、20年と長ければ、途中で返済方法を見直すことも考えられます。ネット上でどんな手続きができるのか、店頭で手続きが必要な場合には訪問しやすいかなども、確認しておきましょう。
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