住宅ローン控除は2年目以降も確定申告が必要なの? ~2年目以降は年末調整で手続きができる~

住宅ローンを組んだ際に適用を受けられる住宅ローン控除は、給与所得者であれば、初年度は確定申告をする必要がありますが、2年目以降は年末調整で手続きは完了します。今回は、住宅ローン控除について、2年目以降の手続きや書類の書き方についてみてみます。

2年目以降は、給与所得者であれば年末調整で手続きは完了する!

住宅ローン控除の適用を受ける際、初年度は誰でも確定申告が必要ですが、2年目以降は給与所得者の場合には、会社を通して年末調整を受けることで手続きが完了します。必要な書類は以下の2種類です。

1.「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」
⇒初年度行った確定申告の後、その年の10月下旬頃に税務署からその後9年分まとめて送られてきます。それぞれ、左上に平成○年分と記入され、使用する年が決まっているので、なくさないように大切に保管しておきましょう。
2.「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
⇒金融機関から毎年10月くらいに送られてくるもので、住宅ローンの年末残高(予定金額)を証明する書類。
ちなみに通常、夫婦で1本の住宅ローンを連帯債務で組んだ場合は、夫婦それぞれに持ち分割合で計算された残高証明書が届くのではなく、年末時点の融資残高の全額を記載した証明書が届きます。金融機関としては、持ち分はともかく、とにかく二人で全額を返してくれればいいからです。

以上の2種類の書類に記入をして、会社に提出すれば、手続きは完了です。なお、もし、年末調整に関する必要書類の提出期限までに金融機関から「年末残高等証明書」の交付が受けられなかった場合、個人で確定申告を行わなければなりません。ただし、翌年1月31日までに「年末残高等証明書」の交付を受けたときは、その証明書を会社に提出して年末調整の再計算を受けることもできます。

年末調整のための住宅借入金等控除証明書の書き方は?

では、具体的に一戸建ての住宅を購入していた場合の住宅借入金等控除証明書の書き方を見てみましょう。以下の書類は、国税庁HPから抜粋した書類の書き方例です。順に確認していきます。例では平成25年分となっておりますが、記入方法は変わりません。

出典:国税庁HP 給与所得者の住宅借入金等特別控除申請書の記入例より

A.氏名や勤務先の記入

この部分には、勤務先名、勤務先住所、自分の氏名住所を記入します。印鑑を捺印することも忘れずに。

B.「新築又は購入に係る借入金等の年末残高」

この欄には、毎年10月頃に金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」に記載されている内容を転記します。土地は現金で購入し、建物のみ住宅ローンを組んだ場合には「住宅のみ」など、区分に該当する欄に記入をしましょう。

※夫婦で連帯債務となっている場合
もし、夫婦で連帯債務となっている場合は、年末残高等証明書には、ローン残高全額が記載されているため、「物件の持ち分による割合」を考慮する必要があります。持ち分の計算は下記のとおりです。
住宅ローン年末残高 × 持ち分割合(%) =図表B欄に記入する金額
また、「連帯債務による住宅借入金等の年末残高」欄には年末残高等証明書の年末残高を記入し、「備考」の欄には、連帯債務者からの一筆が必要となります。(青枠の部分を参照)

C.「家屋または土地等の取得対価の額」

ここには、「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」のG部分の数字をそのまま書き写します。

D.「家屋の総床面積又は土地等の総面積のうち居住用部分の床面積又は面積の占める割合」

この欄は、家屋の総床面積または土地等の総床面積と、そのうちの居住用部分の占める面積と割合を記入します。土地、家屋ともにすべて居住用であれば、割合は100%となります。具体的には、「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」のH部分の数字を見ながら記入しましょう。

E.「住宅借入金等特別控除額の計算の基礎となる借入金等の年末残高」

(5)の居住部分の年末ローン残高をそのまま書き写します。

F.「住宅借入金等特別控除額」

「住宅借入金等特別控除額の計算の基礎となる借入金等の年末残高」(図表E欄)の1%の金額を記入。ただし100円未満の金額は切り捨てます。そして、これが、還付が受けられる住宅ローン控除枠となります。

「年間所得の見積額」欄には、1月1日~12月31日までの概算の所得見積額を記入します。給与所得の方は、大幅な給与や賞与のアップがない限り、昨年の所得でも構わないでしょう。昨年の所得は源泉徴収票を見れば確認をすることができます。

もし、記入する際に不明な点が出てきたら、最寄りの税務署に聞きに行ってもいいですね。税務署は敷居が高いと感じがちですが、丁寧に担当の方が教えてくれますのでご安心を。

なお、年の中途で退職して年末時点でどこにも在職していなかった、年の中途で退職し、起業・独立したなどの場合には、年末調整では手続きできないので、初年度と同様に、確定申告が必要となります。

また、もし、年末調整のための書類を提出した後に、繰り上げ返済をして「年末借入金残高証明書」に記載している残高と変わってしまった場合には、翌年の1月31日までであれば、会社にお願いをして、年末調整を再度行ってもらう方法があります。
会社に申し出るのが難しい場合や年末調整のやり直しに間に合わない場合には、自分で確定申告をすれば問題ありません。何もせずに年末調整の間違いを直さずに放っておくと、会社に迷惑をかけることになるので、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告をして年末調整の間違いの訂正をすること忘れずに!

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(最終更新日:2019.10.05)
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