2016年5月に確定拠出年金法が改正され、パートや専業主婦でも加入可能になりましたが、そもそも確定拠出年金とはどういう制度なのでしょうか。加入するにあたって何か気をつけておきたいことがあれば教えてください。(30代/女性/事務職)
確定拠出年金は自分で運用した資金を受け取る年金です
確定拠出年金は、公的年金(国民年金保険、厚生年金保険)に上乗せされる年金制度の一つです。毎月決まった掛金を専用口座に積み立て60歳以降に年金として受け取ります。英語で「Defined Contribution Plan」と言うため、略して「DC」とも呼ばれています。
確定拠出年金(DC)の最大の特徴は、自分が運用した資金を60歳以降、年金または一時金として受け取ることです。運用がうまくいけば年金額は増えますが、運用次第で元本割れする可能性もあります。
確定拠出年金(DC)の制度には、会社が毎月掛け金を拠出して従業員である個人が運用する「企業型確定拠出年金」と、企業型確定拠出年金の制度を持たない会社の従業員や自営業者が自分の収入から掛金を拠出する「個人型確定拠出年金」の2種類があります。
確定拠出年金法の改正で何が変わる?
2016年5月の確定拠出年金法の改正で、2017年1月から、今まで掛金を拠出することができなかった専業主婦や公務員も「個人型確定拠出年金」に加入できるようになります。
たとえば現在の制度では、会社員として「企業型確定拠出年金」に加入していた人が退職して専業主婦(主夫)となった場合、それまでに積み立てた年金の運用を続けることはできても、新たに掛金を積み立てることはできませんでした。今回の改正で、結婚して会社を退職し専業主婦(主夫)となっても、毎月積み立てを続けることができるようになります。
確定拠出年金(DC)のメリットは3つの税制優遇
確定拠出年金(DC)は老後の資産形成のための特別な制度であるため、税制上の優遇があります。
<所得税・住民税の取り扱い>
毎月の掛金に対して | 掛金に対して非課税 |
運用期間中 | 運用収益に対して非課税 |
積立金受取時 | 年金で受け取る場合:雑所得として公的年金控除を受けることができる。 一時金で受け取る場合:退職所得控除を受けることができる。 |
たとえば、他の制度で積み立てた場合、運用した収益で1万円のもうけが出ると、約20%の税金がかかり受取額は8,000円弱となりますが、確定拠出年金(DC)で積み立てた場合、1万円がそのまま確定拠出年金(DC)口座に積み上げられます。また60歳以降の受取時にも、たとえば30年間確定拠出年金(DC)の制度で積み立てた場合、他の制度の退職金と合わせて1,500万円までは非課税で受け取れます。ただし、毎月の掛金に対する非課税は、残念ながら専業主婦(主夫)の場合そもそも税金を支払っていないため、その恩恵を受けることはできません。
個人型に加入する場合は手数料に注意
確定拠出年金(DC)は運用や税制などさまざまなメリットもありますが、注意点もあります。主な注意点は、「運用の結果は自分自身にあること」「60歳まで口座の積立金を引き出せないこと」「手数料がかかること」です。
手数料は金融機関ごとに差があります。個人型確定拠出年金は金融機関を自分で選ばなくてはなりません。運用商品のラインナップとともに手数料にも目を向けて金融機関を選びましょう。特に、口座管理手数料は毎月口座から差し引かれます。金融機関によって年間5,000円程度、30年間では15万円の差があるようです。
日本は今後まだまだ高齢化が進み、公的年金だけではなく自分自身で老後資金を積み立てる重要性が増してきます。個人型確定拠出年金の運営主体である「国民年金基金連合会」のホームページでよく制度を確認し、若いうちから時間をかけて老後資金を育てるために、確定拠出年金制度を利用してみてください。
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