税金や社会保険料を滞納すると、住宅ローンの審査は通らない?

「クレジットカードやカードローンの延滞をしたわけでもないのに、住宅ローンの審査が通らなかった。」実はそんな時、税金や健康保険料、年金保険料など社会保険料の滞納が思わぬ落とし穴になっていることがあります。審査に万全を期すためにも、住宅ローンを申し込む前に税金や社会保険料の納付状況を確認しておきましょう。

特に気をつけたいのは自営業者と会社経営者

まず滞納に気をつけたいのは自営業者や会社経営者です。会社員は給与天引きで税金や社会保険料を差し引かれた金額が個人の通帳に振り込まれます。しかし、自営業者の場合、所得税は源泉徴収されますが、住民税や社会保険料は自分で納めることになります。もちろん、口座振替や自治体によってはクレジットカード払いなど振り込み手続きを省くことはできます。しかし口座の残高不足などで引き落としができないと滞納になってしまいます。
同じく、会社経営者の場合も注意が必要です。個人口座に振り込まれた役員報酬から住民税や社会保険料を支払う場合が多いからです。そのため、うっかり納付を忘れたり、引き落としができなかった、ということも起こります。


うっかり納付を忘れている場合、忘れた頃に未納や追徴のお知らせがやってきて、はじめて気づいたということにもなりかねません。住宅ローン審査の前には納付状況を通帳や領収書、振込用紙の控えなどで念のため確認しておきましょう。


まれにですが、会社員でも税金や社会保険料が天引きされていたのに、会社が納めていなかった、という事例も聞くことがあります。源泉徴収票などの書類で、年収に対する所得税や社会保険料が極端に少なすぎないか、確認しておきましょう。会社員の税金や社会保険料の目安は以下の通りです。なお、社会保険料は会社の制度により異なります。参考にしてみてください。


<会社員の社会保険料や税金の目安>

所得税 (年収-給与所得控除-社会保険料など所得控除の額の合計)×所得税率
※国税庁タックスアンサーNo.1400、No.2260参照
住民税 所得割額(税率は10%)+均等割額(自治体による)
※各自治体HPで確認
社会保険料 40歳未満:年収の13~14%  40歳以上:年収の14~15%

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住宅ローンの申込時に提出する書類から滞納をチェック!

税金や社会保険料の滞納の情報は個人信用情報機関には登録されないため、金融機関では滞納の情報はわかりません。では、どうして金融機関は税金や社会保険料の滞納に気づくのでしょうか。
住宅ローンの申し込み時に提出する書類一式から、審査のチェックポイントを推測してみます。
<確認書類の一例>

確認内容 会社員の場合 自営業者・会社経営者等
所得税 源泉徴収票1~2年分など 納税証明書過去2年分など・確定申告書および付表(決算書、収支内訳書等の一式)過去2年分、納税証明書その1、その2など
住民税 住民税特別徴収税額の通知書または住民税課税証明書など(源泉徴収票2年分提出で省略可能な場合もある)
固定資産税(所有していれば) 納税証明書など 納税証明書など
健康保険料または自治体により健康保険税 源泉徴収票・健康保険証など 確定申告書・健康保険証など
年金保険料 源泉徴収票など 確定申告書など

会社員の場合、税金や社会保険料の滞納は考えにくいため、源泉徴収票で所得税や社会保険料の金額を確認する程度です。住民税は前年の所得に対して課税されるため、毎年6月ごろに発行される住民税特別徴収税額の通知などで確認します。住民税は会社員の場合給与から天引きされるのが一般的ですが、派遣や契約社員などの働き方や会社によっては、自分で納めている場合もあるので気をつけましょう。
社会保険料は、2~3年以内に転職している場合などは注意が必要です。再就職までに期間があった場合、手続きをしていないとその間社会保険料が未納になっている可能性があります。心配ならば自治体や近くの年金事務所に連絡をして確認しておきましょう。


自営業者の場合は税金の納付状況は納税証明書で確認します。納税証明書(その1)で納税すべき税額、納付した税額、未納税額等がわかります。納税証明書(その2)で所得金額がわかります。自営業者の納税については金融機関が書類でしっかりと確認できます。
健康保険料(税)については、確定申告書に社会保険料の記載欄がありますが、金融機関によっては、国民健康保険税の納税証明書を求められることもあるようです。また長期間健康保険料(税)の滞納をすると「短期被保険者証」という、有効期間が数ヶ月の保険証が渡されるため、長期の滞納がわかってしまいます。
年金保険料に関しては支払いの証明を求められるケースはあまり聞いたことがありません。しかし、確定申告書の社会保険料の金額が明らかに少ない場合は、年金定期便などの提出を求められるケースがゼロではありません。直近2~3年の納付漏れは確認しておくと安心でしょう。


また、会社経営者の場合は過去2~3年分の決算書を求められるのが通常です。決算書から税金の滞納がわかることもありますので、源泉徴収票だけでなく決算書の内容も確認しておきましょう。

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まとめ

税金や社会保険料の納付状況は個人信用情報機関に登録されるわけではありません。また、国や自治体が金融機関に情報を提供することもありません。そのため金融機関は住宅ローン審査で提出された書類から納付状況を推測するしかありません。しかし、提出書類から税金や社会保険料の滞納がわかった場合、やはり審査への影響は大きくなります。なぜなら、納税も年金への加入も国民の義務だからです。
思い当たる方は住宅ローンの審査に申し込む前に、自分自身の納付状況をもう一度確認しておきましょう。そして納付漏れがわかったら、すみやかに未納状態を解消してから住宅ローンを申し込みましょう。

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(最終更新日:2024.04.19)
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