子どもの大学進学資金、どうやって貯めればいい?


中学生の息子が大学進学するときのために、教育資金を貯めたいと思っています。大学進学まで5年ほどですが、どうやって準備すればよいでしょうか。(40代前半/女性/主婦)

進学資金は、安全性・確実性を重視して、預貯金などを利用して準備しましょう。運用期間が長ければ、資金の一部を、投資信託等で運用してもよいでしょう。

教育資金の準備は、「安全・確実」を優先

教育資金は使用時期(=進学時期)に必要な金額を確実に準備できることが大切なので、「一定の時期に約束された金額が受け取れる」預貯金や債券(国債など)、学資保険などを中心に準備していきます。

とはいえ、「安全・確実」な金融商品の利用だけで資金を「殖やす」のは難しいので、教育資金の一部は、「高収益も期待できる」投資信託等で運用してもよいでしょう。一定の投資金額まで収益を非課税で受け取れるNISA口座やジュニアNISA口座で運用すれば、さらに運用効果は高くなります。

ただし、投資信託のような価格が変動する金融商品で運用して収益を得るには、いったん値下がりしても値上がりするまで待つことができる「時間」が必要です。したがって投資信託などでの運用は、少なくとも5年以上は運用期間がとれる(現金化しなくてもいい)資金で行った方がよいでしょう。

投資信託等の価格変動商品を利用する場合は、積立形式で、毎月一定額を購入するようにしていけば、価格が高いときには少ない口数を、価格が安いときには多い口数を買うことになるので、平均購入単価を抑えた投資を行うことができます。

中学生からの大学進学資金準備のベースは、積立貯蓄

中学生になると加入できる学資保険はほとんどないので、息子さんの大学進学資金の準備は預貯金や国債などの債券が中心になるでしょう。まずは、積立貯蓄や財形貯蓄などの「毎月自動的に貯める」仕組みを利用して、着実に貯めていきましょう。

預貯金だけでなく、個人向け国債の「変動10年」の利用もよいでしょう。「変動10年」は、半年ごとに金利が見直されるので金利の上昇が期待できる一方、0.05%の最低金利が保証されています。当初1年間は中途換金できず、換金する場合は、直前2回分の利子の約8割分が引かれます。大学進学資金として利用する場合は中途換金することになりますが、できるだけ大学生活後半になってから換金すれば、中途換金のデメリットを減らすことができます。

中学生からの大学進学資金の準備期間は、受験・入学までなら約5年ですが、卒業までなら約9年あります。預貯金等で確実に教育資金準備を進めつつ、長期運用が可能な一部の資金は投資信託積立等で運用してもよいでしょう。

進路によって、かかるお金を早めに把握

お金を貯めるだけでなく、大学進学にかかる費用も早めにチェックして、教育資金準備の「目標額」も明らかにしていきましょう。  

表1は、大学の学費について、表2は大学生の生活費についての平均データです。実際にかかる学費は、大学・学部ごとに異なりますし、生活費は地域によっても差があるでしょう。息子さんの希望の進路が見えてきたら、早めにその大学・学部でかかる学費や、住居費の相場などもチェックしておきましょう。

<表1:大学の入学料・施設設備費・授業料 平成26年度>

  授業料 入学料 施設設備費
国立 535,800 282,000
私立 文科系学部 746,123 242,579 158,118
理科系学部 1,048,763 262,436 190,034
医歯系学部 2,737,037 1,038,128 831,722
その他学部 951,119 270,233 237,196

国公私立大学の授業料等の推移(文部科学省)より
平成26年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について(文部科学省)より

<表2:居住形態別の学生生活費(大学学部・昼間部)> (単位:円)

  自宅 下宿・アパート・その他
国立 1,099,300 1,714,600
公立 1,098,800 1,649,400
私立 1,769,600 2,390,500
平均 1,677,100 2,129,900

平成26年度学生生活調査結果(概要)(日本学生支援機構)より

また、東京私大教連の「2015年度私立大学新入生の家計負担調査」によると、「受験費用」は、自宅外通学の場合で252,800円、自宅通学の場合でも224,200円です。受験校の数や所在地にもよりますが、受験費用だけでも20万円以上の負担はみておいたほうがよさそうですね。

奨学金や教育ローンの情報もチェック

これから5年の大学進学資金の準備では、必要金額が貯められない可能性もあります。万一に備えて、奨学金や教育ローンの情報も集めておきましょう。

奨学金は、日本学生支援機構の奨学金が有名ですが、各大学、地方自治体、企業などが設けているものもあります。中には、返済不要の給付型の奨学金もあります。ただし、利用者にとって有利な奨学金ほど、成績基準などは厳しくなります。早めに奨学金情報を集めて、息子さんの勉強の励みにできるといいですね。

教育ローンは、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」の他、銀行等の民間金融機関の教育ローンがあります。銀行等のローンは、給与振込口座がある等の取引関係によって優遇される場合もあります。

ただし、奨学金や教育ローンの返済のために、大学卒業後の生活が圧迫され、最悪の場合は自己破産に至るケースもあります。利用するなら、毎月返済できる金額から借入額を考え、無理のない返済方法を検討しておきましょう。

中学生の息子さんのこれからの進路を全力で応援できるように、余裕を持って教育資金の準備を進めていけるといいですね。

(最終更新日:2019.10.08)
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