派遣社員でも住宅ローンは組める? 金融機関の審査ポイントをふまえ注意点を解説

正社員でなければ、住宅ローンを借りられないと思っている人もいるでしょう。実際には、派遣社員であっても、住宅ローンを組むことは可能です。ただし、いくつか押さえておきたいポイントがあります。本記事では、派遣社員が住宅ローンを借りる際の金融機関の選び方や注意点などを紹介します。

派遣社員には登録型派遣と常用型派遣がある

派遣社員には、一般労働者派遣と特定労働者派遣の2種類があります。一般的に、一般労働者派遣は「登録型派遣(有期雇用派遣)」、特定労働者派遣は「常用型派遣(無期雇用派遣)」と呼ばれています。

登録型派遣と常用型派遣では契約内容が異なり、収入にも違いが生じます。以下にそれぞれの派遣形態について説明します。

 登録型派遣

 一般的にイメージされる派遣社員の就業形態が、登録型派遣です。多くの場合、派遣で働きたい人が登録した派遣会社と、派遣先の会社との間で結んだ派遣契約の期間だけ雇用契約が結ばれます。雇用期間は1ヶ月から最大で3年までです。

登録型派遣の場合、ライフスタイルに合わせて就業時間や期間を選ぶことができます。一方で、賃金は労働時間に時給を乗じて支払われる場合が多く、手当や賞与、昇給、退職金などはありません。

契約終了後は次の派遣先が決まるまでは無収入になるため、一般的に常用型派遣に比べると収入が少なくなりがちです。

常用型派遣

 常用型派遣は、派遣会社が正社員や契約社員として常時雇用している社員を派遣先の会社に派遣するという形態です。登録型派遣で定められている「3年しばり」がなく、長期雇用も可能になります。

賃金は月給として支払われ、手当や賞与、退職金などがある場合も多くなります。また、派遣先が決まっていない期間も派遣会社から給料が支払われるため、無収入になることはありません。登録型派遣と異なり、安定収入が見込めます。

派遣社員でも住宅ローン申し込みは可能

派遣社員は住宅ローンが組めない、というイメージがあるかもしれませんが、常用型派遣であれば、通常の正規雇用の社員とほぼ変わらず申し込めます。ただし、後述の通り住宅ローンの申し込みの際には審査があります。

働き方の多様化にともない、最近では雇用形態を問わない金融機関も増えています。派遣社員でも住宅ローンが組める可能性は高まっているといえるでしょう。ただし、正社員に比べるとやはりハードルは上がるので、事前に審査項目を把握し、対策を講じておいた方が良いでしょう。

金融機関が考慮する審査項目

住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なりますが、国土交通省の「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると、金融機関が考慮している審査項目は、次の通りです。

もっとも多くの金融機関が重視しているのが完済時年齢で98.7%です。以下は健康状態が97.9%、借入時年齢が97.2%、担保評価が96.1%、勤続年数が93.2%、連帯保証が93.1%、返済負担率が93.0%、年収が92.9%と続きます。

これらは、派遣社員か正社員かによらず重視されている項目です。ただし、派遣社員の場合は、審査を有利に進めるために各項目の要件を満たしているかを確認し、改善できる点は改善してからローンの申し込みをすることをおすすめします。

それぞれの項目について、以下に簡単に説明します。

出典:国土交通省 令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書

借入時年齢・完済時年齢

調査結果が示している通り、住宅ローン申込者の完済時の年齢と借入時(申込時)の年齢はほぼすべての金融機関が確認している項目です。多くの金融機関では、借入時で20歳以上70歳未満、完済時で80歳未満を条件としています。

健康状態

住宅ローンは長期にわたって支払いが続くため、健康状態は必ず審査されます。民間金融機関で住宅ローンを組む際は、ほとんどの場合、団体信用生命保険(団信)への加入が必須条件になります。ただし、【フラット35】は団信加入が任意です。

団信への加入の際には、健康状態の申告が必要です。健康状態を自己申告する「告知書」の提出で済む場合もありますが、借入額が多い場合は健康診断書が求められることもあります。

担保評価

 ローン契約をする際は、返済不能になった際の備えとして金融機関から担保の提供を求められます。住宅ローンの場合は、購入物件が担保になります。購入する住宅の担保価値が低いと、抵当権実行時に債権回収が不利となるので、融資額が低く抑えられてしまいます。

担保評価は金融機関の独自基準で算定されますが、担保評価が低いと審査に通らない場合があるため注意が必要です。一般的に築年数が古い中古住宅や借地権が設定されている土地、旧耐震基準のマンションなどは低評価になり、築年数が浅く、駅から近い好立地の鉄筋コンクリート造マンション等は高評価になります。

返済負担率

返済負担率は年間の返済額を年収で割った数値です。返済負担率が高すぎると住宅ローンの審査に通りません。金融機関や住宅ローンによって負担率の上限は異なりますが、多くの場合、上限は30~35%です。

年間返済額には自動車ローン、教育ローン、クレジットカードによるキャッシングなどの額も含まれます。各種のローンを抱えている場合は、住宅ローンの申し込み前に返済を済ませておくと良いでしょう。

勤続年数

勤続年数が長いほど、安定した収入や収入アップが見込めると考えられているため、住宅ローン審査では勤続年数も重視されます。前述したように、派遣社員には登録型派遣と常用型派遣があり、常用型派遣の場合は正社員と変わらないので、有利といえるでしょう。

登録型派遣の場合も、勤務している年数や、派遣先の在籍期間年数が考慮されます。住宅ローンに申し込む際は、派遣先で1年以上経過してからの方が有利になるでしょう。

連帯保証

連帯保証・連帯債務のあり方も審査項目の一つです。かつては住宅ローンを組む際には、債務者が返済できない場合に代わりに返済を行う連帯保証人が必要でした。現在では保証会社が保証人としての役割を担います。

ただし、収入合算やペアローンを利用する場合は、連帯保証人を求められることがあります。収入合算については後述します。

年収

当然ながら、収入は多いほうが借入時は有利です。常用型派遣の場合は昇給やボーナスが支給されるケースもありますが、そういった事例も好材料です。

収入合算を活用する

収入合算とは、夫婦や親子などの収入を合わせて住宅ローンを借りる方法です。合算した収入により、借入可能額が決められるので、一人で借りる場合より多く借り入れることができます。収入合算は、「連帯保証型」と「連帯債務型」の2つのタイプに分けられます。

・収入合算・連帯保証型:連帯保証型は、夫婦か親子のどちらかが債務者となり、もう一方がその連帯保証人となる方法です。

  • ・収入合算・連帯債務型:連帯債務型は、夫婦か親子などのどちらかが主な債務者となり、もう一方が連帯債務者となる方法です。
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  • ・ペアローン:夫婦や親子などが、それぞれ主な債務者となり住宅ローンを組む方法です。収入合算との違いは、それぞれが主な債務者になり、互いに相手の連帯保証人・連帯債務者になる点です。
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  • ・リレーローン:親子で住宅ローンを契約し、親から子にリレー方式でローン返済をする方法です。ペアローンは1つの住宅に対して2つの住宅ローンが組まれるのに対し、リレーローンでは1つの住宅に1つの住宅ローンが組まれます。

ARUHIの住宅ローン(MG保証)ユアセレクトなら審査が柔軟

 モーゲージバンク(住宅ローンを専門に扱う金融機関)であるARUHIは幅広い住宅ローン商品を用意しています。

住宅ローン(MG保証)ユアセレクトは、審査が柔軟なうえ、勤続1年以上の給与所得者であれば正社員でなくても申し込みが可能です。他の住宅ローン商品に比べて契約社員でも審査が通る可能性があります。

非正規雇用でも住宅ローンの“借り換え”はできる?

ここまでは、住宅ローンを新規に借り入れする前提でお話してきましたが「借り換え」の場合どうなのでしょうか。

借り換えの場合も、新規で借入をした時と同様に審査があります。派遣社員の場合は、当初の借り入れの場合と同様に正社員に比べるとハードルは高くなりますが、すでに借り入れしている住宅ローンをきちんと返済し続けていれば、それも大きな信用になります。

これまで返済を滞らせたことがないのであれば、ここでお話ししたポイントに留意しながら借り換えにトライしてみましょう。

 

(最終更新日:2024.05.23)