茅ヶ崎市は、湘南エリアの中心に位置する約6キロメートル四方のコンパクトな街です。四季を通して温暖な気候であることから、明治の頃から別荘地・保養地として発展。横浜、東京へとスムーズに運ぶJR東海道線利用のアクセスの良さから人気の住宅地になっています。今回は、茅ヶ崎市の魅力と住宅事情について紹介します。
かつて別荘地・保養地として発展、現在は人口24万人超の成熟した住宅地へ成長
茅ヶ崎市は湘南エリアの中心に位置し、東側は、藤沢市に、西側は平塚市、北西側は寒川町にそれぞれ接しています。南側は相模湾に面して、約6キロメートルに及ぶ海岸を有しています。
茅ヶ崎市の地形は、北部に丘陵地、南部に平地が広がり、市の西側を流れる相模川のほか、小出川、千ノ川、駒寄川の3つの河川が流れており豊かな自然を有します。温暖な気候で、明治のころから昭和初期にかけて保養地・別荘地として発展しました。1898年に開業した東海道線茅ヶ崎駅のアクセスの良さもあり、住宅地として発展を続け、1947年には茅ヶ崎市として市制がスタート。1989年には、人口が20万人を超えました。南は相模湾の海岸線、北は里山、中央には商業エリアと、自然環境と都市機能がバランスよく配置されています。また、ほぼ平坦な地勢であることで自転車での移動もしやすくなっています。
2016年2月には、新しい市庁舎が完成。7階建ての建物は免震構造を採用し、防災拠点としての役割も。市民文化会館や中央公園など周辺施設との災害時の連携もしやすくなっています。1947年10月1日時点で4万3,315人だった人口は、2024年5月1日時点で24万5,578人、世帯数は、10万7,961世帯に。神奈川県内33の市町村の中で7番目の人口規模を誇ります。
【茅ヶ崎市のデータ】
総面積…35.7平方キロメートル
人口…24万5,578人
世帯数…10万7,961世帯
※2024年5月1日時点
茅ヶ崎市の魅力は、バランスの良い住みやすい住環境
茅ヶ崎市の人気は、定住意向の高さにも表れています。「平成29年度茅ヶ崎市のまちづくり市民満足度調査」によれば、定住意向について「ずっと住み続けたい」と回答した人が全体の54.5%に。「しばらくは住むが将来はわからない」と回答した人が38.0%で実に9割を超える人が当面は住み続ける意向を示しています。
また、同じ調査では茅ケ崎市の住みやすさについて、「住みよい」と回答した人が34.3%、「まあ住みよい」とした人が56.1%。9割を超える人が住みやすいと感じています。
次に、定住意向が高く住みやすいとされる茅ヶ崎市の魅力について見てみましょう。平成29年度茅ケ崎市のまちづくり市民満足度調査によれば、茅ヶ崎市の魅力として、「買い物が便利」が43.4%。「自然や緑、水が豊か」が41.2%、「心地よく暮らせる居住環境がある」が40.1%に。さらに「災害や犯罪が少ない」が39.2%、「公害がなくまちが清潔」35.3% 、「交通の便が良い」34.0%、「海の幸や農産物に恵まれ食が豊か」が31.3%。茅ヶ崎市にさまざまな魅力があることを示しています。
茅ヶ崎市の交通はJR東海道線茅ケ崎駅が利用できるほか、JR相模線の北茅ケ崎駅、香川駅が通っています。JR相模線の2駅は利用者数が少なく、多くの人は茅ケ崎駅を利用しています。JR東海道線辻堂駅は駅の西側エリアは茅ヶ崎市となっており、茅ヶ崎市民の利用者も多いです。
JR東海道線利用で、茅ヶ崎駅から横浜駅へは30分台、品川駅へ50分程度でアクセス可能です。都心通勤にも十分通える場所といえるでしょう。茅ヶ崎市内には圏央道が通るほか新湘南バイパスも通るなど、車アクセスも良好です。市内には国道1号線や海側に藤沢方面と結ばれる国道134号線も通っています。なお、茅ヶ崎市内の住宅地は広範囲に広がっており、駅から遠い立地では自転車やバス便での移動が中心となります。
茅ヶ崎市の買い物事情については、辻堂駅、茅ケ崎駅といった主要駅周辺には大規模な商業施設が充実しています。辻堂駅には、ペデストリアンデッキと結ばれたテラスモール湘南が立地。店舗面積約6万3,000平方メートル、店舗数約280店舗の巨大な商業施設で、様々な専門店が入るほかシネマコンプレックスも入っています。
茅ケ崎駅には駅直結のラスカ茅ヶ崎のほか、イオン茅ヶ崎中央店、フレスポ茅ヶ崎、イオンスタイル湘南茅ケ崎などの商業施設があります。ワンストップで買い物ができる大規模な商業施設がそろっているのは、茅ヶ崎市の魅力といえるでしょう。また、茅ヶ崎市内にはいくつも商店街があり、洒落たカフェや人気の洋菓子店などさまざまなお店が並んでいます。ライフスタイルを充実させるサードプレイスがあるのも、茅ヶ崎市で暮らすメリットでしょう。
マリンリゾート&静かで暮らしやすい住環境の街
サザンビーチなどの浜辺が広がり、別荘地の面影が残る暮らしやすい住環境も茅ヶ崎市の魅力です。市民意識調査では、「自然や緑、水が豊か」、「心地よく暮らせる居住環境がある」、「災害や犯罪が少ない」、「公害がなくまちが清潔」など、暮らしやすさにつながる評価ポイントが上位にランクされています。
茅ヶ崎市には、相模川をはじめとする河川や市の北部中心に里山が多くあります。茅ケ崎里山公園は、JR茅ケ崎駅から北に約5キロメートルに位置する計画面積36.8ヘクタールの広域公園。茅ヶ崎市北部から藤沢市西北部にかけての一帯にはたくさんの谷戸があり、谷戸田や畑、雑木林などの里山の風景を受け継いでいます。園内には、多目的広場、中の谷池、風の広場、里の家などがあり、里山体験ができる公園として親しまれています。
「第一カッターきいろ公園」(中央公園)は、茅ヶ崎市役所に近い茅ヶ崎市民の憩いのスポット。公園の中央には芝・草地広場が広がり、桜の時期にはソメイヨシノ・ヤマザクラなど四季を通じて植栽を楽しめます。平日の昼間には、多くの園児が駆け回っています。
茅ヶ崎海岸に近い茅ヶ崎公園は、多くの子どもたちが遊ぶレジャースポット。茅ヶ崎公園内には野球場、テニスコート及び体験学習施設があり、さまざまな遊具で子どもたちが遊んでいます。茅ヶ崎公園野球場では、人気アーティストのコンサートなども行われています。
サザンビーチちがさきは茅ヶ崎市を代表するビーチ。134号線沿いには、レストランなどの飲食店も点在します。天候によっては富士山も一望でき、サーフィンなどのマリンスポーツを楽しむ人も。東西にのびる砂浜で開放感を味わえるのは、茅ヶ崎市ならではの魅力といえるでしょう。
身近な場所に里山や海などの豊かな自然があり、買い物も便利。都市の利便と自然を満喫できる距離感は、茅ヶ崎市が多くの人に選ばれている理由でしょう。
次に、茅ヶ崎市の住宅事情について紹介します。
茅ケ崎駅周辺はマンション、海側エリアは低層住宅街
2020年国勢調査によれば茅ヶ崎市の昼間人口比率は77.2%と湘南エリアの中でも低くなっており、ベッドタウン度合いの高い街です。茅ヶ崎海岸に近い海側エリアは、第一種低層住居専用地域などの住居系エリアが広がり、戸建てや低層マンションが中心です。
一方、駅周辺や東海道線より北側エリアは商業系地域や工業系地域が広がり、大規模マンションなどの分譲も行われています。かつて別荘地・保養地として発展したこともあり、狭い路地が多いのも茅ヶ崎市の特徴です。
茅ヶ崎市内での新築マンションの供給は限られており、2024年4月時点での分譲中新築マンションは、2物件のみです。中古マンションストックは一定数あり、3LDKタイプが4,000万円台から5,000万円台中心に流通しています。
新築戸建ての供給は、とても活発です。辻堂駅や茅ケ崎駅徒歩圏の戸建ては相応の価格帯になりますが、駅から離れた物件の中には4,000万円台で購入可能なものも。4,000万円台から5,000万円台の予算があれば、十分検討できます。新築戸建ての購入がしやすい茅ケ崎市は、ファミリー層にとってマイホームに手が届きやすい街といえるでしょう。
次に茅ヶ崎市のおすすめの街を紹介します。
辻堂駅は、買い物が便利で暮らしやすい!
一つ目は、辻堂駅周辺です。辻堂駅の魅力は、北口エリアの大規模な街づくり。工場跡地での再開発事業「湘南C-X(シークロス)」によって、公園や医療施設など多様な都市機能を形成。なかでも、2011年11月に開業した商業モール「テラスモール湘南」は辻堂駅北口エリアのまちづくりの核となり、多くの人でにぎわっています。ゆったりとした買い物スペースと、湘南の雰囲気が味わえるテラスが魅力。2024年春には、リニューアルで新店などもオープンします。
海側に立地する辻堂海浜公園は、地域の憩いのスポット。芝生広場や多目的広場、交通公園などがあり、夏にオープンするジャンボプールは多くの家族連れでにぎわいます。こうした、憩いの場が身近にあるのも辻堂駅の魅力です。
辻堂駅周辺では、藤沢市内での新築マンションがいくつか分譲中です。中古マンションストックは豊富なので、中古も併せて検討すれば選択肢が広がるでしょう。
茅ケ崎駅は海の近くか、駅周辺を選ぶかでライフスタイルをチョイス
2つ目は、茅ケ崎駅です。茅ヶ崎駅周辺の魅力は、茅ヶ崎市役所や茅ヶ崎市民文化会館などの公益施設やラスカ茅ヶ崎などの商業施設、第一カッターきいろ公園などの憩いの場がそろっていること。イオンスタイル湘南茅ヶ崎やイオンシネマ茅ヶ崎、イオン茅ヶ崎中央店など大型商業施設や、駅前には茅ヶ崎銀座商興会や南駅前商店会などの多彩なお店がそろう商店街も立地。駅直結のペデストリアンデッキで整備された、便利で暮らしやすい住環境です。
駅周辺には、中高層のマンションが立地しており、中古マンションストックは比較的豊富。北口エリアは茅ヶ崎市役所やイオン茅ヶ崎中央店などの商業施設にアクセスしやすく、買い物しやすい立地環境です。大規模マンションの供給ストックも豊富にあるので、中古マンションを検討するのも良いかもしれません。
南口方面は海に向かって低層住宅街が広がり、低層マンションの分譲が目立ちます。茅ヶ崎市美術館や開高健記念館などの文化施設も。落ち着いた住環境で暮らしたい家族は、中海岸や東海岸といった住宅地で住まいを検討するのも良いでしょう。100平方メートルを超えるような低層マンションの中には、1億を超える価格で売り出されている中古マンションもあります。
低層住宅街のため、戸建ての流通は活発です。敷地面積の広い新築戸建ては6,000万円台以上の予算は欲しいところですが、予算重視なら狭小戸建てや中古戸建てを含めると選択肢が広がります。
2025年7月には、道の駅「湘南ちがさき」が開業予定
多くの人が住み続けたいと思っている茅ヶ崎市ですが、留意したいポイントは、洪水リスクと津波リスクです。とくに洪水リスクについては、相模川に近い立地は浸水リスクが大きいのでハザードマップをよく確認しましょう。
2023年10月に、市役所前広場に面した地域貢献施設の一角に茅ヶ崎市内初のコミュニティFM放送局である茅ヶ崎FM(通称:エボラジ)が開設されました。平時には茅ヶ崎ゆかりの音楽を中心に茅ヶ崎の暮らしの情報などを、災害時には防災・災害情報を聴くことができます。
茅ヶ崎市では、柳島スポーツ公園の近くの国道134号線沿いに2025年7月に道の駅「湘南ちがさき」がオープン予定。施設内では観光情報の発信のほか、地産地消の推進となる農畜水産物などの物産販売を行う予定。開業すれば新たな街のスポットとして人気を集めそうです。数多くの著名人を輩出する茅ケ崎市での暮らし。まずは、街を訪ねてみてはいかがでしょうか。