税金、保険、管理費、修繕積立金…、マンションのランニングコストはいくらかかる?

マンションを買おうか、戸建てにしようか、と迷う人も多いのではないでしょうか?マンション購入では、修繕積立金・管理費・駐車場代など独自の維持費用がかかります。マンションの維持費にはどんなものがあり、どれくらいかかるのか見ていきましょう。

1.住宅取得でマンション・戸建てで共通にかかる維持費用は?

住宅を取得する際には、仲介手数料や消費税(土地は非課税)、不動産取得税や登記費用、印紙税などの税金のほか、住宅ローンを組むのであれば事務手数料や保証料などたくさんの費用がかかります。ただ、費用はこれだけではありません、住宅購入後にずっとかかる維持費用も多くあります。

まずはマンション・戸建てに関わらずかかる維持費用から見ていきます。

① 税金
固定資産税・都市計画税

土地・建物を所有している場合に毎年かかってくる市町村税(23区は都税)です。固定資産税の金額は、課税標準といわれる「評価額」の1.4%前後ですが、自治体によって異なる税率を設けているところもあります。都市計画税は、一定の区域にある土地・家屋を所有している人に課税され「評価額」の0.3%(上限)程度になりますがこれも自治体によって異なるケースがあります。毎年その資産に応じた金額が通知され、払込用紙や口座振替で各自治体に納税します。双方ともに税金の軽減措置があります。

どの程度の金額かは、住宅のある場所、敷地面積、建物の種類等によってずいぶん変わるので一概には言えませんが、一般的に家の固定資産税の平均額は15万円程度が相場です。

② 保険料

住宅が火災・風水害などの災害で建物・家財に損害があったときに備えて、火災保険、地震保険に加入する必要があります。地震保険は火災保険に付帯して加入するので、単独では加入できません。一般的には1年ごとに支払うよりも、5年などまとめて支払う方が保険料は安くなる傾向があります。

ちなみに、マンションの場合、外壁や廊下などの共用部分の保険はマンション全体で入っています。個人でつける補償は専有部分のみと最小限にできるため、戸建てに比べると火災保険料も地震保険料も金額は抑えられます。火災保険料は、建物の構造、保険金額、補償の内容、保険会社で金額は異なります。地震保険は地域、建物の構造で変わりますが、保険会社によっては変わらず、一律です。また建築年や建物の構造によって割引制度もあります。

2.マンション特有にかかる維持費用にはどんなものがある?

では、マンション独自の維持費にはどのようなものがあるのでしょうか?

① 修繕積立金

分譲マンションでは、建物の壁や屋上、エントランスなど共用部分を維持・修繕するために定期的に大規模修繕が行われます。その必要な資金をまかなうため、毎月徴収して積み立てておくお金のことです。物件によっても異なりますが、大規模修繕は10年~15年くらいごとに行われることが多いようです。

なお、新築マンションを購入した場合、月々支払う金額とは別に引き渡し時に修繕積立基金等が必要なケースがあります。修繕積立基金とは、大規模修繕のための修繕積立金に充当される資金です。5~60万円ほどになることもあるのでチェックしましょう。新築マンションの場合、当初数年は修繕積立金を低く設定しているケースも多く、数年後から負担が増えることもあります。資金計画には余裕を持っておきましょう。

② 管理費

エレベーターや廊下、ゴミ捨て場などマンションの共用部分の快適性や安全性を維持していくために、必要な費用です。たとえば、建物・敷地内の維持や管理のための清掃、日常修繕、保守点検などに使われます。

具体的には、管理員や清掃員の人件費、管理を委託している場合の委託費、共用部分の電気代、水道代などの水道光熱費、宅配ロッカーや防犯カメラなど共用設備の保守点検、植栽の伐採、剪定などの費用、エレベーターの点検費用など、というとイメージがつきやすいでしょう。

③ 駐車場・駐輪場代

戸建ての場合には、自宅にガレージを作ってしまえば、駐車場代あるいは駐輪場代は必要ありませんが、マンションとなると話は別です。マンション内にある駐車場や駐輪場を使用する際には、別途使用料を支払う必要があります。

マンション内に駐車場がない場合や、あっても借りることができない場合には、別途、駐車場を借りる必要があるでしょう。なお、マンションの駐車場は「平置き」「自走式立体駐車場」「機械式立体駐車場」の3種類に分類されます。この駐車場の種類や地域によって相場は異なりますが、おおむね月5,000円〜30,000円となっています。

④ ルーフバルコニーや専用庭

専用庭やルーフバルコニー付きのマンションに憧れるというケースもあるでしょう。専用庭など、特定の区分所有者が独占的に使えるスペースのことです。物件によっては、使用料がかかるケースがあり、管理費や修繕積立金と一緒に毎月支払います。

3.マンションの修繕積立金・管理費の相場はどれくらい?

では、マンションの維持費の中でも大きな割合を占める修繕積立金・管理費の相場はどうなっているのでしょうか?

修繕積立金の相場は?

これは、当然、立地と集合住宅の総戸数、マンションの共有施設のグレードにより当初の金額は大きく変わります。一般的には、地価の高い地域、立地が良い地域に建つマンションほど高い傾向にあります。さらに、総戸数が少ないマンションほど修繕で資金を負担する戸数が減るので割高になりやすいです。

また、たとえば「エレベーターが複数機ある」、「駐車場が機械式」、「エントランスがすごく豪華」、「パーティールームが使える」など、共用部分の充実度に合わせて修繕積立金は上がります。

なお、一般的に新築時は金額が低めです。築年数が上がるにつれて大規模修繕にかかる費用が明確になるため、5年程度ごとに行われる修繕計画の見直し時に金額がアップする傾向にあります。実際に、統計データでも築年数が上がるにつれて金額がアップしていることがわかります。

修繕積立金の平均額
出典:国土交通省「マンション総合調査 マンション管理組合向け」平成30年より

ちなみに、マンション総合調査(国土交通省 平成30年)によると、修繕計画の積立額に対して修繕積立金が不足しているマンションの割合は34.8%だそうです。この調査は5年に1回行われ、ちょうど2023(令和5)年度調査が2024(令和6)年中に発表されるようです。チェックしてみてはいかがでしょうか?

修繕積立金の適正相場は?

マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省2021年9月改訂)によると、専有面積1平方メートル当たりの修繕積立金額(月額・機械式駐車場の費用を除く)の平均は、建物が「20階未満で5,000平方メートル未満の場合335円/平方メートル」、「5,000平方メートル以上~1万平方メートル未満で252円/平方メートル」、「20階以上の高層マンションにおいては338円/平方メートル」となっています。

仮に、20階未満の専有面積70平方メートルのマンションを購入したとすると、1万7,640円~2万3,450円が目安ということです。これよりも低い修繕積立金額の場合には、将来上がるかもしれないということを考慮しておく必要がありますね。

近年、修繕積立金は上昇気味!

実は、前回のガイドラインは2011年4月に公表されていますが、2021年の改訂版では修繕積立金の目安は大きく上昇しています。前回のガイドラインでは「15階未満で5,000平方メートル未満の平均額は月218円/平方メートル」、「15階未満で5,000平方メートル以上1万平方メートル未満は月202円/平方メートル」、「20階以上で月206円/平方メートル」でした。ざっくりこの10年間で1.25~1.64倍程度、上昇していることが分かります。修繕積立金は固定費です。上昇すると家計収支にも大きな影響を及ぼすので、あらかじめ考慮しておきたいものですね。

管理費の相場は?

では、もうひとつマンションの維持費で大きな管理費についても見てみましょう。管理費も修繕積立金と同様に、戸数の少ないマンション、共用部分の多いマンションやグレードの高いマンションなどで高い傾向があります。

管理費の平均額は?

マンション総合調査(国土交通省 平成30年)によると、全体の月平均額は1万5,956円(駐車場使用料等からの充当額を含む月/一戸当たり)です。修繕積立金と合計すると3万円弱です。高齢者になっても支払うコストと考えると負担感が大きいかもしれません。

管理費の平均額
出典:国土交通省「マンション総合調査 マンション管理組合向け」平成30年より

理費は修繕積立金とは異なり、築年数が浅いほど高い傾向にあります。これは、近年の人件費の上昇、電気代の値上げ、マンション自体の質の向上がひとつの原因と考えられ、今後も管理費は値上がりしていく可能性はあります。もちろん、管理費の値上げには管理組合での合意が必要であるため、知らないうちに上がる、ということはありません。しかし、マンションで快適に暮らすための必要経費ですから、ある程度の値上げは覚悟しておく必要があるでしょう。

これらのマンション独自にかかる維持費は、年金暮らしになってもずっと支払う必要がある点には注意が必要です。管理費・修繕積立金だけでも月額約2~3万円程度(平成30年総合調査より)かかるわけですし、建物が古くなれば管理費・修繕積立金が増える可能性は高いです。資金計画を立てる際には、老後にずっとかかる費用があることも考慮しておくと良いでしょう。

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