都心から約25キロメートル、武蔵野台地の南西部にある豊かな自然に恵まれた街・小金井市。コンパクトでありながら、都立小金井公園などの憩いのスポットが点在し、東京農工大学や東京学芸大学などの教育機関も多い文教都市でもあります。JR中央線などが街の中心を通り、交通アクセスの良さから住宅都市として大きく発展しました。今回は、小金井市の魅力と住宅事情について紹介します。
武蔵野台地と国分寺崖線がつくる自然豊かな環境
小金井市は東京都のほぼ中央に位置し、東側に武蔵野市、三鷹市、西側に国分寺市、南は調布市、府中市、北は小平市、西東京市に接しています。国分寺崖線が市内を通り、緩やかな斜面となっているので北側と南側に高低差があります。
最も高い小金井市貫井北町は標高75メートル、最も低い小金井市東町が標高40メートルです。古多摩川の流路が武蔵野台地を削り取ったことで生まれた崖は「はけ」と呼ばれ、崖下に流れる湧水が野川に流れ、緑豊かな自然を生み出しています。小金井という地名の由来は「黄金に値する豊富な水が出る」黄金井が小金井になったという説もあり、野川沿いに広がる都立武蔵野公園や都立野川公園は、地域の憩いの場所になっています。
小金井市の歴史を江戸時代までさかのぼると、1653年に玉川上水が完成し、新田開発が活発になるとともに集落が広がりました。明治以降には東京府に編入され、1917年に西武多摩川線新小金井駅が開業。1926年には、JR中央線武蔵小金井駅が開業し、市街化が進んでいきました。人口が約4万人となった1958年に小金井市の市制がスタート。1964年には、JR中央線東小金井駅も開業しました。東京学芸大学や法政大学、東京農工大学などのキャンパスも集まり、人口もさらに増加。現在は、12万人を超える人が小金井市に住んでいます。
【小金井市のデータ】
総面積…11.30平方キロメートル
人口…12万4,677人(2024年4月1日時点)
世帯数…6万3,067世帯(2024年4月1日時点)
みどりや水辺などの自然がいっぱい 静かで落ち着いた住環境も魅力
小金井市の魅力としてまず挙げられるのが、武蔵野台地の自然や湧水の流れる河川などの豊かな自然、大きな公園など、住民が寛げる憩いのスポットが豊富なことです。平成30年度小金井市市民意向調査によれば、小金井市の住みやすさについて、「住みやすい」(36.6%)と「どちらかといえば住みやすい」(47.9%)を合わせた84.5%が肯定的な回答に。定住志向についても「住み続けたい」(38.5%)、「できれば住み続けたい」(41.5%)と8割の人が住み続けることに前向きに考えています。
「現在」の小金井市の良い点や自慢したい点を3つ挙げてくださいという質問に対しては、「みどりや水辺などの自然」(58.7%)、「静かで落ち着いた住環境」(54.1%)、「多くの大きな公園」(39.3%)などが上位の項目に挙げられています。
小金井市内にある「美術の森」緑地は、画家・中村研一の所蔵作品などが展示された「はけの森美術館」の母屋の庭だった場所。武蔵野の面影を残す雑木林が広がり、湧水が野川へと続きます。野川沿いには、武蔵野公園や野川公園といった水辺の公園があり、市の北部には広大な小金井公園が立地します。
小金井公園は、1940年に砧(世田谷区)や舎人(足立区)、水元(葛飾区)などとともに都市計画設定された6つの緑地の一つ。戦後、東宮仮御所に使用されたのち、1954年に都市公園として開園されました。
日比谷公園の約5倍、上野恩賜公園の約1.5倍という約80ヘクタールの広さを誇り、広々とした草地や雑木林、桜の園、わんぱく山などのスポットのほか、弓道場や16面ものテニスコートや野球場もあります。予約制で利用できるバーベキュー広場や、小金井公園ドッグランなどペットとのふれあいの場も。SL展示場やサイクリングコースも設けられています。
園内にある江戸東京たてもの園には、江戸時代から昭和初期までの文化的価値の高い歴史的建造物が展示されています。中学生以上は有料ですが、都内在住・在校の中学生は無料で利用できます。
小金井公園内には、ヤマザクラ、サトザクラ、オオシマザクラなどのサクラが約1,400本植えられており、花見のスポットとしても有名。コナラ、クヌギ、アカマツなどの雑木林も広がっていて、シジュウカラなど四季を通じ多くの野鳥が飛来します。
そして何といっても広々とした草原は開放的で、子どもたちがのびのびと走り回れます。こうした大きな公園が身近にあるのは、小金井市の大きな魅力といえるでしょう。
小金井市は全域が都市計画区域に指定されており、多くが住居系の用途地域になっています。全体の64.9%が第一種低層住居専用地域、20.4%が第一種中高層住居専用地域に指定され、良好な住環境が形成されています。「静かで落ち着いた住環境」が評価されているのは、住宅中心の都市計画になっているからです。
通勤通学の便利さも小金井市の魅力です。市の中央部にはJR中央線が東西に通り、武蔵小金井駅と東小金井駅が立地。東南部には武蔵境駅とつながる西武多摩川線が南北に通り、新小金井駅が立地します。武蔵小金井駅からは新宿駅まで20分台、東京駅へも直通でアクセスできます。2010年にJR中央線の高架化が完了し、かつて木造だった武蔵小金井駅の駅舎もイメージが刷新されました。
車利用では、中央部に小金井街道、北部には五日市街道が通っています。
武蔵小金井駅前の再開発で街のイメージが一新
平成30年度小金井市市民意向調査でも示されているように「日常生活に便利で暮らしやすい街」であることも、小金井市の魅力です。小金井市は、武蔵小金井駅前の再開発などにより、この15年余りで街の生活利便性が大きく向上しました。その第一弾となったのが2011年に完成した武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業です。
JR中央線の高架事業と市街地再開発事業によって、南北に分断されていた武蔵小金井駅周辺市街地を一体で整備。広くて使いやすい交通広場や、小金井市民交流センターや上階部分がタワーマンションのプラウドタワー武蔵小金井になっているアクウェルモールなどの商業施設が誕生。大型商業施設であるイトーヨーカドー武蔵小金井店も開業し、。高架下には「nonowa 武蔵小金井EAST」、「nonowa 武蔵小金井WEST」も相次ぎ誕生しました。
さらに2020年に完了した武蔵小金井駅南口第2地区第一種市街地再開発事業では、地上26階建て・24階建てのツインタワーマンションと商業施設を一体で整備。地域のコミュニティスペースなども設けられています。1階から4階の商業スペース「SOCOLA武蔵小金井クロス」には、郵便局やクリニック、美容室など生活関連施設やカフェやスーパーなど40を超える多彩なお店が出店。武蔵小金井駅北口には、MEGAドン・キホーテ 武蔵小金井駅前店などの買い物施設もあり、武蔵小金井駅周辺で充実した買い物が楽しめます。
再開発街区を訪ねて感じるのは、広場などの十分確保されたオープンスペースや整備された歩道など、バリアフリーで誰もがとても歩きやすいこと。街並みも美しく、暮らしやすい街へと進化しています。武蔵小金井駅では北口エリアでも再開発準備組合が設立され、市街地再開発事業が検討されています。2017年に閉店した西友の入っていたビルも開発街区に含まれ、将来の発展に期待が膨らみます。
武蔵小金井駅の隣にある東小金井駅でも、大規模な土地区画整理事業が進行中です。「小金井都市計画事業東小金井駅北口土地区画整理事業」では、「災害に強く安心して生活できる安全なまち」「人にやさしく快適で都市美と自然や歴史を活かした個性あふれる魅力的なまち」「駅周辺の高度な利用を図る豊かで活力みなぎるまち」を目標とし、小金井市東部の中心核にふさわしい商業集積や都市基盤の整備を進めるとともに、シンボルロードや公園を整備することにより、「緑と文化の香りがする東部地区の中心核」となる市街地の創出を目指しています。
施行面積は11ヘクタールで、施行期間は2027年3月31日まで。東小金井駅を訪ねると、おおむね道路整備や区画整理が進んでおり、着工予定の店舗や高層マンションのお知らせ看板がすでに掲示されています。こうした開発が進めば、東小金井駅前の姿も大きく変わることでしょう。
東小金井駅のもう一つの魅力が、JR中央線高架化で生まれた高架下スペースを活用したさまざまなスポットが生まれていること。2014年に、隣駅である武蔵境駅西側高架下エリア、東小金井駅東西高架下エリアにそれぞれ「ののみちサカイ西」「ののみちヒガコ東」「ののみちヒガコ西」が街開きしました。武蔵境駅と東小金井駅間の高架下空間にカフェやクリニック、薬局などさまざまな生活関連施設が誕生しています。JR中央線の高架化によって生まれた空間の有効活用で、街に新たなにぎわいが生まれています。
次に、小金井市の住宅事情について紹介します。
新築マンション分譲は一段落 新築戸建ての供給は活発
小金井市は第一種低層住居専用地域など容積率の低い住居系用途地域が多くを占めるため、新築マンションの分譲は限られます。最近では、すでに完売した総戸数716戸のプラウドタワー武蔵小金井クロスが注目プロジェクトでした。今後も新築マンションの分譲は続くと思われますが、マンション適地が限られるため物件数が大きく増えることは考えにくいでしょう。
一方で中古マンションは一定数あり、築年数が比較的浅い中古マンションも流通しています。築年数や立地によって流通している価格帯はさまざまですが、6,000万円程度の予算があれば3LDKタイプが検討できるでしょう。
新築戸建ての分譲は活発です。市内全域が市街化区域である小金井市は、住居系エリアが広範囲に広がっています。6,000万円台以上の高価格帯にはなりますが駅徒歩圏の分譲も活発なので、駅アクセスを重視しても十分検討できるでしょう。また、バス便エリアの供給もあり5,000万円前後で手が届く新築戸建ても。予算重視ならある程度、駅アクセスを妥協すると選択肢が広がります。
次に小金井市のおすすめのエリアを紹介します。
生活利便性の高い武蔵小金井駅
一つ目は、武蔵小金井駅です。武蔵小金井駅の魅力は、何といっても生活利便性の高さ。中央線の高架化によって駅周辺部の回遊性が高まったほか、大規模な再開発によって大型商業施設や買い物施設が整い生活利便性も大きく高まりました。駅周辺にスーパーなどが集まっているので、仕事帰りの買い物にも便利でしょう。本数は限られますが、朝の通勤時間帯に始発電車があるのも武蔵小金井駅の魅力です。
武蔵小金井駅周辺の住宅事情は、新築マンションの供給は限られているためマンションであれば中古マンションが検討の中心になります。駅近のタワーマンションの中には3LDKタイプで1億前後の価格帯で流通しているケースもありますが、築20年のマンションであれば5,000万円台から6,000万円台で手が届くでしょう。
新築戸建ての分譲は活発ですが、駅徒歩圏となると敷地面積100平方メートル超の新築戸建ては6,000万円台後半から7,000万円台で販売されているものが目立ちます。生活利便性の高い街だけに、マンション、戸建てともにある程度の予算は必要になります。
これからの発展が期待される東小金井駅
続いては、東小金井駅です。東小金井駅は、武蔵小金井駅と比べると住居系エリアが多いのが特徴です。東京農工大学のキャンパスがあり、梶野公園や栗山公園といった駅に程近い公園も整備されています。高層建物が少なく、街が開放的です。
注目ポイントは、東小金井駅周辺で進められている土地区画整理事業によって将来的に街の発展が見込めること。住宅供給や商業施設が増えれば、駅の利用者が増え街の活性化が期待できます。JR中央線高架下街区「ののみちサカイ西」へと続く武蔵境駅が隣駅であることも魅力で、ほぼフラットなので自転車での移動もスムーズです。
東小金井駅は武蔵小金井駅と比べて中古マンションストックが少なく、新築戸建てが住宅流通の中心になります。駅徒歩圏の敷地面積が100平方メートルを超える街区の整った新築戸建ては、7,000万円台を超える価格帯が流通の中心。武蔵小金井駅同様に、ある程度の予算は必要になります。敷地面積を抑えた新築戸建ての中には、5,000万円前後で手が届くものも。予算を重視するなら敷地面積の妥協が必要かもしれません。
暮らしやすさと自然の潤いのバランスが良い街・小金井市
駅前再開発による利便性と小金井公園や野川公園などの憩いの場がある小金井市は、都市機能と自然のバランスが良い街といえるでしょう。第一種低層住居専用地域が広がるなど良好な住環境が維持されており、東京都都市整備局発表の地域危険度一覧表を見ても小金井市の地震における危険度が低いことを示しています。
留意すべきポイントとしては、市内の南北で大きな高低差があり、場所によっては駅アクセスで急な坂を上ることになること。駅からのアプローチは、よく確認しましょう。
小金井市では、計画中の新庁舎の建設など街づくりがさらに進められています。駅を中心にコンパクトにまとまった暮らしやすい小金井市。これから子育てをはじめるファミリーやアクティブなディンクスにおすすめです。
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