2024年は例年以上に「引越し難民」になるリスク大⁉ 難民にならない手立ては?

3月から4月にかけては、新生活を迎えるための引越しのシーズンとなります。引越しは面倒な作業が伴ううえ、かなりの費用も掛かってきます。さらには近年、「引越し難民」といった言葉も生まれるような状況になっています。そこで、引越し事情について見ていきたいと思います。

引越しの荷造りが面倒、引越し後も荷解きできない荷物がある⁉

株式会社サマリーが、直近3年以内に引越しをした18歳〜50歳の男女400人に「引越しに関する調査」を実施しています。それによると、引越しは面倒だと思う人が85.6%(とても面倒48.3%+やや面倒37.3%)もいました。

引越しが面倒だと思う人に「ストレスを感じたこと」を聞いたところ、最多となったのは「荷造り」(76.9%)でした。「荷造りで一夜漬けをした」という経験を持つ人も約4割いたということです。

ストレスに感じたことの2番は「入退去、行政関連の手続き」(68.1%)、3番は「荷解き、荷解きしたものを収納する」(65.5%)でした。引越しの荷造りも面倒ですが、新居での荷解きと収納も面倒な作業だということがわかります。

引越しに関するアンケート調査
出典:サマリー「2023年 引越しに関するアンケート調査」

新生活をスタートするための新居でありながら、引越し後、「家が片付いていると思わない」という人は40.5%。大半の人は1週間以内に荷解きを終えるということですが、荷造りしたままの荷物(引越し時から開けていないダンボールや整理できていない荷物)がある人も約4割いたといいます。

このように、引越し前の荷造りも引越し後の荷解きと収納も、とても面倒と感じるのが引越しです。引越しを考えると、気が重くなるという人も多いことでしょう。

さて、「物流2024年問題」が話題となっています。働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで、人手不足が懸念されています。この調査結果でも、「あなたが今後、引越しをすると仮定して『物流2024問題』は意識しますか?」と聞いたところ、59.5%(とても意識する19.0%+やや意識する40.5%)もの人が意識をしているという結果となっています。

引越しに関するアンケート調査
出典:サマリー「2023年 引越しに関するアンケート調査」

2024年は例年より引越し難民になるリスクが大きい

そもそも3月から4月上旬は、新生活を始めるための転居に伴う引越しが多い、「引越し繁忙期」になります。加えて、毎年3月は、分譲の新築マンションや戸建ての引き渡しも多くなります。これは、新生活に間に合うようにということもありますが、分譲会社の決算期との兼ね合いもあります。3月末の決算期までに、物件を引き渡して売り上げを計上するためです。

新生活の大移動と引き渡しラッシュで、引越しが繁忙期に集中するわけですが、運送会社の人手不足も相まって、数年前から「引越し難民」が発生しているとニュースになっています。2024年はさらに「2024年問題」で人手不足が加速し、例年より引越し難民が増えることが予想されています。

物流・運送業界を取り巻く「2024年問題」とは、2024年4月からドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されることです。ドライバーの労働環境が改善されるというメリットもありますが、消費者にとっては運送が滞ったり、運賃が上がったりといったことも起こります。

そのため、引越しを依頼しようとしても予約が入れられない、繁忙期の引越し料金が高額になって依頼できない、といったことから「引越し難民」がいつも以上に増加するといわれているのです。

引越し難民にならないための手立ては?

予算を大幅に引き上げることができれば、希望の日時に予約を入れられる可能性が高まりますが、それもできない、もったいないという場合に、どういった方法があるでしょう?

第一に、できるだけ早く引越しの予約を入れること。集中しそうな日程、たとえば3月末や土日を避けたほうが、予約を入れやすくなるでしょう。

第二に、日程を妥協できるのであれば、4月の後半などのピークを過ぎた時期に引越しをすると、予約が入れやすく、費用も抑えられる可能性が高まります。また、希望日は動かせないけれど引越しの時間なら融通が利くという場合は、「時間指定なし」の便にする手もあるでしょう。作業開始時間は引越し業者側の事情で変わりますが、引越しが午前中に集中する傾向があるので、可能性は少し高くなるでしょう。

第三に、荷物を分けて引越すという選択肢があります。日程を妥協できないけど、予約が入らなくて困っているという場合に、最低限の荷物のみ先に運搬して、残った荷物をたとえばトランクルームなどに保管して、落ち着いてから引越しをするといった方法です。当面使うものだけあれば、コインランドリーやコンビニなどを利用して、しばらく生活することができるでしょう。

最後は、自力で引越すという方法でしょうか。希望の日時に予約を入れられない、予算内の引越し業者が見つからないという場合、事前に断捨離をして荷物を減らしておき、家族や友達を動員して、何往復かで荷物を運搬して引越すことも考えられます。ただし、大きな家具や取り扱いが難しい家電などは、運ぶのが難しく損傷のリスクもあるので、慎重に判断したいところです。

3月のトランクルームの予約が増えている⁉

以上のことをまとめておきましょう。

①できるだけ早く決める
②日程をずらす
③荷物を分けて引越す
④自力で引越す

このなかで、③荷物を分けて引越す方法が増えている可能性があります。というのも、トランクルーム「ハローストレージ」の月別申込者数を見ると、ここ数年、3月が最も多い傾向が続いているというのです。また、トランクルームの利用理由は、過去6年間の累計で見ると「引越し」が最多だといいます。引越しの一時的な収納場所として利用したり、引越し後に一時的に預けてじっくりと片付けるために利用したりしているようです。

さて、引越しは必要があってするものなので、いつでもよいというわけにはいきません。引越し業者側も、この時期にニーズがあることはわかっているので、受け入れられるような努力をしていると思います。引越し難民にならないように、引越しする人それぞれの状況に応じた解決方法を見つけてほしいと思います。

執筆者:山本 久美子(住宅ジャーナリスト)

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