住宅ローンの三大疾病保障 加入のメリット・デメリットを解説

住宅ローンは長期にわたって返済を続けていくものなので、将来大病を患って返済できなくなるのではないかと心配になる人もいるでしょう。そんな不安を払拭してくれるのが、団体信用生命保険(団信)の三大疾病保障です。保障に含まれるのはどんな病気なのかを、住宅ローン団信に三大疾病保障をつけるメリット・デメリットとあわせて解説します。

三大疾病とは

住宅ローン団信の三大疾病保障に含まれるのは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中の三つです。厚生労働省によると日本人の三大死因は悪性新生物、心疾患、脳血管疾患とされています(※)。悪性新生物はがん、心疾患は主に急性心筋梗塞、脳血管疾患は脳卒中のことを指します。それぞれどのような病気なのかをまとめました。

※出典:厚生労働省 死因分析

がん

日本人の国民病ともいえるがん

がん(癌)は、体の組織を構成する細胞が遺伝子異常を起こすことをきっかけに増殖する病気です。日本人の2人に1人は、種類に違いはありますが何らかのがんにかかるとされています(※)。

がんの種類は大きく分けて三つあり、血液のがん(白血病、悪性リンパ腫など)、上皮細胞から発生するがん(食道がん、胃がんなど)、非上皮細胞から発生するがん(骨肉腫、横紋筋肉腫など)です。

がんになると放射線治療や薬物療法、手術などが必要となり、思うように働けなくなることから住宅ローンの返済も困難になる可能性があります。

※出典:がん情報サービス 最新がん統計

急性心筋梗塞
急性心筋梗塞とは、血管内にプラークや血栓がたまり、冠動脈内の血流がなくなることで心筋が壊死を起こす病気です。死亡率が高く、日本人の死因の第2位にランクされています(※)。

急性心筋梗塞においては可能な限り早い治療が求められ、カテーテル治療によって詰まった冠動脈を開通させることが重要です。カテーテル治療が完了した後も、合併症に備えるために数日間の安静が必要で、その後は心臓のリハビリを行います。そのため、急性心筋梗塞になった場合も、住宅ローンの返済が滞る可能性が高くなります。

※出典:国立循環器病研究センター 急性心筋梗塞

脳卒中
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳の働きが悪くなり、それによって急激に身体の働きが悪化する病気です。脳卒中は日本人の死因の第4位となっており、3位が老衰であることから、実質死因となる病では3番目に多いことがわかります。

脳卒中になった場合も、薬剤の内服や点滴以外に血栓を取り除くための吸引カテーテルが必要となることがあり、働けるほどまで回復するには時間がかかります。後遺症や合併症を患うこともあるため、住宅ローンの返済が困難になるケースも少なくありません。

※出典:国立循環器病研究センター 脳卒中

住宅ローンの三大疾病保障とは

住宅ローン団信の三大疾病保障とはどのようなものか、内容や要件について解説します。

団体信用生命保険の特約
住宅ローンの三大疾病保障とは、団体信用生命保険(団信)の特約の一つです。団信とは、加入者が死亡や所定の身体障害状態になった場合に、住宅ローンの債務返済が免除される保険です。つまり、住宅ローンの支払いが0になります。

その特約としてあるのが、三大疾病保障です。もし、住宅ローンを契約している間に三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)が原因で一定の要件に該当する状態になった場合、同じく住宅ローン残債が免除されます。

三大疾病にかかると、医療保険が下りたとしてもそのお金は働けない間の生活費にあてる必要があり、住宅ローンの返済が困難となる可能性があります。そのため、安心してマイホームに住み続けたい人は団信に特約をつけるというのも一つの選択肢です。

三大疾病保障の要件
団信によって要件は異なりますが、住宅金融支援機構の新機構団信の要件は以下のとおりです。

【がん】
保険期間中に医師によって診断を確定されたとき。

【急性心筋梗塞】
急性心筋梗塞を発病したことより、初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続したと医師によって診断されたとき。「労働の制限を必要とする状態」とは、軽い家事や事務作業などはできるが、それ以上の活動が難しい状態を指す。

もしくは、急性心筋梗塞を発病し、その急性心筋梗塞の治療を目的に病院や診療所で手術を受けたとき。

【脳卒中】
脳卒中を発病したことにより初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上他覚的な神経学的後遺症(言語障害、運動失調、麻痺など)が継続したと医師によって診断されたとき。

または、脳卒中の治療を目的として、病院や診療所で手術を受けたとき。

出典:住宅金融支援機構 加入者が3大疾病になった場合はどうすればいいですか?

住宅ローンの三大疾病保障のメリット・デメリット

安心が広がる団信の三大疾病保障

住宅ローン団信に三大疾病保障の特約をつけるメリット・デメリットを紹介します。

メリット1・リスクが高い三大疾病に特化して備えられる
住宅ローンの団信に加入し、三大疾病保障をつければ、日本人の死因トップ3の三大疾病に特化して備えることができます。がんになれば、再発のリスクもあり、治療も長期にわたる可能性があります。また、リハビリや通院が必要となり、長い間働けなくなるかもしれません。

働けなくなると収入がなくなり、保険金が入ったとしても生活費に回すことになるため、住宅ローンの支払いまで手が回らないことが多くあります。そうすると、最悪の場合、大切なマイホームを手放さなければなりません。

しかし、三大疾病保障があれば、住宅ローン返済が0になるので、住む場所は守られます。住宅ローンの返済がなくなることで家計への負担が軽くなるので、安心感につながるでしょう。

メリット2・一時金が出る商品もある
住宅ローン団信の特約によっては、三大疾病にかかった際、住宅ローンの返済が0になるだけではなく、一時金を支給するタイプもあります。医療保険のように一時金が支給されるので、生活費にあてることができ家計の負担が軽減されます。

デメリット1・住宅ローン返済額が増加する

団信の三大疾病保障をつけると月々の住宅ローン返済額は増える

三大疾病保障に加入すると団信の保険料が高くなるので、月々の住宅ローンの返済額も増加します。三大疾病保障の特約をつけると、金利が上乗せされる仕組みです。

上乗せされる金利は、金融機関によって異なりますが0.2〜0.3%となることがほとんどです。月々の返済額が高くなるので、その分を上乗せしてまでリスクに備えるべきかよく考える必要があります。

住宅ローンは30年や35年といった長期で返済をしていくので、三大疾病にかかるリスクがどれほどあるか慎重に検討しましょう。

デメリット2・ほかの保険と重複することがある
団信のほかに生命保険や民間の医療保険に加入している場合、保障内容が重複することがあります。保障内容が重複すると、必要以上に保険料を支払うことになり、家計への負担が大きくなってしまいます。

団信に三大疾病保障をつける場合、保障内容が同じものになっていないか見直しましょう。もし内容が重複している場合は、加入している生命保険や医療保険を解約するか、団信に三大疾病をつけないか、どちらかを選ぶ必要があります。住宅ローンは長い間支払いが続くものなので、どちらのメリットが大きいのか加入時によく考えましょう。

まとめ メリットとデメリットのバランスを考えよう

住宅ローンの三大疾病保障の加入は、そのメリットとデメリットを比較検討して決めましょう。三大疾病保障に加入すれば保障が厚くなり、万が一のときに備えられるという安心感が得られますが、金利が上乗せされるので月々の返済負担が増えます。返済額が増えてしまい、家計が疲弊すると元も子もありません。

現在と将来の健康状態、家計の状況を見すえ、加入している生命保険・医療保険をもう一度見直して、三大疾病保障特約をつけるべきか慎重に判断して決めましょう。

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