住宅ローンの返済額はどうやって決めたらいいの? 算出方法のポイントを解説

住宅ローンを組むとき、毎月の返済額はどのように決めるべきか迷う人も多いのではないしょうか。返済額が少ないほうが家計に負担をかけませんが、購入できる物件の選択肢は狭まってしまいます。逆に、返済額が多いと家計を圧迫することになりますが、理想のマイホームに近づく可能性は高まるでしょう。

ここでは、自分たちに合った住宅ローンの返済額を算出する方法や考え方のポイントを解説します。

適正な住宅ローン返済額の算出方法

家族の理想が詰まった夢のマイホームを実現しようとすると、住宅の購入額もどんどん膨らんでしまいます。マイホームに住み始めてからも健やかに暮らしていくために、住宅ローンを毎月無理なく返済できる額にしなければなりません。適正な住宅ローンの返済額はどうやって算出すればよいのか解説します。

住宅ローンの返済負担率とは
住宅ローンで借り入れを行うときに、基準となるのが返済負担率(返済比率)です。返済負担率とは、住宅ローンの年間返済額を年収で割った値です。簡単に計算する場合には毎月の返済額を月収で割って求めます。このとき、使用する月収は税込の額面収入です。

たとえば、月収40万円の人が月々10万円の返済をしていく場合、返済負担率は10万円÷40万円×100=25%です。返済負担率が大きければ大きいほど、収入に対するローン返済額の割合が高くなり、家計を圧迫します。あまりに返済負担率が高いと、返済ができなくなるリスクがあるため、融資が受けられなくなったり、借入可能額が少なくなったりする可能性があります。よって、ローンを組むときは返済負担率が一つの目安となっているのです。

借入可能額と返済可能額は違う
借入可能額と返済可能額はイコールではありません。借り入れが可能だからといって、それがそのまま返済できる金額とは限らないのです。借入可能額は、あくまでも金融機関が融資できる上限額です。【フラット35】では、返済負担率の基準が次のように定められています。

年収400万円未満 … 返済負担率30%以下
年収400万円以上 … 返済負担率35%以下

仮に年収500万円の場合、返済負担率35%で借り入れをすると年間で175万円の返済をしなくてはなりません。単純に12ヶ月で割ると、毎月約14.6万円の支払いとなります。月収約41.6万円の世帯にとっては厳しい返済額といえるのではないでしょうか。したがって、借入可能額と返済可能額は違うことを念頭に入れて、返済額を考えることが重要です。

ゆとりある返済額は返済負担率25%が目安

返済負担率は25%が目安

住宅ローンを組むとき、実際に月々の支払いに余裕のある返済負担率は25%以下とされています。住宅金融支援機構の「2022年度 フラット35利用者調査」によると、返済負担率25%未満が55.9%、25%以上が44.1%です。

出典:住宅金融支援機構 2022年度 フラット35利用者調査

このことから、住宅ローンを組む人の半数以上が返済負担率を25%未満に設定していることがわかります。返済負担率25%というと、月収30万円の人の月々の返済額は7.5万円、月収50万円の人は月々12.5万円です。この返済額以下を、自身の返済額を決める目安として考えるとよいでしょう。

住宅ローン返済額を決める考え方

住宅ローンの返済額は、頭金や返済期間などによっても異なります。返済額を決める前に、住宅ローンを無理なく返済していくための重要なポイントについて解説します。

頭金をどうするか
住宅を購入する際、住宅ローンを契約するのと同時に頭金(自己資金)を用意する人も多いでしょう。同じ住宅購入費でも、頭金が多ければ融資額が少なくなるため、住宅ローンの返済額も少なくなります。そのため、できるだけ頭金を用意して月々の負担を軽くしようと考える人もいるかもしれません。

しかし、住宅を購入するときに多額の支出があると、自由に使える手持ちのお金が少なくなってしまいます。そうすると、その後のライフイベントでお金に苦労する可能性があります。高額なものでいえば、子どもの教育費や車の購入費などです。住宅購入時に家具や家電を買い替えるときは、その費用もかかってきます。

病気やケガなど、急にまとまった費用が必要になるケースもあるかもしれません。そういった場合に備えて、手持ちの資金はある程度確保しておくほうが安心でしょう。金利が低い現在は、住宅ローンを賢く活用するというのも考え方の一つです。

ただし、自己資金比率は貸し手である金融機関との交渉で決まりますので、一方的に低い自己資金比率を希望してもそれが実現できるとは限りません。

返済期間をどうするか

返済期間は長いほうが毎月の返済額が抑えられる

住宅ローンの返済期間は通常35年が最長です。同じ額の借り入れでも、返済期間が長ければ長いほど月々の返済額が少なくて済み、毎月の負担は少なくなります。しかし、返済期間が長くなると金利がある分、返済総額は大きくなる点に注意が必要です。

また、返済期間の設定によっては定年退職後も返済を続けなければならない可能性があります。定年退職後も安定した収入が得られるのか、ライフプランと照らし合わせて考えてみましょう。退職後も見すえて長期的な返済が可能であれば、低金利の現在は長期間の借り入れのほうが有利だといえます。

住宅ローンは長期で組むことが多いため、金利の影響も長く受けます。変動金利タイプを選択している場合は、金利の変動にも気をつけましょう。

住宅ローン控除を活用する
住宅ローン控除とは「住宅借入金等特別控除」のことで、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から最長13年間控除する減税制度です(2023年現在。要件あり)。これは、減税手段の少ない給与所得者にとって、とてもメリットの大きい制度です。

住宅ローン控除の限度額は住宅の性能によって異なります。長期優良住宅や低炭素住宅であれば最大5,000万円の借り入れが可能で、最大控除額は年間35万円です(2023年現在)。また、夫婦でペアローンを組むとそれぞれの収入に対して住宅ローン控除を利用できるので1人で住宅ローンを組むより控除額が大きくなることもあります。

住宅ローン控除を受けるには、最初の年に確定申告をし、その後は毎年の年末調整が必要です。手続きを忘れないようにして、住宅ローン控除を活用しましょう。

家計管理の重要性

支出をコントロールするためには家計管理が重要

当然のことながら、収入を増やせば住宅ローンの返済は楽になり、返済額を上げても負担感は減らせます。しかし、収入を増やすのはそう簡単ではありません。ローンの返済を楽にするためには、支出をコントロールすることを意識しましょう。

家計を適切に管理すれば無駄遣いを減らして、お金の使い方も見直せます。

家計を管理するには、支出を記録する家計簿がおすすめです。普段どんなことにお金を使っているのかが可視化されれば、不要な支出も自然とわかってきます。不要な支出を減らせば、浮いたお金を住宅ローンの返済にあてて、より理想的な住まいを実現できます。これは、住宅ローンを組むときだけではなく、住宅購入前の自己資金を貯めるのにも有効です。

まとめ

住宅購入は大きなライフイベントであると同時に、住宅ローン返済は多くの人にとって一番大きな支出になるでしょう。以上に述べてきた内容を踏まえて、住宅ローンの返済額を決めることをおすすめします。「夢のマイホーム」と「ゆとりある返済」のバランスを考えることがそのエッセンスになります。

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