ブラックリストと住宅ローン:諦める前に知っておくべきこと

「ブラックリストに載っていると住宅ローンを組むのが難しい」と聞いたことがある方も多いでしょう。実際に住宅ローンを検討するにあたり、「ブラックリストに載る」というのは具体的にどういう状態なのか、自分は問題ないのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、住宅ローンを申し込む方がブラックリストについて知っておくべきことと、ご自身がブラックリストに載っているかを調べる方法などを解説します。また、実際にブラックリストに載っていたときにできる対策も紹介しますので、ぜひご参考にしてください。

ブラックリストとは

まずは、そもそもブラックリストとはどのようなものなのか、載っていると住宅ローンにどのような影響があるのかを解説します。

ブラックリストに載るとは信用に関する事故情報が記録されること

 

ブラックリストとは

ブラックリストと聞くと、貸付に問題がある人の名前が記載されたリストをイメージしがちです。しかし実は、実際に「ブラックリスト」という名のリストが存在するわけではありません。ブラックリストとは、信用情報機関が保有している信用情報に、金融事故情報が登録されている、いわゆる「傷がついている」ことを意味します。

信用情報機関とは、クレジットやローンなどの利用状況についての情報を、加盟各社が登録する機関です。それを各社が照会し、審査に活用する仕組みです。

信用情報機関はCIC、JICC、KSCの3つあります。

機関名

概要

JICC(株式会社日本信用情報機構)

主に消費者金融や信販会社が加盟している信用情報機関

CIC(株式会社シー・アイ・シー)

主に信販会社やクレジット会社が加盟している信用情報機関

KSC(全国銀行個人信用情報センター)

全国銀行協会が設置・運営している信用情報機関

 

ブラックリストに載る主な原因と期間

実際にブラックリストに載るのは、どのようなときなのでしょうか?

掲載される期間とあわせて確認しましょう。

支払いの遅延・延滞

各種ローンやクレジットカードの引き落としができなかった場合などは、信用情報機関の入金情報欄に遅延情報が登録されます。遅延情報は、銀行の残高不足など意図せぬうっかりミスであっても関係なく登録され、2年間記録が残ります。

また61日以上にわたって返済を遅延したり、3カ月連続で返済が遅れたりした場合などは、遅延ではなく延滞とされ「異動」という欄に記載されます。異動情報は、長い場合は5年間、信用情報から削除されずに残ります。

債務整理(任意整理)の歴史

債務整理とは、弁護士が貸金業者と交渉し、長期の分割払いで和解することです。貸金業者は法定利息よりも高い利息で貸し付けていることが多いので、弁護士はその部分の減額を請求します。債務整理した場合も、信用情報には最長5年間記録が残ります。

自己破産

自己破産とは、債務を返済できなくなったときに、裁判所に申し立てて免責許可決定をもらう手続きです。自己破産すると、養育費や税金など非免責債権以外の借金はゼロになります。自己破産した記録は、JICCとCICで5年、KSCでは最長7年間残ります。

強制解約や代位弁済の経験

クレジットカードや携帯料金の滞納などが続いたことで強制解約された場合や、本人が返済できなくなった借金を保証会社などが負担を代位弁済した場合も、事故情報として記録されます。強制解約や代位弁済については、最長5年間記録が残ります。

 住宅ローンの申し込みがあった際には、金融機関は審査の段階で、必ず信用情報機関に照会をかけます。住宅ローンは高額な融資であり、申込人が問題なく返済を継続できる人物であるかは重要な判断基準となるためです。

なお、ブラックリストに載っている=即住宅ローンNGではありません。例えば1度だけ軽度な遅延があった程度なら、住宅ローンの審査に大きく影響することはないでしょう。

しかし、入金漏れがくり返し記録されていたり、異動情報が登録されていると、融資した額をきちんと返済してくれるのか、途中で返済困難な状態になってしまうのではないかと返済能力に疑問をもたれてしまいます。その結果、審査に通りづらくなることは十分考えられるでしょう。

ブラックリスト掲載の確認方法

クレジットの引き落としに遅れた記憶があるものの、いつ、何回ぐらいだったかわからず不安に思う方もいるでしょう。そのようなときには、信用情報機関で開示請求が可能です。ここでは具体的な確認方法とかかる費用などを紹介します。(それぞれの詳細は、各信用情報機関のリンク先にてご確認ください。

オンラインでの確認

各信用情報機関では、オンラインでの開示請求を受け付けています。インターネット上でフォームに必要事項を記入することで、開示請求が可能です。

それぞれ手数料の決済方法などが異なるため、希望する決済方法がある場合には、あらかじめ確認しておきましょう。

信用情報機関

手数料

備考

CIC

500円

・クレジットカード、デビットカード、キャリア決済が可能

JICC

1,000円(決済手数料除く)

・スマホアプリのインストールが必要

・クレジットカード・ネットバンキング・キャリア決済、コンビニ決済、ペイジーでの決済が可能

KSC

1,000円

・クレジットカード、オンライン決済(PayPayのみ)、キャリア決済が可能

郵送での確認

各信用情報機関では、郵送による開示も受け付けています。インターネット経由、もしくはコンビニでダウンロードした申込書と、手数料分のコンビニチケットや定額小為替などを郵送し、開示請求をおこないます。

信用情報機関

手数料

備考

CIC

1,500円

・コンビニチケット、定額小為替証書で支払い

・申し込みから10日程度で開示

JICC

1,000円+郵送料

・速達:300円(税込)

・本人限定受取郵便:300円(税込)

・速達+本人限定受取郵便:600円(税込)

・コンビニで郵送開示利用券を購入

・申込書類到着後7日〜10日程度で開示

KSC

1,000円

・コンビニで本人開示・申告手続き利用券を購入

窓口での確認

登録情報の開示は、JICCのみ窓口でも対応していますが、2024年3月時点では受付を休止しています。ご自身の信用情報の開示請求をしたい場合は、オンラインもしくは郵送にておこないましょう。

ブラックリスト掲載後の住宅ローン審査対策

開示請求したところ、ブラックリストに載っていることがわかったときに、住宅ローンの申し込みに際してできる対策を解説します。

配偶者に住宅ローンを申し込んでもらう

夫婦の場合、ブラックリストに載っていない配偶者の名義で住宅ローンを申し込むのも方法の一つです。ただし、審査は配偶者の条件でおこなわれます。もし配偶者の年収が低いときは、借入上限額が低くなり、希望額を借り入れられない可能性があります。

頭金を増額する

住宅ローンの審査項目は、信用情報だけではありません。ブラックリストに載っていなくても、審査に落ちることはあります。

ブラックリストに載っている場合は、頭金を増額して借入総額や返済負担率(年収に占める返済総額の割合のこと)をできるだけ低くすることで、審査に通る可能性を高められます。

信用情報を改善する

ブラックリストの情報は、5年から長くても7年経過すると、信用情報から削除されます。過度な遅延や繰り返しての入金漏れなどがある場合や、債務整理・自己破産などの履歴がある場合には、事故情報が消えるまで時間を置くのも住宅ローンを借り入れる現実的な方法です。

ただしその間に別の傷がつくと、そこからさらに5年〜7年住宅ローンの借入ができなくなってしまいます。できるだけ新たなローンは組まない、借入金やクレジットカードの支払い日の残高不足に注意するなど心掛け、信用情報の改善に努めましょう。

審査落ち後の再チャレンジ方法

ブラックリストに載っている方が住宅ローンの審査に落ちてしまった場合、ブラックリストに載っていたことだけが審査に落ちた原因とは限りません。審査基準は金融機関によって異なるため、再チャレンジは可能です。

ただし、まったく同じ条件で審査を申し込んでも通らない可能性があります。そのため、再チャレンジするときには、以下の方法を試してみることをおすすめします。

返済比率の見直し

住宅ローンの再申し込みに際しては、返済比率も見直しましょう。返済比率とは、年収に占める返済総額の割合を指し、次の計算式で求めます。

返済比率=総返済額÷年収×100%

返済比率は低ければ低いほうが良いとされているので、以下のような方法で下げる工夫をしてみましょう。

頭金を増やして借入額を減らす

頭金を増やせば、それだけ借入総額を減らせます。事故情報が消えるのを待つのであれば、その間にできるだけ貯金するとよいでしょう。また両親に資金を援助してもらうのも方法の一つです。

ほかの借入を返済する

返済総額は、車のローンやキャッシングなど、住宅ローン以外の借入も含めて計算します。そのため、住宅ローン以外の借入をできるだけ返済すれば、それだけ返済比率は下がります。

ペアローンや収入合算を検討する

共働きであるなら、夫婦それぞれが借り手となる「ペアローン」や、配偶者の収入を申込者の収入に合算する「収入合算」を検討するのも方法のひとつです。ペアローンや収入合算を利用すれば、返済負担率を算出する際のもととなる総所得が増えるので、返済負担率を下げられます。

【フラット35】などの特別ローンの検討

【フラット35】は、勤続年数や職業に条件がないなど審査項目が少ないので、ほかの条件を理由に審査に落ちる可能性を減らせます。

ただし【フラット35】であっても、信用情報は審査項目となっています。信用情報に問題がある場合は審査に通らない可能性が高くなるため、返済比率を下げるなど、ほかの条件をできるだけよくする工夫が必要です。

まとめ

住宅ローンを申し込むときに「ブラックリストに載っているのでは?」と不安がある場合には、信用情報機関に信用情報の開示を申し込み、状況を把握しておくことをおすすめします。

ブラックリストに載っていると住宅ローンの審査には通りにくくなりますが、住宅の購入を諦める必要はありません。借入額を減らす、返済比率を下げるなど、少しでも審査に通りやすくなるようまずは工夫してみましょう。

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(最終更新日:2024.05.20)
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