住宅ローンを滞納するとこんなに不利益が! 滞納開始から競売までの流れを解説

月々の住宅ローンの支払いが苦しくなり、滞納にいたるケースがあります。住宅ローンの滞納が続くとどうなるのでしょうか。

この記事では、住宅ローンの滞納が続いた場合に発生する不利益について解説します。競売の段階にまで至ると、自宅を失うことになるので注意が必要です。滞納し始めてから競売まで、どのような過程を経るのかについても説明します。

住宅ローンを滞納すると起こること

住宅ローンを滞納すると、ブラックリストに掲載されたり、競売により自宅を失ったりする恐れがあります。住宅ローンの滞納によって発生しうる不利益について具体的に見ていきましょう。

ブラックリストに掲載される

住宅ローンの滞納を続けているとブッラクリストに掲載される

住宅ローンの滞納が一定期間続くと、金融事故として指定信用情報機関に登録されます。いわゆる「ブラックリストに掲載される」という状態です。ただし、ブラックリストという名簿が実際に存在するわけではありません。

期限の利益の喪失
期限の利益とは、定められた期日ごとにローンを分割で返済できる権利のことです。住宅ローンを滞納し続けていると、この期限の利益を喪失する恐れがあります。住宅ローンを契約している人には期限の利益が認められるため、たとえ手元に資金があってもすぐに返済する必要はなく、定められた期日までは支払いを待ってもらえます。
他方で、住宅ローンを組んでいる人が期限の利益を主張するには契約に則って期日通りに返済をしなければなりません。分割返済が滞れば契約に反するため、期限の利益も喪失します。

金融機関にもよりますが、住宅ローンを滞納して3~4ヶ月程度が経過すると、催告書によって期限の利益の喪失を通告される可能性があります。

競売・任意売却で自宅を失う可能性

競売・任意売却で自宅を失うこともある

住宅ローンを滞納すれば期限の利益を失うため、残債について一括返済を求められます。住宅ローンを組む際は保証会社に加入するのが一般的で、期限の利益を失えば保証会社が金融機関に残債を支払います。これは代位弁済と呼ばれ、あくまでも保証会社が立て替え払いをしているに過ぎません。債務者は引き続き保証会社への返済が求められますが、それも滞納すれば競売や任意売却に移ります。

競売とは、不動産を担保にした借り入れが債務不履行になった場合、不動産を強制的に売却して債権回収にあてる方法です。債権者の申し立てを受け、地方裁判所の判断によって実行されます。

一方、任意売却とは、債権者の許可を得たうえで債務者が不動産を売却する方法です。任意売却には債務者にとってのメリットが多く、競売を避けるために実施される場合も多くあります。

売却後も支払いが残ることも
競売や任意売却により自宅を失っても、残債の全額を返済できるとは限りません。競売や任意売却による売却価格が残債を下回った場合、差額については自力で返済する必要があります。

そもそも競売にかけられる際、または任意売却する際、自宅は購入時よりも価格が下がっているのが一般的です。任意売却なら通常の中古住宅としての市場相場程度で売れるものの、競売での売却価格は市場相場の5~7割程度となります。

残債の額にもよりますが、競売や任意売却に至っても完済できないケースも少なくありません。

住宅ローンの滞納から競売までの流れ

無理な住宅ローンを組むと、悲惨な結果を迎えることも

住宅ローンを滞納すると、どのような流れで競売に至るのでしょうか。ここでは、住宅ローンを滞納し始めてから競売に至るまで流れを解説します。

滞納1~3ヶ月後:督促状・催告書が届く

住宅ローンを滞納し始めて1~3ヶ月が経過すると、債権者である金融機関から督促状が届きます。督促状には、毎月の返済額に加えて遅延損害金の支払いを求める記載もあります。督促状は手紙やはがきで届きますが、あわせて電話がかかってくる場合もあるでしょう。

督促状が届いても滞納を続けていれば、次に催告書が送付されます。催告書には、返済や遅延損害金の支払いがない場合に期限の利益を失う旨が示されています。また、法的措置についても言及されている可能性が高いでしょう。

また、督促状や催告書が届く時期になると、いわゆるブラックリストに掲載された状態になります。

滞納3~6ヶ月後:期限の利益を喪失する
滞納が3~6ヶ月続くと、期限の利益を喪失します。正式な通知として、期限の利益喪失通知書という書類が送付されます。

書類が届いた時点で期限の利益の喪失は決定しており、一括返済以外の選択肢はありません。すでに触れているとおり、期限の利益を喪失すれば自宅を失う可能性があります。また、自宅を失ってもなお借金が残る恐れがあります。

このような事態を回避するには、毎月の支払いが厳しいと感じた時点で住宅ローンの見直しが必要です。遅くとも、督促状や催告書が届いたらすぐに具体的な対応をしましょう。

滞納6~7ヶ月後:保証会社が代位弁済を行う
債務者が期限の利益を喪失すると、金融機関から残債の一括返済を求められます。しかし、すでに住宅ローンを滞納している状況では、残債の一括返済ができない人がほとんどです。住宅ローンを組む際は保証会社に加入するケースが多く、その場合は保証会社が代位弁済を行います。保証会社が代位弁済を済ませると、債務者には代位弁済通知が届きます。

債権者が金融機関から保証会社へ代わるため、その後は保証会社に対して返済をしなければなりません。

滞納8~10ヶ月後:競売が開始される
債権者が金融機関から保証会社に代わっても、一括返済すべき残債の額は変わりません。そのため、実際には代位弁済通知が届いても、保証会社へ返済できないケースがほとんどです。

滞納し始めてから8~10ヶ月が経過した頃に、保証会社が裁判所へ競売の申し立てを行います。申し立てが認められれば不動産が差し押さえられ、裁判所から債務者へ競売開始決定通知書が届く流れです。

さらに現況調査のための連絡書も送付され、不動産の価値を把握する目的で執行官や不動産鑑定士が対象物件を訪問します。競売により不動産が競落されて新たな所有者が決まると、立ち退きを求められます。競売は裁判所が認める正式な手続きであり、立ち退きの拒否はできません。

まとめ

住宅ローンを滞納すると、さまざまな不利益が生じます。滞納を続ければ続けるほど大きな問題につながるため、早めの対処が必要です。早い段階で状況に向き合えば、家計の見直しや住宅ローンの借り換え、リスケジューリングなどにより事態を改善させられる可能性もあります。

とにもかくにも状況が悪化する前に対応することが重要です。関係者、近親者、専門家にも相談し、適切な対処をするように心がけましょう。

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(最終更新日:2024.01.05)
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