三郷市は、東京都心から最短15キロメートルほどの距離にある交通利便性の高い街です。JR武蔵野線やつくばエクスプレスが利用できるほか、3つの高速道路が通り各方面へスムーズにアクセス。近年は大型商業施設も充実し、暮らしやすい街として注目されています。今回は、三郷市の魅力と住宅事情を紹介します。
みさと団地などの住宅整備を経て、大規模開発で新三郷ららシティ誕生
三郷市は、埼玉県の東南端に位置する東西5.6キロメートル、南北は9.5キロメートルの南北に長い総面積30.22平方キロメートルの市です。南側は葛飾区に隣接し、西側に八潮市、草加市、北側に吉川市、東側には江戸川を挟んで松戸市や流山市があります。地勢は高低差の少ない低地で、北から南に向かってわずかに低くなっています。
江戸時代の三郷市域は51の村があり、武蔵国葛飾郡に属していました。1972年の市制施行によって、埼玉県下37番目の市として人口4万9,618人の三郷市が誕生。1975年には、日本有数の規模を誇るみさと団地全9,409戸が完成し、1980年には三郷駅北側に位置する三郷早稲田団地の入居がスタート。市制開始10年後となる1982年には、三郷市の人口は10万人を超えました。
交通面では、1973年に国鉄武蔵野線が開業。1974年には、首都圏の鉄道輸送の改善のため三郷駅-吉川駅間に武蔵野操車場が誕生しました。1985年に三郷駅と吉川駅の間に新三郷駅が開業。 その後、操車場は廃止され、その広大な跡地には、大型商業施設や大型物流施設、住居ゾーンで構成された新しい街として2008年に「新三郷ららシティ」が街びらきしました。現在、約51.1ヘクタールもあるスケールの大きな複合都市として、にぎわいを見せています。
2005年にはつくばエクスプレス線が開業し、三郷中央駅が誕生。秋葉原駅を経由して都心と短時間で結ばれる街として、新築マンションや新築戸建てなど多くの住宅が分譲されています。こうした街の整備により、2023年12月1日時点における三郷市の人口は14万人を超え、都心近郊の街として発展しています。
【三郷市のデータ】
総面積…30.22平方キロメートル
人口…14万1,994人(2023年12月1日時点)
世帯数…6万7,648世帯(2023年12月1日時点)
では、次に人口が増えている三郷市の特徴について見てみましょう。
これからも住み続けたい人が75.1%
2018年に三郷市が実施した、「第17回 三郷市市民意識調査報告書」によれば、これからも三郷市に住みたいと思っている人の割合が75.1%に。2013年に実施した調査よりも3.0%アップしています。三郷市の住み心地については、「非常に住みよい」「まあ住みよい」の合計値が57.7%に。こちらは、2008年実施の調査の値である33.8%を大きく上回っています。
三郷市の特徴として挙げられた上位5項目は、以下となっています。
高速道路を利用した交通の利便性・・・・・・78.1%
大型商業施設のあるまち・・・・・・・・・・60.5%
今後も発展の可能性を感じるまち・・・・・・52.3%
人口が増加傾向にあるまち・・・・・・・・・49.9%
鉄道交通の利便性・・・・・・・・・・・・・45.7%
三郷市は、常磐自動車道・首都高速6号三郷線・東京外環自動車道といった高速道路網を中心とした広域へのアクセスに恵まれています。2018年には、東京外環自動車道の三郷南IC-高谷JCTが開通したことなどで、周辺エリアとの人やモノの交流が活発化。産業経済や暮らしへの波及効果も表れています。また、つくばエクスプレス開業により最速20分程度で都心へアクセスできるようになったことで、「鉄道交通の利便性」も大きく高まりました。
「大型商業施設のあるまち」であることも三郷市の特徴です。三郷IC北側区画整理事業地の中核商業施設として2005年にピアラシティみさとが開業。スーパーマーケットや大型ホームセンター、映画館などの施設が集約された県内有数の多機能複合型商業施設です。イトーヨーカドーやスーパービバホーム、映画館MOVIX、温泉施設の湯けむり横丁、ヤマダデンキなどさまざまなテナントが出店しています。2012年にはピアラシティ中央公園とピアラシティ交流センターが開館し、市民の憩いの場となっています。
2008年には、JR武蔵野線新三郷駅前に広がる広大な武蔵野操車場跡地を活用した新しい街、新三郷ららシティが誕生。ららぽーと新三郷を中心に、IKEA新三郷、コストコホールセール新三郷倉庫店などの大型商業施設が集結するショッピングゾーンが誕生しています。広大な商業スペースが一ヶ所に集積しており、平日でも多くの買い物客でにぎわっています。
三郷市では、三郷ICの南側を中心に産業集積が進んでおり、ものづくり分野、交通・物流インフラを活用した食料品製造分野や物流関連分野などの産業活性化が期待されています。「草加都市計画事業三郷中央一体型特定土地区画整理事業」として、三郷中央駅周辺地域の114.8ヘクタールにもおよぶ土地区画整理事業が2015年に完了するなど街区の整備も進行。「今後も発展の可能性を感じるまち」として期待されています。人口が増加傾向にあることも、街の将来性を感じるポイントとなっています。
三郷市の特徴としてもう一つ挙げたいのが、水と緑に抱かれた豊かな自然環境です。中川と江戸川に挟まれた沖積平野に位置し、河川や用水路、江戸川と中川を結ぶ三郷放水路などがあり、農地や屋敷林などの緑と調和した美しい景観をつくり出しています。江戸川河川敷やみさと公園などレジャーを楽しめる憩いの場が豊富にあるのも魅力です。
自然と触れ合ったり、家族で大型商業施設に出かけたり、高速自動車道を利用してほかの地域へ出かけるのもスムーズ。オフタイムを満喫できる街と言えるでしょう。
新築マンション・戸建てともに価格はリーズナブル
交通利便性および商業利便性が高く、自然も身近にある三郷市の住宅価格はリーズナブル。「令和5年都道府県地価調査」(国土交通省)によれば、三郷市の住宅地の1平方メートルあたりの平均価格は、11万6,800円。これは、同じく通勤利便性の高い川口市の23万7,700円や越谷市の13万7,700円、流山市の16万1,400円と比べ抑えられています。広範囲な土地区画整理事業によって、住宅地が誕生したことも影響しているのでしょう。
三郷中央駅や三郷駅の徒歩圏などで新築戸建て分譲が見られ、駅徒歩圏でも敷地面積100平方メートル以上の戸建てが4,000万円台で分譲されています。新築マンションの分譲は限られますが、三郷駅の駅近・3LDKタイプが4,000万円台から分譲されています。三郷市内は、つくばエクスプレスの三郷中央駅、JR武蔵野線の三郷駅、新三郷駅の3駅がありますが、どの駅も自然が身近で生活利便施設が整っています。これから住宅購入する人にとって、穴場とも言える街でしょう。
次に、三郷市の筆者おすすめの街を3つ紹介します。
駅前に公園も! 北千住駅へ約10分の三郷中央駅
一つ目は、三郷中央駅です。魅力は、何と言っても交通利便性の高さでしょう。つくばエクスプレス線利用で秋葉原駅へ直通アクセスできるほか、5路線が乗り入れる北千住駅へ約10分でアクセスできます。
三郷中央駅は、2005年のつくばエクスプレス開業に合わせて一体的な土地区画整理事業が行われた場所。街が新しく、美しい街並みが特徴的です。三郷市役所や三郷市総合体育館などの公共施設も多くあります。
2019年には、三郷中央駅徒歩約3分の地に三郷中央におどりプラザがオープンしました。三郷市民の交流拠点やにぎわいの場になることを目指していて、施設内にはカフェや会議室、予約図書受取カウンター、市民活動サポートスペースなどが用意されています。平日でも多くの人が利用していて、カフェスペースではリモートワークをしている人も。明るく開放的な居心地の良いスペースです。
駅前には、芝生が広がるにおどり公園があります。遊具もあり、子どもが安心して遊べるスペースです。駅周辺には三郷市立図書館や、三郷中央病院などの医療施設も充実。毎日の買い物にはマルエツ 三郷中央店、ヤオコー三郷中央店、オーケー 三郷中央店があり、仕事帰りの利用も便利です。
三郷中央駅周辺では、駅開業以降に活発に新築マンションの分譲が行われていましたが、現在はやや落ち着いています。中古マンション流通は一定数あり、築浅物件が多いのが特徴。徒歩圏の3LDKタイプが3,000万円台後半から購入可能です。新築戸建ての分譲も見られ、駅徒歩圏で4,000万円前後から販売されています。これなら、予算内で十分検討できそうです。
江戸川に近い三郷駅では大規模新築マンション分譲中
二つ目は、三郷駅です。
三郷駅周辺は早稲田地域に位置し、1973年のJR武蔵野線三郷駅開業に伴う土地区画整理事業によって街づくりが進んでいきました。東側は江戸川が流れ、広大な河川敷を活用した江戸川運動公園が開設。スポーツ・レジャーを楽しむ空間が身近にあります。1980年に入居が始まった三郷早稲田団地の最寄り駅でもあり、三郷市文化会館や三郷市立早稲田図書館など公益施設も集まっています。
三郷駅周辺は、土地区画整理された整った街並みで暮らしやすい印象。街なかにはひまわり公園などの公園があるほか、すぐ近くには江戸川河川敷が広がり江戸川サイクリングロードも通っています。駅周辺にはカスミ 三郷駅前店などの買い物施設があるほか、2021年に閉鎖されたワオシティ三郷跡地に2024年5月の開業に向けて商業施設が現在建設中。日々の買い物にも困らない場所と言えるでしょう。
2023年12月現在、三郷駅から徒歩約4分の場所で総戸数196戸の新築マンション「ザ・パークハウス 三郷」が分譲中。3LDKタイプの間取りが4,000万円台からという価格設定です。新築戸建ては駅徒歩20分以上の場所での分譲が多く、価格は4,000万円台が相場となっています。中古も含め、駅から近い場所で探すのであれば、まずはマンションが選択肢として挙げられます。三郷駅からはJR武蔵野線経由で、つくばエクスプレスの通る南流山駅まで1駅約3分。都心アクセスも良好な狙い目の街と言えます。
ららぽーとにIKEAにコストコ 買い物に便利な新三郷駅
最後は、新三郷駅です。
新三郷駅は北部地域にあり、1985年のJR武蔵野線新三郷駅開業以前からみさと団地の建設や三郷ニュータウン建設によって、かつての水田地帯から住宅エリアへと変化しました。
2008年にJR武蔵野線新三郷駅の歩行者デッキが開通。新三郷ららシティの商業施設が次々に開業し、ららぽーと新三郷、IKEA新三郷、コストコホールセール新三郷倉庫店など大規模な商業施設も誕生。ららぽーと新三郷だけでも約180店舗が出店しており、街の利便性が大きく高まりました。
新街区誕生とともに新築マンション分譲や戸建て分譲も行われ、商業・住宅一体の暮らしやすい街へと成長しました。新三郷駅と商業施設は歩行者デッキで結ばれ、往来がスムーズ。駅周辺は歩道が整備され、子ども連れでも歩きやすくなっています。JR武蔵野線利用で越谷レイクタウンなどの商業施設へもアクセスしやすいほか、三郷料金所スマートICも近いため車での外出も便利です。
駅徒歩圏での住宅の流通は限られており、中古マンションの流通も少なめです。2023年11月の執筆時点では、駅徒歩約3分の「パークホームズLaLa新三郷」の中古マンションが、3LDKタイプ4,000万円台で販売されています。「パークフィールドみさと」は、築年数が30年を超えていることもあり流通が活発。駅距離はありますが、3LDKタイプの住戸が3,000万円未満の価格帯で販売されています。
ゆとりの広さと価格が魅力の一方、注意点も
23区に隣接し、交通利便性が高く、買い物施設も充実、自然も身近な三郷市ですが、留意すべきポイントは水害リスク。江戸川や中川が身近なエリアであるものの、新三郷ららシティのように浸水リスクが低い場所もあるので、水害ハザードマップでよく確認しましょう。
「三郷市市民意識調査報告書」にもあるように、整備が着実に進んでいることもあり三郷市の暮らしやすさは高まっています。加えて、中古なら3,000万円台から、新築なら4,000万円台からという住宅価格は大きな魅力でしょう。ゆとりを持った返済計画で、週末は家族でのんびり楽しみたい。三郷市は、そんなファミリーにおすすめの街です。
(最終更新日:2024.01.22)