マイホームを購入すると、固定資産税の支払いが発生します。固定資産税は毎年支払う必要があるため、購入する家にどのくらいの固定資産税がかかるのかを事前に把握しておくことも大切です。
今回は、5,000万円程度のマイホームを購入予定の人に対し、固定資産税の仕組みと、5,000万円程度のマンションや戸建てにかかる固定資産税の計算方法について解説します。
これからマイホームを購入しようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
固定資産税とは?
固定資産税とは、地方税の一つで、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されるものです。
固定資産税の対象となるのは、土地や建物、さらに償却資産がありますが、マイホームの所有に関しては土地と建物に課税されると考えてよいでしょう。
固定資産税の税率は原則1.4%で、納付書は毎年4月~6月に届きますので、それを基に支払う必要があります。支払い方法は一括もしくは年4回の分割ですが、自治体によって納付期限が異なりますので、確認しておきましょう
ただし、納付書に記載されている金額は1年分ですので、1年分を一括で支払い、年の途中で売却したり中古物件を購入したりした際には、売却時もしくは購入時に精算しなければなりません。この場合、原則として買主が売主に対して清算金を支払います。そして売主は、受け取った清算金を譲渡所得の計算をするうえで、収入の金額に加える必要があります。
市街化区域内に不動産を所有していると、都市計画税もかかります。都市計画税とは、都市計画法に基づいた都市計画事業などにあてる税金で、こちらも地方税です。税率は0.3%で、固定資産税と合算して徴収されます。
固定資産税の金額はどのように計算されるのか?
では、固定資産税の金額はどのように計算されるのでしょうか。固定資産税の計算の仕組みを知ることで、自分が支払う固定資産税がどのくらいの金額になるかを事前に把握できます。
ここからは、固定資産税の計算の仕組みについて解説します。
土地・建物の固定資産税評価額を基に計算される
固定資産税の税率が1.4%であることは上で述べたとおりですが、固定資産税の基準となる価格は土地や建物の固定資産税評価額です。
固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づき、各自治体が個別に決定しますが、土地の固定資産税評価額は路線価方式で計算するのが一般的です。
固定資産税評価額の計算の基となる固定資産税路線価は、市区町村が3年ごとに評価を行うもので、価格水準は公示価格の約70%程度です。
家屋の固定資産税評価額は、再建築価格方式によって計算されます。
再建築価格方式とは、固定資産評価基準に基づいて、その家の屋根や外壁などの部分別の再建築費表点数を合計し、その額に家屋の経過年数に基づいて補正率を乗じて求めます。計算にあたっては、家屋の床面積も必要です。
また、中古物件を購入した場合なら、市区町村役場や税事務所などで固定資産課税台帳を閲覧することで、固定資産税評価額を知ることができます。そのほか、売主から課税明細書を見せてもらうことで固定資産税評価額を知る方法もあります。
課税明細書には、土地そして建物両方の固定資産税評価額が分けて記載されているため、一番わかりやすいといえるでしょう。
住宅用地・新築住宅には固定資産税の軽減措置が用意されている
また、住宅用地や新築住宅については、固定資産税の軽減措置が適用されます。
所有している土地が、人が住むために利用されている住宅用地であれば、固定資産税が減額される措置が設けられています。具体的には、土地の面積によって軽減される割合が異なる仕組みです。
敷地面積が200平方メートル以下の小規模住宅用地なら、固定資産税の課税評価額が6分の1になりますし、200平方メートルを超える部分に関しては、課税評価額が3分の1に軽減されます。
新築住宅についての軽減措置は、戸建てなら3年間、マンションなら5年間固定資産税が2分の1になります。さらに認定長期優良住宅の場合は、戸建てなら5年間、マンションだと7年間2分の1になります。
土地建物の割合によっても固定資産税の金額が変わる
上で説明したとおり、土地と建物で評価方法や用意されている軽減措置が異なりますので、土地や建物の按分によっては、同じ5,000万円のマイホームだとしても、固定資産税額は大きく異なる場合があります。
また、土地と建物の按分については、消費税にも影響を及ぼします。
なぜなら、建物は消費税の課税対象ですが、土地は非課税だからです。さらに、物件を売買する際に売主や買主が課税事業者である場合、消費税を申告する義務が生じ、土地と建物の按分によって納税額が変動することも覚えておきましょう。
経年劣化によって固定資産税は安くなる
建物は、年数が経つにつれ劣化していきます。経年劣化は固定資産税評価額を算定する際にも影響するため、年数が経つにつれ固定資産税評価額は下がっていくことになります。
建物の固定資産税評価額の計算については、上で説明したとおり再建築価格方式によって計算されます。
この再建築価格方式では、経年減点補正率や、積雪寒冷補正率のほか、損耗減点補正率、需給事情による減点補正率などが反映され、年数が経つにつれ経年減点補正率は下がっていきます。ちなみに経年減点補正率の下限は0.2のため、たとえ古い建物でも評価額がゼロになることはありません。
また、経年減点補正率は建物の構造によっても異なります。建物の構造を木造と非木造に分けて設定されています。木造と非木造を比較すると、非木造のほうが耐用年数が長いため、RC造のマンションのほうが、木造の戸建てよりも建物の固定資産税評価額が下がるスピードは遅くなります。
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5,000万円の不動産にかかる固定資産税はいくら?
では、実際に5,000円のマイホームを購入した場合、固定資産税がいくらになるのか、計算してみましょう。今回購入するマイホームは新築マンションとします。
そして、マンションの構造はRC造、マンションの敷地(持ち分)は120平方メートル、土地と建物の按分は3:7とし、土地および建物の固定資産税評価額はそれぞれの取得価格の70%と仮定します。
5,000万円の新築マンションの土地と建物の按分が3:7ですので、土地の取得価格は1,500万円、建物の取得価格は3,500万円です。
そして、固定資産税評価額は取得価格の70%ですので、それぞれの固定資産税評価額は以下のとおりになります。
土地:1,500万円×70%=1,050万円
建物:3,500万円×70%=2,450万円
さらに、住宅用地の特例および新築住宅の軽減措置を加味すると、実際の固定資産税評価額は以下になります。
土地:1,050万円×1/6=175万円
建物:2,450万円×1/2=1,225万円
そして、それぞれの固定資産税額は、税率1.4%を乗じて計算しますので、
土地:175万円×1.4%=2万4,500円
建物:1,225万円×1.4%=17万1,500円
で、合計19万6,000円となることがわかります。
ただし、建物部分については6年後(長期優良住宅の場合は8年後)には軽減措置の適用がなくなる点に注意しておきましょう。
まとめ
固定資産税は、地方税の一つで、税率は原則として1.4%に設定されています。
固定資産税は、土地そして建物それぞれの固定資産税評価額に基づいて計算されますので、固定資産税評価額の求め方を知っておくことでおおよその固定資産税額が把握できます。
建物の評価額は経年劣化によって減少するケースがほとんどですが、土地の評価額は、不動産の市場によって上がることもあります。そのため、自治体ホームページで、土地の価格がどうなっているかを確認しておくようにしましょう。
(最終更新日:2024.04.19)