住宅ローンの事前審査(仮審査)とは?重視される項目と落ちないためにできる対策を解説

住宅ローンでは、事前審査(仮審査)と本審査の2つの審査がおこなわれるのが一般的です。事前審査は本審査を受ける前の予備的な段階であり、住宅ローンの借入が可能かどうかを判断するための重要なステップです。  

本記事では、事前審査がどのようなものであるか、またなぜ実施されるのかについて解説します。事前審査でチェックされる項目や、審査に落ちないために予めできる準備についても紹介します。スムーズな住宅ローンの借入を実現するために、ぜひ参考にしてください。

住宅ローンの事前審査(仮審査)とは

住宅ローンでは、事前審査(仮審査)と本審査の2つの審査がおこなわれるのが一般的です。このうち事前審査は、申込者が提出した書類をもとにおこなわれる予備的な審査で、事前審査に落ちた場合は、本審査へは進めず住宅ローンの借入はできません。

事前審査申し込み → 事前審査→ 本審査申し込み → 本審査 → 住宅ローン契約締結 → 融資実行

      約 2〜4日        約1〜2週間      約2週間〜1ヵ月

本審査に先立って事前審査が行われる理由は、住宅ローンの契約が住宅の売買契約や請負契約が締結後に行われるためです。住宅の売買契約や請負契約を結ぶには多くの時間と労力がかかります。事前審査は、住宅ローンを契約できる一定の基準に達しているかを、あらかじめ確認することを目的に実施されます。

本審査との違い

住宅ローンの審査に落ちると、住宅購入者は物件探しや売買交渉に費やした時間や労力がムダになり、不動産会社も大きな損失を被る可能性があります。そうならないよう、申告した最低限の情報をもとに、予備的な審査をするのが事前審査の役割です。

通常、本審査の申込は、物件の売買契約を締結したあとにおこなわれます。本審査では、毎月きちんと返済できるか、物件に担保価値はあるかについて、事前審査よりも厳密に審査します。そのため事前審査(仮審査)を通過したからといって、必ずしも本審査も通るとは限りません。

事前審査(仮審査)を受けるタイミングとかかる日数

事前審査は、購入する物件が決まった段階で申し込むのが一般 です。審査の結果が出るには、2〜4日程度かかります。

なお SBIアルヒなら店舗に来店して申し込みをすれば、最短当日で審査結果をお知らせしています。※追加資料のご提出や審査状況により、さらに審査日数を要する場合があります。

事前審査(仮審査)の必要書類

事前審査(仮審査)では、次のような書類が必要になるのが一般的です。

<事前審査で必要となる書類の例>

申込書類

住宅ローン借入申込書

本人確認書類

健康保険証・運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなどの写し

住民票

印鑑証明書

収入証明書類

給与収入:源泉徴収票の写し(直近2年分)※1

給与収入以外:確定申告書および付属明細(直近2年分)※2

納税証明書(直近2年分)

※1 給与収入のみの人
※2 自営業者、事業所得のある人、不動産所得のある人、急用所得があり確定申告もしている人のいずれかに該当する場合

なお、事前審査で必要になる書類は金融機関や申し込む住宅ローンの種類、物件の属性などによって異なるため、よく確認しましょう。

住宅ローンの審査項目と基準

まずは、住宅ローン全体を通しての審査基準を確認しておきましょう。

国土交通省の「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると、90%以上の金融機関が「融資を行う際に考慮する項目」としたものは以下のとおりです。

審査項目

考慮するとした金融機関の割合

完済時年齢

98.7%

健康状態

97.9%

借入時年齢

97.2%

担保評価

96.1%

勤続年数

93.2%

連帯保証

93.1%

返済負担率

93.0%

年収

92.9%

金融機関の営業エリア

90.7%

出典:令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書|国土交通省

それぞれ具体的に、どのような基準となっているのか解説します。

完済時年齢

完済時年齢は80歳未満としている金融機関が多いです。

完済時年齢

金融機関数(複数回答)

85歳未満

12

80歳未満

763

75歳未満

42

70歳未満

12

なし

5

その他

162

出典:令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査報告|国土交通省

80歳の誕生日までに完済とす 場合、35年ローンを組むには44歳が年齢の上限となります。

健康状態

ほとんどの金融機関は団体信用生命保険(以降:団信)への加入を住宅ローン貸付の条件としています。

団信とは、住宅ローンの契約者に万一のことがあったときに、住宅ローンの残債を全額免除する保険です。契約者の健康状態が良好でなければ、長期にわたる返済が困難となることから、健康状態に問題があり団信に加入できない場合は、住宅ローンを受けることができません。

団信の実際の審査がおこなわれるのは本審査のときであり、事前審査で健康状態は確認されないのが一般的です。ただし団信の基準をクリアできるかどうかはあらかじめ確認しておき、厳しいと考えられる場合は、団信への加入が任意の【フラット35】を検討するなど対策が必要です。

なお団信の引受基準も、ほかの項目と同様に、金融機関によって異なります。

借入時年齢

借入時年齢は65歳未満もしくは70歳未満とする金融機関が多いです。

借入時年齢

金融機関数(複数回答)

75歳未満

3

70歳未満

174

65歳未満

204

60歳未満

33

55歳未満

8

その他

590

出典:令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査報告|国土交通省

借入時年齢が高いと借入期間が短くなり、借入金額が大きければ月々の返済負担額が増える点に注意が必要です。

担保評価

金融機関は、万が一返済が滞る事態に備えて、融資対象となる住宅や土地に抵当権を設定します。

抵当権とは、借り手が返済不能になった際に、金融機関がその住宅を担保として取り扱える権利のことを指します。担保となる物件の価値が低い場合、希望する融資額を受けられない、または融資そのものが拒否される可能性があります。

なお担保評価については、事前審査では物件パンフレットなどを用いて担保価値を算出し、簡易的に評価します。詳細にチェックされるのは、本審査に進んでからとなるのが一般的です。

勤続年数

勤務先での勤続年数は、収入の安定性にかかわることから、住宅ローンにおいての重要な審査項目の一つです。具体的には1年以上とする金融機関が多いですが、なかには2年以上、3年以上とするところもあります。

勤続年数

金融機関数(複数回答)

3年以上

130

2年以上

39

1年以上

589

その他

215

出典:令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査報告|国土交通省

勤続年数が長いほど、収入の安定性が高いとみなされ、審査の評価も上がる傾向にあります。一方で、勤続年数が短いと、収入の安定性に関して疑問視されることが多く、審査の通過が難しくなる可能性があります。

連帯保証

多くの金融機関は、系列または外部の保証会社への加入が必須条件とされています。住宅ローンにおける保証会社は、借り手が返済不能となった場合、その債務を引き受ける重要な役割を担います。

保証会社は、申込者の返済能力を徹底的に評価します。そのため、保証会社の審査をクリアしない限り、融資の承認は得られません。

返済負担率

返済負担率とは、すべての借り入れに関して、年収に占める年間合計返済額の割合を指し、以下の計算式で求めます。

返済負担率=年間の返済額÷年収×100(%)

返済負担率を公開していない金融機関が少なくありません。また、返済負担率を公開している金融機関のなかでも、20%〜50%以内と大きく異なります。

返済負担率

金融機関数(複数回答)

50%以内

1

45%以内

32

40%以内

40

35%以内

30

30%以内

20

20%以内

4

その他

34

出典:令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査報告|国土交通省

返済負担率が高すぎると、借り手の生活が苦しくなり、返済が滞るリスクが高まります。そのため、返済負担率は住宅ローンの審査において重要な指標の一つとされているのです。

年収

年収は、住宅ローンの借入額に直結します。多くの金融機関では、住宅ローンの申込条件として、年収が100万円以上、または150万円以上であることを条件としています。

年収

金融機関数(複数回答)

100万円以上

258

150万円以上

405

200万円以上

71

250万円以上

25

その他

205

出典:令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査報告|国土交通省

年収が低い場合でも住宅ローンへの申し込みは可能ですが、年収が少ないほど借入限度額が下がることは理解しておきましょう。

金融機関の営業エリア

金融機関によっては、営業エリア内に居住もしくは勤務していることを住宅ローンの条件としているところも少なくありません。これは、金融機関が地域密着型の経営方針をとっていたり、融資後の管理をしやすくするためと考えられます。

住宅ローンの申し込みを検討する際は、自分が利用したい金融機関の営業エリアに関する条件を事前に確認しておくことが大切です。

事前審査(仮審査)に落ちないためにできる対策

前章で紹介した審査項目のうち、事前審査を受ける前に対策できるのは次の3つです。

  • ・借入時年齢・完済時年齢
  • ・返済負担率
  • ・勤続年数

具体的になにができるかを紹介します。

借入時年齢・完済時年齢が上限に近いときにできる対策

借入時の年齢が69歳、完済時の年齢が79歳といったように、金融機関が設定する上限年齢に近い場合、審査に通過できない可能性が高まります。これは、借り手が高齢になると、融資した住宅ローンを完済前に回収できなくなる「貸し倒れ」のリスクが大きくなるためです。

借入時の年齢が上限に近い場合は、親子ローン(親子リレー返済)を検討してみましょう。これは親が契約者(主債務者)、子が連帯債務者となり、将来的に子が返済を引き継ぐ仕組みです。多くの場合「同居」が条件とされますが、【フラット35】のように同居が必須でない住宅ローンも存在します。まずは子どもに相談してみるとよいでしょう。

返済負担率を減らすためにできる対策

返済負担率が高いと、生活に行き詰まり返済できなくなる可能性があると判断され、審査に落ちる可能性が高まります。ここでは、返済負担率を低下させるために実施できるいくつかの対策について説明します。

頭金を増やす

頭金を増やすと、全体の借入金額を減らせます。ただし頭金を多く入れることで手残りが少なくなってしまい、のちのちの生活資金がショートしてしまうのは本末転倒です。

今後のライフプランを確認し、出産や子供の教育費など、近い将来に必要となると予想される資金は確保しておくべきです。ファイナンシャルプランナーに相談することで、ライフプランを考慮した資金計画について専門的なアドバイスを受けられます。利用を検討してみてはいかがでしょうか。

親の援助を受ける

親からの資金援助を受けて頭金を増額することにより、借り入れ額を削減することが可能です。

住宅資金については、親から贈与を受ける人も多いため、贈与税の非課税措置が取られています。具体的には、直系尊属からの住宅資金の贈与は、省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円まで、贈与税が非課税となります。この機会に親に相談してみるとよいでしょう。

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

ペアローンや収入合算を検討する

借入額を減らせない場合は、ペアローンや収入合算を検討するのも方法の一つです。

ペアローンとは、共働きの夫婦がそれぞれ個別に住宅ローンを組む方法です。二人でそれぞれ審査を受ける必要があるため手続きは煩雑になりますが、借入金額を減らさずに返済負担率を抑えることができます。

一方、収入合算は、配偶者や親、子などの家族の収入を申込者の収入に加えて審査を受ける方法です。合算後の収入に基づいて審査が行われます。ペアローンと異なり、一本の住宅ローンで済むことが大きな利点です。ただし、収入合算に関わる家族は連帯保証人となる必要があるため、この点は注意が必要です。

借入期間を長くする

借入期間をできるだけ長くすれば、それだけ年間の返済額が減り返済負担率を軽減できます。ただし、期間が長くなるほど、支払う総利息額が増加することも理解しておく必要があります。

また借入期間を長くしたくても、完済時年齢を超えることはできません。完済時年齢が問題となる場合は、 も検討してみましょう。

他のローンを返済しておく

住宅ローン以外の借り入れがある場合は、できる限り返済しておくことで返済負担率を下げられます。返済負担率は、住宅ローンだけでなく、ほかのすべての借入金額と合算して計算するためです。

車のローンやキャッシュローンがある場合は、可能な限り返済を済ませておくことが望ましいです。特に無担保ローンは金利が高いため、優先して完済することで、総返済額を抑えることができます。

勤続年数が不足するときにできる対策

勤続年数は、収入の安定性を確認する上で多くの金融機関が重視する要素の一つです。加えて、雇用形態もチェックされ、派遣社員や契約社員が対象外とされることがあります 

そのため、家を購入する際は、融資が承認されるまでの期間中の転職を避けることが最善の策となります。既に転職しており、希望する金融機関の勤続年数の条件を満たしていない場合は、現在の勤続年数でも申込み可能な金融機関を探すことを推奨します。また、勤続年数を問わない【フラット35】に並行して申し込むことで、審査通過の可能性を高めることができます。

事前審査(仮審査)に落ちたときの対処法

対策をしたとしても、事前審査に落ちてしまうことは珍しくありません。そのときには、あきらめることなくほかの金融機関の審査を受けてみましょう。審査項目や評価基準は金融機関によって異なるため、住宅ローンを借り入れられる可能性は十分あります。

なお、MGローンは比較的審査基準が柔軟なので、選択肢に入れておくことをおすすめします。

住宅ローンの事前審査(仮審査)でよくある質問

住宅ローンの事前審査について、よくある質問とその回答を紹介します。

複数の住宅ローンに同時に申し込むことはできるの?

複数の住宅ローンに申し込むことは可能です。申し込む金融機関が多いと書類の記載に手間がかかる はありますが、融資を受けられないリスクを減らせます。一つの金融機関の審査に落ちて、新たに別の金融機関に申し込むよりも、時間の短縮にもつながります。

住宅ローンの事前審査(仮審査)を受けた履歴は残るの?

住宅ローンの申し込み情報は個人信用情報機関に登録され 照会した情報は6カ月残ります 個人信用情報機関とは、クレジットやローンなど、金銭借入れにかかわる取引内容を監理する機関です。

住宅ローンの審査では、信用情報が必ず確認されるので、ほかの金融機関が照会したことは、あとから審査する金融機関にはわかります。ただし審査結果がどうだったのかまで調べられるわけではありません。

事前審査(仮審査)に有効期限はある?

事前審査の結果には、有効期限が設けられているのが一般的です。有効期限は承認日から180日とする金融機関が多いようですが、60日、90日とするところもあります すぐに本審査に進まない場合は、有効期限を確認しておきましょう。

事前審査(仮審査)に通過した金融機関の断り方は?

事前審査に通ったとしても、必ずその金融機関で住宅ローンの本審査に進む必要はありません。キャンセルしても問題なく、その際はキャンセル料も不要です。

なお、事前審査の有効期限が過ぎれば自動的にキャンセルになるのが一般的ですが、早めに担当店舗に電話してキャンセルを伝えることをおすすめします。

物件未定でも事前審査(仮審査)を受けられる?

購入物件が決まっていなくても、事前審査を申し込める金融機関もあります。物件が決まっていない段階で事前審査を受けて借り入れ可能額を把握しておくと、住宅の予算を決めやすくなるでしょう。

事前審査(仮審査)に通った人が本審査にも通る確率は?

事前審査に通った人が本審査にも通る確率は、明らかにされていません。また住宅ローンの審査は個々の事情に影響されるため、どれだけ確率が高くても、落ちることはあります。全体の確率を気にするよりも、自身が審査に通る確率を少しでも上げるのが賢明です。

事前審査(仮審査)に落ちた理由を教えてもらえる?

審査に落ちた理由は、原則的には教えてもらえません。ほかの金融機関の審査を受けるときには、落ちた理由を検証し、対策する必要があります。そのときには、不動産会社やハウスメーカーの担当者の意見も聞くことをおすすめします。

まとめ

住宅ローンの事前審査は、契約に必要な基準を満たしているかどうかを確かめる予備的なステップです。事前審査を通過する確率を上げるためには、審査で問題となりそうな項目について事前に対処しておくことが重要です。

さらに、事前審査は複数の金融機関で可能ですので、並行して申し込むことで審査落ちのリスクを低減できます。もし事前審査で不合格になった場合は、その理由を検討し、別の金融機関での再申し込みを考えましょう。

ペルソナ次第ですが、ここでユーザーは住宅ローン審査には、本審査と仮審査の2つがあると理解しているのでしょうか?

知らなった場合、何を言ってるのかわかならいと思いますので、離脱率が上昇を防ぐために書き直しをお願いします。

(最終更新日:2024.05.16)
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