千葉県が首都圏の地価上昇率ベスト10を独占! エリア選びの参考にしたい2023年基準地価

2023年9月下旬に「都道府県地価調査(基準地価)」が公表されました。全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇、上昇率が拡大しました。ただし、エリアによって上昇率などは異なり、東京圏でも都県によって動きは変わります。どのエリアが上がっているのか、住宅選びなどに当たっては入念にチェックしておきたいところです。

住宅地の平均は前年比0.7%の上昇

「都道府県地価調査(基準地価)」とは、都道府県知事が毎年7月1日時点における土地の標準価格を判定するもので、それを国土交通省が取りまとめて9月下旬に公表します。適正な地価の形成を目的としており、地方公共団体などが土地を買収するときの算定の規準になるなど、毎年3月下旬に公表される「公示地価」と並んで重要な地価に関する指標です。

住宅地では、全国平均では図表1にあるように0.7%の上昇。2022年の0.1%から上昇率が拡大しました。エリア別に上昇率を見ると、三大都市圏でも東京圏は2.6%、大阪圏が1.1%、名古屋圏が2.2%という違いがあります。地方圏でも、札幌市・仙台市・広島市・福岡市の地方四市については7.5%と上昇率が高くなっていますが、それ以外の地方圏はマイナス0.2%と依然として地価は下落傾向にあるようです。

住宅地の地価変動率の推移
(資料:国土交通省ホームページ

商業地も大幅な上昇率 ただしエリアによって動きが異なる

商業地は全国平均で1.5%の上昇で、やはり2022年の0.5%から上昇率が大きくなりました。

全般的に住宅地より上昇率が高く、東京圏は4.3%、大阪圏が3.6%、名古屋圏が3.4%の上昇でした。地方圏は地方四市が9.0%で、それ以外の地方圏は0.1%の上昇でした。住宅地は地方四市以外の地方圏はマイナスでしたが、商業地はプラスに転じました。

地価の動きはエリアによって微妙に異なりますが、それもこうした圏域による違いだけではなく、同じ東京圏でも都県による違いが小さくありません。住宅地選びの際には、どのエリアに将来性があるのかなどをよくチェックする必要がありそうです。

商業地の地価変動率の推移
(資料:国土交通省ホームページ

住宅地で高い上昇率が目立つ北海道

国土交通省では、基準地価の公表に当たり、住宅地、商業地ともに上昇率の高かった地点のベスト10を集計しています。

それによると、全国の住宅地で最も上昇率が高かったのは北海道千歳市の調査地点で、実に前年比30.7%という高い上昇率を記録しました。1位から3位まで北海道千歳市の調査地点が占め、5位と9位には沖縄県の調査地点が入っているものの、4位、6位から8位、10位が北海道の市町村となりました。

上昇率トップの千歳市には、最先端半導体の国産化を目指すラピダスの工場進出が予定されており、その建設工事の従業員向けの住宅開発が続いています。工場稼働後の従業員用の住宅確保のためにも土地が買われ、それが地価を大きく押し上げていると言われています。

また、マンション開発が進む札幌市の地価が上昇していることから、相対的に割安感のある周辺都市の土地が買われるようになった面もあるようです。北海道ボールパークFビレッジの影響を受けた恵庭市、北広島市の地価上昇が目立っているといった特色もあります。

東京圏では千葉県の調査地点が上昇率上位を独占

東京圏の住宅地の地価上昇率ベスト10は図表3のような結果でした。

地価調査
(資料:国土交通省「令和5年都道府県地価調査」)

いずれも千葉県の都市が占めていて、1位と2位は我孫子市、3位と4位が流山市、そして5位から同率9位までは市川市となっています。

この結果について、国土交通省では「東京都に隣接・近接する浦安市、市川市、船橋市、松戸市、柏市、流山市、我孫子市において、都心への接近性に優れる鉄道沿線の駅徒歩圏の地域では底堅い住宅地の需要が継続し、また駅徒歩圏の地域における地価上昇や宅地供給不足により、駅徒歩圏の周辺地域へも住宅地の需要が波及し、上昇率が拡大した」と解説。

なかでも、上昇率で1位、2位を占めた我孫子市については、「常磐線沿線及び市内中心部の地価上昇や宅地供給不足により、相対的な割安感のある地域への需要が波及しており、地価は高い上昇を見せている」としています。

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千葉県内でも割安感のある我孫子市

上記図表3にあるように、千葉県の地価上昇率が高かった調査地点のなかでも、我孫子市は一段と地価が安くなっています。

3位、4位の流山市の調査地点の1平方メートル当たり単価は30万円台、32万円台で、5位から10位までを占めた市川市は26万円台から、高いところでは45万円台となっています。ところが、我孫子市は8万円台、12万円台にとどまっているのです。大きく上がっているとはいえ、まだまだ割安感があり、今後も周辺エリアに近いレベルまで上昇が期待できる可能性があります。その意味では、千葉県のなかでも将来性を期待できるエリアと言えるかもしれません。

JR常磐線(上野東京ライン)を使えば、我孫子市の「我孫子」駅から「東京」駅までは通勤時間帯で乗り換えなしで40分ほどの交通アクセスに恵まれています。「北千住」駅で東京メトロ千代田線に乗り換えれば、「霞ケ関」駅も乗車時間45分ほどです。

上昇率3位、4位の流山市のつくばエクスプレス「流山おおたかの森」駅から「東京」駅に出るには、「北千住」駅で乗り換える必要があり、乗車時間が40分ほどかかるため、乗り換えのない「我孫子」駅のほうが便利かもしれません。

市川市の「市川」駅からは「東京」駅まではJR総武線快速で20分ほどなので、それに比べれば遠くなってしまいますが、40分ほどの乗車時間であれば、ドアツードアでも1時間あれば通勤できる人も多いのではないでしょうか。都心に勤務する会社員であれば、許容範囲の通勤時間とも言えるでしょう。

地価上昇率が最も高い我孫子市。マイホーム購入を考え、まずはどこに住むのか、場所探しから始めようとしている人は、今から注目しておきたい街かもしれません。

(最終更新日:2024.04.19)
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