家を買うときには住宅ローンを組むのが一般的ですが、現在税金を滞納している、もしくは過去に滞納した経験がある場合、審査への影響を心配する人も多いのではないでしょうか。
この記事では、住宅ローンと税金滞納の関係について解説します。過去に税金を滞納したことがあり、住宅ローン審査への影響が気になっている人は参考にしてください。
税金を滞納するとどうなるか
税金を滞納した場合、滞納期間に応じて行政側の対応が変わります。税金を滞納するとどのようなことが起こるのか、段階的に見ていきましょう。
延滞金の発生
所得税をはじめ、あらゆる税金には納期限が設けられており、納付が遅れると延滞金が発生します。
延滞金が加算されるのは、納期限の翌日から納付日までです。納税額に法定の割合をかけ、さらに延滞日数をかけて365日で割って算出されます。
延滞金の割合は、国税は2ヶ月、地方税では1ヶ月の延滞期間を境に高くなります。
国税は2022年1月1日以降に延滞が発生した場合、延滞期間が2ヶ月以内なら2.4%、2ヶ月を超えると8.7%が適用される割合です。地方税を2022年1月1日以降に延滞した場合、延滞期間が1ヶ月以内なら年2.4%、1ヶ月を超えると年8.7%が適用されます(2023年時点)。
延滞金の計算式に使用される割合は一定期間ごとに見直され、年によっては特例が設けられる場合もあるので、その都度公的機関のホームページを確認しましょう。
督促状の到達
納期限を過ぎて一定期間が経つと、督促状が送られます。督促状は税金を滞納していることを、納付すべき金額と延滞金とともに本人に通知するものです。
国税は納期限から50日以内、地方税は20日以内に督促状が届きます。また、自治体によっては督促状のほかにも電話や文書などで催促が行われることもあります。
なお、督促状や納税通知書は本人が確認する・しないにかかわらず、行政側が発送した時点で通達されたとみなされます。本人が延滞の事実を知らなくても、原則的に納付期限や延滞金が変わることはありません。
税金の納付書や督促状が届くべき時期に手元にない場合は、放置せず、管轄の行政機関に問い合わせましょう。
差し押さえの執行
督促状発送後10日を経過しても納税がない場合には、行政による差し押えが可能になります。
差し押さえとは、滞納者の財産から強制的に税金を徴収する処分のことです。
差し押さえは、一定の基準のもと法律で許可されている処分なので、裁判所への申し立てが必要ありません。そのため行政は、予告や滞納者の同意なしに財産を差し押さえられますが、差し押さえ前には、電話や書面にて催告が行われることもしばしばです。
差し押さえが決定すると、まず滞納者の財産調査や捜索が行われ、その後債券・動産・不動産などの差し押さえが執行されます。
給与が差し押さえられれば勤務先に、預金が差し押さえられれば金融機関に差押通知書が届くので、場合によっては第三者に状況を知られてしまうこともあるでしょう。
差し押さえ執行後、すみやかに税金が納付されれば差し押さえは解除されます。しかし、納付されなかった場合、差し押さえた財産が公売などで換金され、未納分にあてられます。
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住宅ローン審査と税金滞納
過去に税金を滞納した場合、住宅ローンの審査に影響するのでしょうか。ここからは、住宅ローン審査と税金滞納の関係について解説します。
税金滞納は返済能力がないと判断される
住宅ローンの申し込み時に税金を滞納していると、返済能力がないと判断されることがあります。住宅ローンでは納税証明書を提出するので、滞納中の事実が金融機関に伝わってしまうためです。
金融機関による住宅ローン審査の基準は公開されておらず、税金滞納の事実がどのように審査に影響を与えているかは、はっきりとわかりません。しかし、貸したお金が返されないと金融機関側の損害になるため、借り手の返済能力に重点を置いた審査であるという見解が一般的です。
税金を滞納していると必ず住宅ローン審査に落ちると断言はできませんが、少なからず評価に悪影響を与えることは理解しておきましょう。
自営業者と会社経営者は要注意
自営業者・会社経営者は、住宅ローンの申し込み時に税金滞納が発覚することも少なくないので注意しましょう。
一般的に、会社員など雇用されている人は所得税・住民税を源泉徴収されるので、滞納が発生しにくいとされています。
しかし自営業者・会社経営者の場合、自分で税金を納付する必要があるため、滞納に気づかないまま住宅ローンに申し込むことも。金融機関に納税証明書を提出する段階になって、滞納が発覚するケースもあります。
また固定資産税・自動車税などは被雇用者であっても自力で納付しなければなりません。住宅ローンの申し込み前に、払うべき税金を滞納していないか確認しましょう。
税金滞納はブラックリストに載らない
税金の滞納は、ブラックリストと呼ばれる個人信用情報に載ることはありません。
住宅ローンやクレジットカード返済などを滞納したり、債務整理をしたりすると、個人信用機関に履歴が残ります。個人信用情報が公になることはありませんが、ローンやクレジットカードの審査では、その金融機関が連携している個人信用情報機関で照会が行われます。
しかし、役所は個人信用機関と連携していないため、税金を滞納しても個人信用情報には記録が残りません。現在滞納している場合を除き、過去に滞納した事実が住宅ローン審査に影響することはないでしょう。
ただし預金が差し押さえられた経験がある場合、その金融機関に差押通知書が届くため、滞納が知られてしまうことがあります。同じ金融機関で住宅ローンを組む場合、差し押さえされた過去が審査に影響する可能性があるので注意しましょう。
借入可能額や毎月の返済額をチェック!
まとめ・住宅ローン審査の前に税金納付のチェックを
家計が厳しいと、各種税金の支払いを後回しにしてしまうことがあります。また、うっかり支払いを忘れ、納付期限を過ぎてしまうこともあるでしょう。
そのような状況で住宅ローンを組むと、思わぬところで足をすくわれることがあります。マイホームの購入、住宅ローン借り入れを考えている人は、税金の未納がないかあらかじめチェックしておくのがおすすめです。
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(最終更新日:2024.04.19)