見かけたらすぐに対策! オオタバコガの駆除と予防方法

農業や家庭菜園を行っていると、オオタバコガの被害に悩まされることがあります。オオタバコガは幅広い植物を餌にする害虫で、野菜や花の育成に大きな影響を及ぼします。

今回は、オオタバコガの生態や特徴を解説するとともに、駆除や予防方法について紹介します。オオタバコガの被害に悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

オオタバコガとは

オオタバコガとはどのような虫で、農業を営む人や家庭菜園を行う人にとってどのような被害があるのでしょうか。

オオタバコガの生態と特徴

オオタバコガはタバコガの近縁種で、ヨーロッパやアジア、アフリカ、オーストラリア、アジアなど亜熱帯地域から温帯地域まで広く分布しています。

オオタバコガの成虫は体長15mm~20mmで、羽を開いた状態だと35mm~40mmの大きさになります。色は雌が緑灰色、雄が黄褐色と、雄は雌よりも黄色味が強い点が特徴です。日本では年に2、3回発生し、冬を越したサナギは5月から6月に羽化します。

一方、近縁種のタバコガは体長15mm程度、開長時は30mm程度と、オオタバコガよりも小型です。タバコガも農産物に寄生するものの、被害の範囲はオオタバコガよりも狭いといわれています。

オオタバコガによる被害

オオタバコガは、もともと日本にいた虫です。昔は害虫として扱われることはなかったのですが、1994年に西日本で大量発生するようになりました。その後、1996年ごろからは東日本(関東や東北の一部の県)でも見られるようになっています。

オオタバコガは、ナスやトマト、ピーマン、オクラ、キュウリ、カボチャ、イチゴ、トウモロコシ、キャベツ、レタス、ネギ、ニンジンといった、私たちが日常食べている植物に被害を及ぼします。

また、カーネーションやトルコギキョウなど食品以外の花き類も被害を受けているのが特徴の一つです。

オオタバコガは繁殖力が強く、一晩に1匹の雌が200~300個もの卵を産み、幼虫は野菜や花などの植物の内部に深く潜るため、発見しにくい傾向があります。

ただ、オオタバコガ自体には毒はなく、人間に対する健康被害は報告されていません。

オオタバコガの駆除・予防対策

人間への健康被害がないとはいえ、農家や家庭菜園を行っている人にとって、オオタバコガは作物に甚大な影響を及ぼす害虫です。見つけたら駆除しなければなりませんし、併せて予防対策も行う必要があります。

オオタバコガの駆除、そして予防対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

こまめに捕殺する

まず、卵や幼虫を見つけたら捕殺することです。さらに、卵や幼虫のいた作物には他にも卵が産み付けられ、作物の中にまで入りこんでいる恐れがあるため、その作物はすぐに刈り取り、粉々にして確実に殺すようにしましょう。

卵や幼虫の死骸や、被害のあった作物はそのまま地面に放置するのではなく、焼却処分などを行うことをおすすめします。

実際に卵や幼虫がいなくても、作物に5mmくらいの穴がある場合、中にオオタバコガの卵や幼虫が潜んでいる可能性があるので、見付けたら刈り取るようにしてください。

オオタバコガの糞を見つけた場合も、周囲に幼虫がいることを示すサインなので、同じように刈り取り、焼却して処分しましょう。

防虫ネットを使用する

防虫ネットはオオタバコガ以外の害虫対策としても有効

オオタバコガを予防する方法として広く使われているのが、防虫ネットです。

防虫ネットを張れば、オオタバコガの成虫が飛んできても、産卵を防ぐことができます。

防虫ネットは、できるだけ目合い4mm以下のものを用意しましょう。そうすると、アブラムシなどオオタバコガ以外の害虫の飛来も防げます。

施設栽培を行っているなら、施設の入り口や天窓のほか、サイドにある開口部にも防虫ネットを張り、オオタバコガの侵入を確実に防ぐことが大切です。

黄色灯を灯す

オオタバコガの成虫は夜行性です。そのため、夜にLEDなどの黄色灯を灯すと、明るい環境下でオオタバコガの産卵や交尾などといった活動を抑制できます。

ただし、黄色灯には作物によって生育に影響を与える可能性がある点に注意が必要です。具体的には、キクやトルコギキョウ、イチゴ、水稲などが光によって影響を受けるといわれています。

農薬を使用する

防虫ネットや捕獲といった対策が間に合わない場合には、農薬を使用する方法もあります。ただし、オオタバコガは薬剤に対して抵抗力を持つ傾向があるため、同じ農薬をずっと使うのではなく、複数の農薬を使い分ける必要があります。

農薬として適しているのは、農林水産省が推奨しているフェンバレレートやマラソン水和剤です。自分で選ぶのが難しいときは、害虫の防除を指導してくれる機関などに問い合わせて利用する薬剤を決めるようにしましょう。

農薬は、幼虫が成長するに従って効果が得にくくなるため、オオタバコガがまだ若い幼虫の時期に行うのが良いとされています。

ただし、作物に入りこんだ卵やサナギには効きにくいため、比較的早い段階で農薬を使用することが大切です。

出典:農林水産省 オオタバコガの発生と見分け方

定期的に耕起を行う

耕起によってサナギを死滅させる

作物の収穫後も定期的に耕起を行うと、越冬中のオオタバコガのサナギを死滅させられます。耕起とは田畑を耕すことで、鋤や耕耘機、トラクターなどで土を掘り起し、土壌を反転・攪拌することを指します。

耕起に適した時期は、冬もしくは春先といわれているので、その時期には忘れずに耕起を行うようにしましょう。

また、肥料をやる際には、窒素過多にならないように注意する必要があります。窒素過多になった植物はオオタバコガの幼虫が育ちやすい環境になるため、適切な量の肥料を与えることも、オオタバコガ被害の予防につながります。

まとめ

オオタバコガには毒性がなく、幼虫や成虫も人を刺したり咬んだりすることはないため、人間に対する健康被害はありません。しかし、作物に大きなダメージを与えるため、被害を防ぐためにも上記で紹介した対策を講じながら、こまめな駆除や予防に取り組みましょう。

(最終更新日:2024.10.15)
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