住宅ローンを利用するにあたり、借入金額と返済期間によって毎月の返済金額や利息がいくらになるかは気になるところです。
今回は、4,000万円程度の住宅の購入を考えている人を対象に、4,000万円の住宅を35年のローンを組んで購入した場合の各種シミュレーションの結果を紹介するとともに、返済負担や支払う利息を軽減するための方策、4,000万円のマイホームを購入できる人の特徴について解説します。
これから住宅の購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
35年ローンで4,000万円の家を買った場合の返済金額を計算してみよう!
ここでは、借入期間4,000万円、借入期間35年という条件を基に、それ以外の条件を変えてシミュレーションを行います。
毎月の返済額や支払う利息の総額は、条件によって差が生じます。特に、頭金を入れるか入れないか、返済方式を元利均等返済にするか元金均等返済にするかが、返済負担を左右するポイントとされています。それぞれの選択によって、どの程度毎月の返済額や総返済額、支払う利息の総額に差が出るのか計算してみましょう。
フルローンを組む場合
頭金を入れずに4,000万円でフルローンを組む場合、毎月の返済額や総返済額、支払う利息の総額はいくらになるのでしょうか。返済方式や金利、団信など条件は以下のとおりとします。
・ARUHIフラット35
・元利均等方式
・新機構団信あり
・全期間固定金利
フルローンだと、必要金額に対する借入額の割合が9割を超えるため、高い金利が適用されます。この場合の2023年8月時点におけるARUHIフラット35の適用金利は1.86%なので、毎月の返済額は約13万円となります。
そして35年間返済を続けた場合の総返済額は5,445万2,478円となり、約1,450万円の利息を支払わなければなりません。
収入にもよりますが、毎月13万円の返済を続けていくのが苦しいケースも想定されます。
1,000万円の頭金を入れる場合
必要金額すべてを借り入れるフルローンではなく、自己資金として1,000万円用意した場合をシミュレーションしてみましょう。なお、その他の元利均等方式や新機構団信の選択などの条件は前章のフルローンの場合と同様と仮定します。
頭金を1,000万円入れれば、毎月の返済額は9万5,122円まで削減でき、総返済額は4,995万1,244円、支払う利息総額は995万1,244円と、フルローンと比べて約450万円も利息負担を軽減できることがわかります。
借入金の割合が必要金額の9割以下の場合、適用される金利が1.72%(2023年8月現在)と、フルローンに比べ0.14%低くなり、その差が毎月の返済額、さらには利息負担の差につながっているのです。
元金均等方式で500万円の頭金を入れた場合
頭金を1,000万円用意できないケースを想定し、頭金を半分の500万円に抑えてシミュレーションしてみましょう。結果は以下のとおりです。
頭金を500万円入れるだけでも、毎月の返済額はフルローンと比べ、約2万円削減できます。また支払う利息の総額も約285万円減らせる結果になりました。
さらに、支払い方法を元利均等方式ではなく元金均等方式に変えた場合はどうなるでしょうか。
元金均等方式とは、借入金額を返済期間(月数)で割り、それに返済期間に応じた利息を合算した額を支払っていく方法です。返済開始時が最も返済額が高く、返済が進むにつれ、徐々に返済額が減っていきます。
3,500万円を35年間の元金均等方式で返済する場合に毎月支払う元金は8万3,333円です。それに利息が加わるため、1回目の返済額は13万3,500円、2年目(13回目)の返済は13万2,067円、10年目(109回目)は12万600円と下がっていくのが、元金均等方式の特徴です。
そして、最終的な総返済額は5,056万84円、支払う利息の総額は1,056万84円となり、元利均等方式を選択した場合と比べて、総返済額および支払う利息の総額ともに100万円以上少なくなることがわかります。
返済開始に比較的家計に余裕があり、将来支出が増える時期の返済負担を軽減したい場合などは、返済方法として元金均等方式を選択することを検討してみてもよいでしょう。
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月々の住宅ローンの返済負担を軽くする秘訣とは?
住宅購入後も人によってはさまざまなライフイベントがあり、まとまった出費が必要になるときもあります。そのため、住宅ローンの返済負担はなるべく軽くし、今後の資金の準備にあてることも考えなければなりません。
住宅ローンの返済負担を軽減し、住宅ローン破綻のリスクを少なくする方法には、以下のものがあります。
返済負担率が25%以下になるように住宅ローンを組もう
住宅ローンを組むときには、収入から借りられる金額を調べるのではなく、毎月の返済額が手取り月収の20%~25%程度になるようにするのが理想です。
返済負担率とは、年収における年間のローン返済額合計の割合のことで、返済額合計には住宅ローンだけでなく、ほかのローンの返済も含まれます。ここで注意が必要なのは、年収の金額と手取り額が異なるということです。より生活に密着した数値を意識するためにも、手取り月収を元に考えるようにしてください。
また、住宅購入時には諸費用がかかり、購入後も固定資産税などの支払いが発生することも考慮しなければなりません。
ちなみに返済負担率が30%を超えると、住宅ローンの破綻リスクが高まるといわれています。そのため、仮に手取り月収が50万円なら、毎月の返済額は10万円~12万5,000円の範囲内にとどめるのがよいでしょう。
頭金や元利均等方式を検討しよう
フルローンを組むのではなく、頭金の用意や元金均等方式も検討してみましょう。特に返済開始時の返済額が負担にならないなら、月を追うごとに返済額が少なくなっていく元金均等方式はおすすめの返済方法です。
ただし、金融機関によっては元利均等方式しか選べないところもあるので、事前に商品概要説明書などで確認しておきましょう。
頭金をいくら用意するかは悩ましいところですが、貯蓄額をすべて頭金にあてるのではなく、生活防衛資金や住宅購入時の諸費用分を除いた額で用意するようにしてください。
繰り上げ返済計画を立てよう
子どもが大学に進学するなど教育費がかかる時期や、役職定年によって収入が減る時期など、返済額は変わらなくても一時的に生活が苦しくなるケースも想定されます。
このような支出の増減は10年以上前から予想できるものも多いため、資金に余裕があるうちに繰り上げ返済の計画を立てて実行しましょう。
繰り上げ返済には、期間短縮型と返済額軽減型の2種類があります。そのときの状況に合わせて返済額削減型を選ぶのか、もしくは期間短縮型を選んで返済負担が重く感じるであろう時期が来るまでに完済を目指すのかなどについて、家族で話し合い計画を立てることが大切です。
4,000万円のマイホームが買えるのはどんな人?
近年、住宅価格も高騰しており、4,000万円台の新築物件も多くみられるようになってきました。
実際に4,000万円のマイホームを買える人の特徴(年収など)について解説します。
4,000万円のマイホームをギリギリ買える人の特徴
【フラット35】の基準である返済負担率「年収400万円未満では30%以下」、「400万円以上では35%以下」を目安とすると、4,000万円のマイホームをフルローンでギリギリ組める人の年収は約450万円です。
年収450万円だと、返済負担率35%、金利1.72%での借入可能額は4,139万円となります。ただし、住宅の購入には手数料がかかることや、引っ越し費用などを考慮すると、もう少し余裕を持たせたほうがよいでしょう。
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まとめ
同じ4,000万円のマイホームを、35年ローンを組んで購入する場合でも、条件が変われば毎月の返済金額や利息負担(総返済額)に大きな差が生まれます。
住宅ローンを組む際には、返済負担率が高くなりすぎないように注意し、さまざまな条件を考慮してシミュレーションを行ってみましょう。その結果をみて、自分に合った条件で住宅ローンを組むことが大切です。
さらに返済負担を軽減するための頭金の用意や、繰り上げ返済の活用を検討することも忘れないようにしてください。
(最終更新日:2023.12.15)