子どもの可能性を伸ばすために、教育費は惜しみたくないのが親心でしょう。しかし、子育て世帯にとって、子どもの塾代などが一定の負担になっています。数はそれほど多くありませんが、自治体によっては塾代や習い事の費用を一部助成したり、貸し付けを実施していたりするところもあります。本記事では、塾代の助成費用や補助金の数例を紹介します。
塾代の平均額
現在は塾に通う子どもが多く、学校にかかる費用以外に塾代がかかります。塾代の平均額はいくらになるのかを、文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」から見ていきましょう。
なお、この調査は1994年(平成6年)より隔年で実施されていたものの、2020年度(令和2年度)の調査は新型コロナウイルスの影響により中止され、前回調査より3年ぶりに実施されたものです。また、調査結果の項目の中で、塾代に相当する項目は「補助学習費」になります。
小学校
学校以外にかかる「学校外活動費」の中で、公立・私立小学校ともに最も支出が多いのは「補助学習費」です。公立小学校では年間12.0万円、私立小学校では37.8万円です。前回調査ではそれぞれ8.2万円、34.8万円だったため、いずれも高くなっていることがわかります。
中学校
公立中学校の補助学習費は年間30.3万円、私立中学校は26.2万円となり、前回調査の24.4万円、22.0万円に比べて高額になっています。また、公立のほうが私立よりも高額です。
公立のほうが高額な理由としては、私立の場合は中高一貫で高校受験がない場合があるものの、公立では高校受験準備があるためと推察できます。
高校生
全日制の高校生の補助学習費は、公立高校生が年間17.1万円(前回14.8万円)、私立高校生が年間24.7万円(前回19.4万円)で、やはり前回調査を上回っています。
補助学習費は公立、私立ともに中学より下がっています。この理由としては、高校生になると塾へ通わずに自分で勉強をするようになったり、卒業後の選択肢が増えたりするため、受験準備のための塾通いが必要なくなるためと推察できます。
東京都 受験生チャレンジ支援貸付事業
ここからは、自治体による塾代への助成について見ていきましょう。
東京都の「受験生チャレンジ支援貸付事業」では、中学3年生と高校3年生(またはこれに準じる人)を対象に、学習塾や通信講座などの受講料や、高校や大学等の受験料の貸付を無利子で行っています。
この事業のポイントは、貸付でありながら高校や大学等などに入学した場合は返済が免除され、中途退学した場合の再チャレンジにも利用可能というところです。
貸付限度額は、学習塾等受講料の場合で20万円になります。高校受験料の貸付限度額は2万7,400円ですが、1度で4回分の受験料まで貸付可能です(1回分当たりの受験料は2万3,000円まで)。また、大学等の受験料は8万円が上限です。
貸付対象となる塾は、「一定期間以上継続して生徒・学生に対し有償での学力の教授を直接または通信で行うもの」である必要があります。また、高校や大学等は、それぞれ学校教育法に規定する高等学校や大学等であることが要件です。
なお、貸付対象者には要件があります。要件や申請方法などの詳細はホームページで確認してください。
大阪市 習い事・塾代助成事業
大阪市では、子育て世帯の経済的負担軽減とともに、子どもの学習意欲や才能を伸ばす機会を提供することを目的とした「習い事・塾代助成事業」を行っています。
これは、学習(塾や家庭教師)、文化(英会話、音楽、絵画など)、スポーツ(野球、ダンス、水泳など)等の学校外教育にかかる費用について、月額1万円を上限に助成する事業で、対象となるのは市内在住の小学5年生~中学3年生の養育者です。
交付対象者には、あらかじめ登録された事業者の教室で使える「大阪市習い事・塾代助成カード」が交付されます。カードが使える教室は、ホームページでジャンルやエリア別に検索可能です。
交付対象者には所得制限などの要件があります。要件や申請方法などの詳細はホームページで確認してください。
つくば市 子どもの学習塾代助成金
茨城県つくば市には、市内の中学校(またはそれに準じる者)の保護者で、生活保護または就学援助を受給している者を対象に、学習塾の授業料の一部を助成する「子どもの学習塾代助成金」があります。
助成額は、月額5,000円が上限で、定員は20名です。要件や申請方法などの詳細はホームページで確認してください。
南房総市 教育サービス利用助成券
千葉県南房総市は、「教育サービス利用助成券」により、学校外教育サービスを提供する取り組みを行っています。
「教育サービス利用助成券」は、放課後子どもクラブや学習塾、習字、そろばん、ピアノ、クラシックバレエ、サッカーなどの、あらかじめ登録された参画事業者の教室で利用できます。助成額は子ども1人あたり、月額で生活保護世帯が7,000円、市民税非課税世帯が6,000円、それ以外は所得に応じて5,000~1,000円になります。
対象者には要件があり、「教育サービス利用助成券」を取得するには申請が必要です。要件や申請方法、参画事業者などの詳細はホームページより確認してください。
千葉市 学校外教育バウチャー事業
千葉市の「令和5年度千葉市学校外教育バウチャー事業」は、生活保護世帯や児童扶養手当全部支給世帯の小学5、6年生の子どもに「こども未来応援クーポン」を支給し、民間の学習塾や習い事などに通うための費用を助成するものです。
定員は各学年115人、支給額は1人当たり最大12万円です。クーポンが利用できるのは登録事業者の教室に限られます。対象者には要件があり、クーポン取得の際は申請が必要です。要件や申請方法、登録事業者などの詳細はホームページより確認してください。
千葉市 学習塾や習い事に通うためのクーポンを助成します!(令和5年度)
文京区 中学生学校外学習費用の助成
東京都の文京区は、「中学生学校外学習費用の助成」として、中学生2年生および3年生に対する学習支援施策を行っています。
学習塾、家庭教師、通信教育など、事業者が提供する有償サービスの内、月謝や受講料、短期講習料、初期費用、教材費が対象になり、助成額の上限は年間10万円です。また、科目は国語、社会、数学、理科、外国語に限られます。
対象者には要件があり、助成を受けるには申請が必要です。なお、東京都の「受験生チャレンジ支援貸付事業」との併用は不可となっています。詳細はホームページで確認してください。
まとめ
塾代の補助金や助成金制度を設けている自治体は、まだ少ないのが現状です。自分が住んでいる自治体に補助金や助成金がある場合は、要件を確認してみましょう。要件に該当するのであれば、申請してみることをおすすめします。