コロナ禍を経て、多くの企業で在宅ワークが定着しました。マンションにもワークスペースを確保できる広めの住まいが求められるようになっています。そこで、首都圏で広めのマンションを手に入れるための選択のポイントをまとめてみました。
エリアによって専有面積はこんなに違う!
首都圏で専有面積の広い新築マンションを探すとなると、どうしても価格が高くなってしまいます。
図表1にあるように、2022年に首都圏で販売された新築マンションの専有面積の1戸当たりの平均値は66.12平方メートルでした。面積を狭い順から並べてちょうど真ん中となる中央値をとると68.82平方メートルと多少広くはなるものの、いずれにしても70平方メートル以下になってしまいます。
80平方メートル、さらに100平方メートルといった広めの新築マンションを探そうとすれば、富裕層向けの全体的にゆったりとしたて広めの物件に目を向けるか、比較的リーズナブルな価格帯の物件であれば、最上階などの一部に設置されるプレミアム住戸などに限られます。いずれも価格が高く、平均的な会社員では簡単には手が届かないかもしれません。
そこで注目したいのが、中古マンションです。図表1でも分かるように、新築マンションの専有面積は年々狭くなっていますが、築年数がたったマンションに焦点を当てれば、広めのマンションが手に入りやすいでしょう。
「築16年~25年」に専有面積が広めの物件が多い
公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の調べによると、首都圏で2023年4~6月に成約した中古マンションの専有面積の平均は64.4平方メートルですが、築年数によって大きな差があります。
最近の新築マンションは建築費や人件費の高騰などもあって、価格を抑えるため年々専有面積が狭くなっていますが、築年数が古くなるにつれ専有面積は広くなる傾向にあります。図表2にあるように、首都圏中古マンションの平均では「~築5年」の築浅マンションでは平均62.1平方メートルですが、「~築10年」では65.8平方メートルになり、「~築20年」で71.2平方メートルになります。
しかし、それ以上に古くなると再び狭くなってきます。「~築30年」は66.1平方メートルに縮小し、「築30年~」では57.2平方メートルと60平方メートルを切ってしまいます。特に、分譲マンション草創期の1960年代、1970年代には60平方メートル、70平方メートル台の3LDKよりは、40平方メートル、50平方メートル台の2DKタイプが主流でした。そのため、築年数が40年、50年と経過した物件ではどうしても平均専有面積が狭くなるのです。
以上のことから、広めの中古マンションを探すとすれば、「築16年~25年」の物件にターゲットを絞ると良いでしょう。
千葉県の「築16~20年」は平均80平方メートル台
築年数だけではなく、エリアによる違いもあります。
上の図表2にあるように、首都圏では東京都区部の中古マンションの専有面積が最も狭く、反対に千葉県の中古マンションの専有面積が最も広くなっています。
東京都区部では、「~築5年」は56.7平方メートル、「~築10年」から「~築30年」までは60平方メートル台です。しかも、「築30年~」になると、なんと49.1平方メートルに。50平方メートル以下の狭さになってしまいます。とてもゆとりの広さを求めることはできません。
それに対して、千葉県であれば、「~築5年」でも72.4平方メートル、「~築20年」では82.3平方メートルになります。そのほかのエリアと同様に「築30年~」は狭くなりますが、それでも66.2平方メートルと、ほかのエリアに比べるとかなり広めです。
千葉県の中古マンションが一番ゆとりがある
首都圏で広めの中古マンションを探すなら、千葉県、それも「~築15年」「~築20年」「~築25年」あたりを検討の中心にするのがおすすめ、ということになりそうです。千葉県の築11年から築25年の範囲で各種のポータルサイトから検索してみてもいいでしょう。
エリア別の専有面積の平均値を見ると(図表3)、千葉県が平均72.6平方メートルと最も広く、次いで埼玉県が68平方メートル台、東京都多摩、神奈川県横浜・川崎、神奈川県他が67平方メートル台で、東京区部が59.1平方メートルと唯一、60平方メートルを切っています。
ゆとりの広さを求めるなら千葉県が良さそうですが、東京都区部以外のエリアでもそれなりの広さのマンションを探せるかもしれません。
東京都区部で広めのマンションを購入するには?
どのエリアでマンションを購入するかによって、必要な予算も大きく異なってきます。できれば、よりリーズナブルな価格帯で、広めのマンションを見つけたいところです。
そこで、エリア別に中古マンションの成約価格の1平方メートル当たりの単価を見てみると、図表4のようになっています。
首都圏平均の1平方メートル当たりの単価は71.3万円ですが、エリアによる違いが大きく、最も高いのは東京都区部の106.1万円です。首都圏平均より約35万円高く、80平方メートル台の広めのマンションを購入するとなると8,500万円ほどの予算が必要ということです。
たとえば、自己資金500万円で8,000万円のローンを組むとすると、金利1%、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は22万5,828円という試算になります。
返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)をより安全な範囲といわれる25%以内に抑えるためには、1,000万円以上の年収が必要になります。平均的な会社員では簡単には手が届かないかもしれません。
千葉県なら東京23区の3分の1の予算で購入できる?
対して、1平方メートルの単価が一番安いのは、広めのマンションが多い千葉県の37.2万円です。東京都区部の106.1万円からすれば3分の1ほどの予算で手に入る計算です。
ゆとりの広さのある80平方メートル台のマンションを購入するとなると、必要な予算は3,000万円弱ということに。500万円の自己資金を用意して、2,500万円のローンを組む場合、先の8,000万円のローンと同じ条件であれば、毎月返済額は5万6,457円です。
返済負担率を25%に抑えるためには、年収270万円ほどあればOKということになります。現在、賃貸住宅住まいの人であれば、月額5万円、6万円の家賃を負担している人は少なくないでしょうし、比較的若い層の人でも十分に購入を検討できるはずです。
ワークスペースを確保できるようなゆとりある広めのマンションを購入するなら、千葉県の中古マンション、それも築年数が少し古めの中古マンションをターゲットにして探してみてください。
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