東京の地価は上がっているのか? 過去5年の地価変動率の推移を解説!

東京でマイホームを買いたい・売りたいと考えている人であれば、東京にある土地の価格がどのように変動しているのか気になるところでしょう。土地価格の変動を見るには、公示地価の推移を確認するのが有効です。

この記事では、公示地価がどのようなものか解説するとともに、2023年1月1日時点の東京の土地価格相場と過去5年間の公示地価の推移を紹介します。地価の変動要因や地価が安定しているエリアについても紹介するので、東京でマイホームの売買を検討する際の参考にしてください。

公示地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づいて国土交通省土地鑑定委員会が公表する地価の指標です。毎年1月1日時点における標準地(2023年実施時は全国2万6,000地点)の正常な価格が、毎年3月に公表されます。

地価公示法第1条で定められている公示地価の目的は「適正な地価の形成に寄与すること」です。目的のとおり、一般に行われる土地取引における指標になるほか、不動産鑑定士が実施する不動産鑑定の規準にもなります。また、公共事業における土地収用価格や相続税評価額・固定資産税評価額を算出する規準としての役割も果たしています。

・引用:e-Gov法令検索「地価公示法」

公示地価は毎年公表されるため、標準地における地価の推移を確認するのにも適した指標です。

【2023年1月1日時点】東京の土地価格の相場は?

東京都の公示地価は、住宅地・商業地ともに全都道府県中1位となっています。2023年1月1日時点の東京都全域における住宅地の平均価格は45万2,100円/平方メートル、商業地の平均価格は261万3,500円/平方メートルです。

なかでも、中央区銀座四丁目は全国で最も地価の高い商業地として広く知られており、2023年1月1日時点で5,380万円/平方メートルを記録した地点があります。

このように全国屈指の土地価格を誇る東京ですが、東京23区と多摩地区では状況が大きく異なります。区部全域における住宅地の平均価格は66万5,300円/平方メートルであるのに対し、多摩全域における住宅地の平均価格は22万円/平方メートル。商業地の平均価格は、区部全域が312万5,300円/平方メートルに対し、多摩全域は63万9,700円/平方メートルにとどまっています。

住宅地で約3倍、商業地で約5倍の開きがあり、東京と一口にいっても、区部と多摩地区では土地価格に大きな差があるのです。

・参考:国土交通省「令和5年地価公示結果の概要」

・参考:東京都財務局「令和5年地価公示 区市町村別用途別平均価格表」

【2019~2023年】東京都の公示地価の地価変動率の推移

(国土交通省データより筆者作成)

上のグラフは、東京都における公示地価変動率の過去5年分(2019〜2023年)の推移を%でまとめたものです。2本の折れ線は、それぞれ住宅地と商業地の変動率を表しています。

コロナ禍で経済が停滞傾向にあった2021年は、住宅地・商業地ともにマイナスとなっていますが、それ以外の年はいずれも変動率がプラスです。

最新の2023年1月1日時点の変動率を見ると、区部の住宅地で3.4%のプラス、多摩地区の住宅地で1.6%のプラスでした。同じく商業地では区部が3.6%のプラス、多摩地区が2.1%のプラスとなっており、区部の大幅な上昇傾向が目立っています。

なお、2021年は区部の商業地が2.1%のマイナス、多摩地区の商業地が1.1%のマイナスとなっており、コロナ禍による影響も区部のほうが色濃く現れる結果となりました。

東京都内の地価が上昇している背景とは?

前述のとおり、東京都内の地価は2014年以降上昇トレンドにあります。2023年地価公示における住宅地標準地の上昇率を見ると、上位10地点を区部が占めています。上昇率1位は足立区綾瀬一丁目、2位も同じ足立区の千住緑町一丁目でした。以下、荒川区東日暮里一丁目、中野区新井二丁目と続きます。

これらの住宅地はいずれも、都心へのアクセスが良好である一方、一般的に割安感があるとされるエリアです。コロナ禍によるテレワークの普及などで在宅時間が増加したことから、より広い住宅や良好な住環境を求めるニーズが高まったと考えられるでしょう。

また、富裕層において生じた余剰資金が不動産取得に向かい、都心部の地価が上昇したことも要因と考えられます。

東京全域で地価が上がっているのか?

区部・多摩地区ともに地価は上昇傾向と紹介しましたが、東京全域で地価が上がり続けているというわけではありません。2023年地価公示では区部の住宅地・商業地、多摩地区の商業地において地価が下落した地点はなかったものの、多摩地区の住宅地では地価下落が見られました。

島部を除く地価下落率の1位は東村山市多摩湖町四丁目でマイナス1.3%、2位は八王子市初沢町でマイナス1.1%でした。以下、日野市程久保二丁目、町田市野津田町と続きます。

地価下落率上位となっているのは、高齢化が進んでいたり交通アクセスなどの利便性が良くなかったりする地域です。こうした土地の需要は年々減少しており、都内であっても地価は下落傾向にあります。

東京都内で地価が安定しているエリアは?

東京都内の地価はおおむね上昇傾向にあるものの、多摩地区では下落している地域も見られます。東京都内において住宅地の地価が安定しているエリアはどこなのでしょうか。

東京都内で住宅地の地価変動が特に少ないのは世田谷区です。直近10年間(2014〜2023年)の変動率はマイナス0.5%〜4.2%の中に収まっており、コロナ禍でも下落幅が小さかったエリアの一つでした。

世田谷区をはじめとした地価が安定しているエリアは、若年層から高齢層まで幅広い年代・世代から支持されているのが特徴です。生活利便施設が充実しており、適度な自然がある住環境と都心へのアクセスの良さが評価されています。これらのポイントは、マイホームの購入を検討するうえでも重要な判断材料になるでしょう。

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まとめ

土地価格の相場やエリアの地価変動率は、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月に公表する公示地価を調べることで確認できます。公示地価は毎年1月1日時点における、標準地の正常な価格を示すものです。

東京都内は2014年以降おおむね地価が上昇傾向にあり、区部における上昇が顕著です。しかし、都内であっても多摩地区を中心に下落傾向にある地域も存在します。アクセスが良好な地域に人気が集中し、そうでない地域との差が拡大しています。

マイホームの購入や売却を検討する際は、エリアにおける地価の動向をリサーチしてみるとよいでしょう。

(最終更新日:2024.04.19)
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