神戸のウォーターフロントエリアで新しい再開発事業が始動しています。その名も「神戸アリーナプロジェクト」、神戸港の中心部分に誕生する水辺のアリーナ計画です。現在の進捗も含めて、周辺の街の様子をレポートしましょう。
新港突堤西地区(第2突堤)に2025年4月開業の予定
水辺のアリーナが誕生するのは神戸市中央区・新港突堤西地区の第2突堤、新港地区の中央部にあたります。現在、第1突堤にはリゾートホテルを中心とした施設が整備され、第3突堤は九州・四国方面へのフェリー乗り場となっている場所です。ここで2025年4月開業を目指しアリーナ建設が始まっています。
翼を拡げ羽ばたく鳥のような外観デザイン
アリーナの外観デザインは、阪神・淡路大震災から30年という節目も踏まえ「神戸から感動と興奮を発信し、世界へ羽ばたく姿」を表現し、翼を拡げる鳥のようなイメージに。開業後はB.LEAGUE(プロバスケットボールリーグ)に所属する「西宮ストークス」の本拠地としてホームゲームが行われるほか、音楽コンサートやスポーツイベント、MICEなどさまざまなイベントに利用される計画です。
神戸市が掲げる「港都神戸」グランドデザインがベース
このアリーナプロジェクトは神戸市が推進する「港都神戸」グランドデザインに基づき、都心・ウォーターフロントエリアの再開発事業として民間企業が建設・運営を担います。神戸市が作成した「神戸ウォーターフロントビジョン」によると、もともと倉庫が建ち並んでいた新港突堤西地区にはアリーナのほかにヨットなどが停泊出来るマリーナや、リゾートホテルをはじめとする宿泊、飲食、娯楽施設も計画されおり、緑あふれる新たな「海辺」まちの創出を目指しています。
一部の再開発が進むウォーターフロントエリア
2023年7月、アリーナ建設予定地も含めてウォーターフロントエリアを実際に訪ねてみました。三宮方面からのエントランスとなるエリアでは、すでにタワーマンションや高級車ディーラーの拠点が立ち上がり、すぐ横のブロックでもマンション建築工事が進行中。また「神戸ポートミュージアム」やフェリシモの本社ビルも稼働中です。第1突堤のホテルや温泉施設にはたくさんの人々が訪れていました。そのかたわらで、第2埠頭でのアリーナ建設工事が始まっており、建築物の一部が姿を現し始めていました。完成のあかつきには、風景が一新することになりそうです。
三宮から歩いて訪ねるのも楽しいエリア
アリーナ建設予定地の新港突堤西地区は、神戸の玄関口・三宮駅からも歩いて行くこともできます。途中にある「東遊園地」は再整備事業が2023年4月に完了し、にぎわい拠点施設(URBAN PICNIC)もオープン。噴水の広場ではたくさんの子どもたちが水遊びを楽しんでいました。南側には「こども本の森 神戸」が2022年3月にオープンしており、ファミリーがゆったりと楽しめるエリアに生まれ変わっています。高架道路をくぐってみなとエリア入ると「神戸税関」のレトロな建物が姿を現します。その向かい側には旧生糸検査所を改修した神戸市の拠点施設、デザイン・クリエイティブセンター神戸(愛称:KIITO/キイト)があります。KIITOではデザインやアートにまつわるイベントなどが開催されるほか、レンタルスペース、オフィススペースなどもあります。
2025年「大阪万博」開催に合わせてインフラ整備が進む
視点を広げて大阪湾全体を見回してみると、2025年に「大阪万博」の開催、その後2029年の開業を目指して「統合型リゾート・IR」の建設が予定されています。工業地帯や貿易港としての湾岸エリアから、観光やレジャー、国際会議も行われるリゾートエリアへの変貌が期待されています。「神戸アリーナ」を含めた神戸港の再開発も、大阪湾全体の魅力アップに相乗効果をもたらしてくれるでしょう。
大阪湾岸道路西伸部の建設もスタート
あわせて空港や道路網、鉄道網の整備計画も動きだしています。神戸周辺エリアでは大阪湾を半周するように結ぶ高速道路「大阪湾岸道路西伸部」の建設工事も始まっています。大阪湾岸道路は、神戸淡路鳴門自動車道(垂水JCT)から関西国際空港(りんくうJCT)までを結ぶ延長約80kmの自動車専用道路ですが、現在は六甲アイランド北までが完成済み。そこから延伸させて、ポートアイランドの東西に大きな2つの橋を架け高架道路で繋ぐ計画です。また、神戸空港への離発着航空路を変更することで、発着回数の増枠や国際線の就航も検討が始まっています。「神戸アリーナプロジェクト」へのアクセス改善が実現できれば、一層集客力のあるエリアへとなりそうです。