野焼きとは? 法律で禁止されている理由や例外と認められるケースなどを解説

野外で廃棄物などを燃やす「野焼き」は、法律で禁止されている行為です。例外として認められるケースもありますが、周辺環境に影響のない範囲で行う必要があります。今回は、なぜ禁止されているのか、違反するとどうなるのか、どのようなケースが認められるのかなど、野焼きに関する疑問とその答えをまとめました。思わぬトラブルを防ぐために、ぜひ役立ててください。

野焼きとは

まずは、野焼きとは具体的にどのような行為なのか、なぜ禁止されているのかを解説します。

野焼きにあたる行為
野焼きとは、野外で家庭ごみや雑草などの廃棄物を燃やす行為のことです。平地で燃やすのはもちろん、ブロックなどで囲まれたスペース(家庭用焼却炉)やドラム缶の中で燃やすことも野焼きにあたります。ごみを燃やすときは、法律で決められた基準を満たす焼却炉を使わなくてはならないため、野焼きは法律や条例で禁止されており、例外とされる場合を除いては行うことができません。

野焼きが禁止されている理由
なぜ野焼きが禁止されているのでしょうか。主な理由としては次の三つがあげられます。

・近所迷惑
・火災の危険性がある
・環境汚染につながる

ごみを燃やすと大量の煙や臭いが発生し、「煙たくて窓が開けられない」「洗濯物に臭いがつく」など近隣に迷惑をかけてしまいます。風向きによっては火災の原因にもなり、とても危険です。また、ダイオキシン類などの有害物質が発生し、環境汚染の直接的な要因になります。

野焼きを禁止する法律・罰則

次に、野焼きを禁止する法律と、違反した場合の罰則について解説します。

焼却を禁止する法律
野焼きは、以下のとおり「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第16条の2で禁止されています。

(焼却禁止)
第十六条の二 何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。
一 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従って行う廃棄物の焼却
二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却
三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの

引用:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 | e-GOV

法律によって野焼きが禁止されたのは、2001(平成13)年4月1日からです。翌年12月には、構造基準を満たさないとして家庭用焼却炉も使用禁止になりました。

違反した場合の罰則
野焼き禁止に違反した場合の罰則は、同じく「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第25条にて次のように定められています。

第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(一~十四号省略)
十五 第十六条の二の規定に違反して、廃棄物を焼却した者

引用:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 | e-GOV

「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方」というと、かなり重い罰といえるでしょう。たかがたき火と安易に考えていると大変なことになるかもしれないので、注意してください。

野焼きが例外的に認められるケースとは

法律で禁止されている野焼きが認められるケースにはどのようなものがあるのか、具体的な事例と注意点を紹介します。

例外とされる事例
焼却禁止の例外については「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第16条の2と同施行令第14条に定められており、公益上もしくは社会の慣習上やむを得ないとされる場合や、近隣への影響が軽微である場合には野焼きが認められます。

【具体例】
・火祭りやどんど焼きなどの伝統行事
・学校教育や社会教育活動でのキャンプファイヤーやたき火
・農業における焼き畑や下枝、麦わら、稲わらなどの焼却
・消防訓練や災害時における応急措置(木くずの焼却など)
・日常生活の一部である庭掃除などで集めた少量の枝葉の焼却
など

ただし、上記に該当する場合でも、ビニール袋やタイヤ、プラスチック類などの焼却は禁止されています。

例外的に野焼きをする場合の注意点
実際に野焼きを行う際は、次のような点に十分配慮する必要があります。

・短時間で焼却できる量にとどめる
・時間帯を考慮する(洗濯物を干している時間帯は避けるなど)
・剪定(せんてい)した枝や雑草などは事前にしっかり乾燥させる(湿っていると煙が出やすいため)
・風向きを考慮し、風の強い日は避ける
・事前に近隣住民に連絡をして理解を得る
・住宅の近くでは焼却しない
など

例外として認められるケースでも、近隣から苦情が出た場合は「周辺地域の生活環境に著しい影響を与えている焼却」と判断され、自治体からの指導対象になります。なお、条例により消防署への届け出が必要な場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

野焼き以外で枝葉を処分する方法

野焼きは法律で禁止されていることがわかりました。剪定や草刈りで出た枝葉は少量なら燃やしても構わないようですが、周辺への十分な配慮が求められます。トラブルを未然に防ぐため、野焼きは避けたほうがよいでしょう。そこでここからは、枝葉を処分する方法を三つ紹介します。

可燃ごみとして処分する
枝葉は可燃ごみとして無料で回収している自治体が多いようです。ただし、枝の長さや一度に出せる量などにルールを設けていることがあるので注意してください。「○○cm以下に切る」「無料回収は○袋、○束まで」といった具合です。

なお、廃棄物処理場や環境事業所などの施設に直接持ち込める自治体もあります。たとえば、「大量の枝葉が出て次の回収日まで保管する場所がない」といった場合に利用すると便利です。自治体のWebサイトをチェックするか、各施設に問い合わせするなどして、持ち込める量や受付時間などの条件を確認しておきましょう。

ただし、事業系ごみの場合は基本的に自治体が回収する可燃ごみとして出すことはできません。また、持ち込みの場合でも自治体によって受け入れ基準が異なるため確認が必要です。

業者に依頼して回収してもらう
不用品回収業者や園芸業者に引き取ってもらうという方法もあります。費用はかかりますが、枝をカットしてまとめたり収集場所まで運んだりという手間が省けるので、大量の剪定枝が出たときに便利です。

不用品回収業者に依頼する際は「一般廃棄物収集運搬業許可」を持つ業者を選ぶようにしてください。業者による処理場への家庭ごみの持ち込みは、自治体の一般廃棄物収集運搬業許可がないとできません。ほとんどの自治体では家庭ごみ収集を許可している業者名を公開しているので、事前に確認してみましょう。

園芸業者の場合、剪定作業とセットでないと引き取ってくれないケースもあるので、こちらも事前に確認するようにしてください。

リサイクルする
少量の草や葉であれば、コンポストで処理して堆肥として再利用するという方法もあります。コンポストとは、微生物の働きを利用して家庭から出る生ごみや枯葉を堆肥化する容器のことで、ホームセンターなどで購入できます。生ごみ減量を目的としてコンポストの無料配布や、購入に補助金制度を設けている自治体も多いので、興味があればチェックしてみてください。

長い剪定枝はコンポストで処理するのが難しいので、自治体や業者に回収してもらうことになりますが、回収後にすべて焼却処分するのかといえばそうともかぎりません。たとえば、東京都町田市では回収した枝をチップに加工し、発酵・熟成を経て土壌改良材として再生する取り組みを行っています。お住まいの自治体ではどのような取り組みが行われているのか、調べてみるとよいでしょう。

まとめ

野焼きは原則として法律で禁止されています。違反者には「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方」という重い罰則が待っています。例外的に認められるケースもありますが、周辺環境への配慮が必要です。ごみは自治体のルールに従って出し、剪定や草刈りで出た枝葉も野焼きではなく、可燃ごみやリサイクル用として回収してもらうようにしましょう。

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