避暑地とは、夏場でも涼しく過ごせる土地のことをいいます。近年は猛暑日が連日観測されるなど夏の暑さが厳しいため、真夏でも冷涼な避暑地でゆったり過ごしたいと考える人も多いのではないでしょうか。
この記事では、避暑地の特徴について解説するとともに、国内で避暑地として有名な場所を一挙に紹介していきます。
避暑地とは?避暑地の特徴
避暑地には厳密な定義がなく、文字どおり「暑さを避けて」夏でも涼しく過ごせる場所のことをいいます。
そのため、必然的に高緯度の北海道や本州北部、標高の高い地域に集中する傾向があります。静かな休暇を過ごせるという意味合いもあり、避暑地は自然の豊かな場所である場所がほとんどです。また、緯度や標高がそれほど高くなくても、海や川・湖があって涼めたり、地形の影響で風や霧が発生しやすかったりするところも、避暑地になる場合があります。
都市部からのアクセスが良好な避暑地は、夏休みを中心に多くの人が訪れるため、有名観光地になっていることも少なくありません。
避暑地として有名な場所
日本では全国各地に避暑地があります。数ある避暑地のなかでも、特に有名なスポットを紹介していきましょう。
軽井沢
日本の避暑地の代名詞といっても過言ではないほど、古くから有名である長野県の軽井沢です。浅間山の麓に位置し、上信越高原国立公園の一部として豊かな自然が残されています。
別荘地として人気が高く、数多くのショッピングスポットや有名レストランがあるのも特徴。200以上のショップが集まる「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」や星野リゾートの複合施設「ハルニレテラス」などは、特に人気のスポットです。
東京駅から新幹線で約1時間半というアクセスの良さから、今もなお多くの人が訪れます。
八ヶ岳・清里高原
長野県と山梨県の県境に位置する八ヶ岳の麓に広がる高原は、豊かな自然と雄大な景色が魅力の人気避暑地です。八ヶ岳と向かい合う南アルプス山麓に湧き出る水は、有名なサントリーウイスキー「白州」や「南アルプスの天然水」の原料としても知られています。
八ヶ岳の南側に広がる清里高原は、1970年代〜1980年代にかけて「清里ブーム」を巻き起こしたスポットです。近年では標高1,900mに位置する「清里テラス」からの絶景がSNSで話題となり、人気が再燃しています。
清里テラスでは、運が良ければ眼下に広がる雲海を楽しめるほか、ソフトクリームが有名な「清泉寮」や高原野菜で知られる野辺山など、見どころも多い避暑地です。
上高地
上高地も、軽井沢と並ぶ長野県を代表する避暑地です。人気観光地でありながら、手付かずの自然が残っている点も魅力となっています。
自然環境を保護するために「通年マイカー規制」が敷かれており、マイカーは離れたところに設けられた駐車場に停めておかなければなりません。そこからのアクセスはバスかタクシーなどに限られ、交通の便が良いとはいえませんが、美しい自然と涼を求めて多くの人が訪れます。
上高地の人気スポットといえば、梓川にかかる「河童橋」と周囲の山々を湖面に美しく映し出す「大正池」です。昼は澄んだ水と壮大な山々、夜は一面に広がる星空を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごせます。また、1933年に開業した上高地帝国ホテルは、日本初の本格的山岳リゾートホテルとして国内外に知られています。
伊豆高原
伊豆半島の東側に広がる伊豆高原は、太平洋を間近に見下ろす有名避暑地です。
東京からほど近い別荘地として古くから人気のエリアで、おしゃれなレストランやカフェが多くあります。伊東・熱川などの温泉地に囲まれ、温泉に浸かりながら夏の汗をさっぱり流すのもおすすめの過ごし方です。
「大室山」や「伊豆シャボテン動物公園」「城ヶ崎海岸」などは、伊豆観光の目玉ともいえるスポットです。2017年まで開催されていた「伊豆高原アートフェスティバル」から発展した「伊豆高原 五月祭」が毎年開かれるなど、アートに触れられるのも魅力的でしょう。
みなかみ
群馬県北部に位置するみなかみ町は、関東一の大河川である利根川の源流にあたるエリアです。豊かな水量を誇る渓谷を特徴としており、渓流でのアウトドアアクティビティを楽しめる避暑地として知られています。
また、「みなかみ18湯」と呼ばれる個性豊かな温泉が点在しており、日帰り温泉も充実しています。東京から新幹線で1時間強とアクセスしやすく、アクティビティや温泉を求めて、若者や家族連れも多く訪れる避暑地です。
那須高原
栃木県北部に位置する那須高原は、皇室の那須御用邸がある「ロイヤルリゾート」として有名な避暑地です。茶臼岳などからなる那須連山の麓には、西暦630年に発見されたという歴史ある名湯・那須温泉があります。
那須高原はキャンプ場が多い避暑地であり、豊かな自然の中でアウトドアを楽しめるのが魅力です。「那須ガーデンアウトレット」などのショッピングスポットや、「那須ハイランドパーク」「りんどう湖ファミリー牧場」といったレジャースポットも集まっています。
那須高原はゆったりと過ごしたい人も、活動的に過ごしたい人も満足できる避暑地といえるでしょう。
十和田・奥入瀬
青森県と秋田県の県境に位置する十和田湖は夏でも水温が低く、湖畔は避暑地として人気です。周辺は十和田八幡平国立公園となっており、湖の北東にある奥入瀬(おいらせ)渓流は自然豊かな景勝地として知られます。
奥入瀬渓流の見どころといえば、高さ7m・幅20mの規模を誇る「銚子大滝」です。滝の周辺は夏でも涼しいどころか寒いくらいであるといわれ、大自然の中、夏であることを忘れてしまうような避暑地です。
富良野
「暑さを避けるなら北海道」と考える人も多いかもしれません。そんな北海道を代表する避暑地の一つが富良野です。
数々の映画やドラマのロケ地として知られる富良野の夏は、ラベンダーをはじめとする彩り豊かな花畑が魅力。大規模なラベンダー畑で全国的に知られる「ファーム富田」など、美しい花畑やラベンダーを使ったアイテムが楽しめるスポットが多くあります。
道内では比較的最高気温が高いエリアですが、本州の都市部に比べると湿度がずっと低く、夏でも過ごしやすくなっています。
洞爺湖
北海道の避暑地としては洞爺湖も有名です。北に羊蹄山、南には有珠山がそびえています。湖上ではカヌーやモーターボートといったアクティビティが楽しめるほか、湖畔の洞爺湖温泉で疲れを癒せます。
洞爺湖を見下ろす高台に建つ「ザ・ウィンザーホテル洞爺」は、2008年の北海道洞爺湖サミットの会場となったことでも有名な5つ星ホテル。他にもゴルフリゾートが点在しており、ワンランク上のバカンスも楽しめる避暑地です。
六甲山
神戸市街の裏手に横たわる六甲山は、古くから関西圏の代表的な避暑地として知られてきました。アクセスの良さが特徴で、日帰りで気軽に行ける人気観光地でもあります。
もともとは神戸港の発展により、居留する外国人の避暑地として開発されたのがはじまりです。標高が高いため、六甲山上は市街地に比べて5〜6度も気温が低くなります。
保養所や別荘が立ち並び、明石海峡や大阪平野まで見渡せる「六甲ガーデンテラス」など、観光の目玉となるスポットもが多くあります。
貴船
「京の奥座敷」として、古くは平安貴族も涼を求めて訪れたといわれる、京都の歴史ある避暑地が貴船です。
貴船地区の中心を流れる貴船川は鴨川の上流にあたり、貴船神社は平安京の水を司る神として厚い信仰を受けてきました。貴船といえば、貴船川の上に設けられた「川床」が有名です。川床の上は、暑さの厳しい京都市内に比べると10度近くも気温が低いといわれ、今も涼を求めて多くの人が訪れます。
阿蘇
熊本県の阿蘇は南国・九州に位置するものの、標高が高く避暑地としておすすめのエリアです。阿蘇山をはじめとする山々から流れ出る川や滝が多くあり、川のレジャーや水遊びを楽しめるスポットが充実しています。
なかでも「遊水峡」は膝下程度の浅瀬が続いており、小さな子どもでも安心して水遊びできる場所として家族連れに人気です。
まとめ
避暑地とは、夏場でも涼しく過ごせるエリアのことです。緯度や標高の高い地方に多く、大都市からのアクセスがよい避暑地は人気の観光スポットにもなっています。
高山や川の多い日本には、避暑地として有名な場所がたくさんあります。いずれも自然が豊かでアウトドアを楽しめるほか、ショッピングなどをして過ごすのもおすすめです。夏の旅行先として、全国各地の避暑地を検討してみてはいかがでしょうか。