横浜市営地下鉄ブルーライン延伸であざみ野~新百合ヶ丘が便利に! 新駅予定エリアを先取りチェック

現在は東急田園都市線と交差するあざみ野駅終着となっている横浜市営地下鉄ブルーラインを、小田急線新百合ヶ丘駅まで延伸するという計画が進んでいます。両駅間のみならず、新横浜駅へのアクセスも良くなる予定で、これまでバス便主体だったエリアが一気に便利になります。

あざみ野駅
現在はあざみ野駅までの横浜市営地下鉄ブルーラインが小田急線新百合ヶ丘駅まで延伸する予定です(筆者撮影)

横浜市の骨格をなす交通手段として誕生

横浜市営地下鉄ブルーラインは、神奈川県藤沢市の湘南台駅から横浜市青葉区のあざみ野駅を結ぶ路線。1965年に発表された横浜市六大事業で「横浜市の骨格をなす交通手段」として位置づけられており、郊外部と都心部、港北ニュータウンを繋ぎ、中心部の輸送力を増強することを意図して造られました。

1972年に伊勢佐木長者町駅から上大岡駅が開業して以降、順次延伸が行われ、全路線が完成したのは1999年です。

他社路線との接続駅多数

路線図
他社路線との接続駅の分かる路線図(出典:横浜市ホームページ 路線図

他社路線との接続駅が多く、たとえば横浜駅はJR線では東海道線、横須賀線、京浜東北線・根岸線、湘南新宿ライン、横浜線、新横浜駅では東海道新幹線に乗り換えができます。それ以外では相模鉄道、京浜急行電鉄、東急電鉄、横浜高速鉄道、小田急電鉄の各路線と接続する駅もあります。

2014年から検討スタート

そのブルーラインの次なる延伸の話がスタートしたのは2014年。横浜市が事業化に向けた基礎調査を開始しています。その後、2019年に事業化を判断したとの公表があり、同年8月には横浜市高速鉄道3号線延伸に関する説明会が開催されています。同年には川崎市側の有力ルート案(東側ルート)の考え方が公表され、2020年に概略ルート、駅位置についての公表が行われました。詳細な地点ではないものの、おおよそのルート、駅については決定したというわけです。

ルート、新設される駅の位置が決定

そのルートが下の図。整備延長は約6.5キロメートルあり、周辺の地形や土地利用、交差構造物等への影響を考慮して地下トンネル構造になる予定です。

概略ルート
概略ルート・駅位置決定を告げるプレスリリースに掲載されていた概略ルート。位置関係がよく分かります(出典:横浜市プレスリリース

 

新駅は4ヶ所に

既設のあざみ野駅は別として、小田急線新百合ヶ丘駅南口付近までに4つの新駅が造られる予定で、駅間隔は横浜市営地下鉄の既存駅と同様の間隔となります。横浜市側のルートは道路下などの公有地を有効活用し、既設のあざみ野駅から横浜・川崎両市の市境となるすすき野付近までが基本です。駅位置については嶮山(けんざん)付近およびすすき野付近を基本に考えられています。

川崎市側については、北部地域の公共交通ネットワークの充実や駅周辺の活性化を図るという理由から、複合スポーツ施設「ヨネッティー王禅寺」付近に駅を設置するルートになります。

新百合ヶ丘駅のバスターミナル
新百合ヶ丘駅のバスターミナル。成田空港、羽田空港なども含め、他方面へのバス路線が発着しています(筆者撮影)

現在、このエリアでは小田急線、東急田園都市線それぞれの駅間に複数の路線バスが走っており、車での移動が中心となっていますが、そのうちの一部が地下鉄に代わるというわけです。

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4つの整備効果

横浜市によると整備効果は以下の4点です。

①広域的な鉄道ネットワークの形成

横浜と川崎市北部、多摩地域を結ぶ、新たな都市軸を形成するとしており、それは災害等による輸送障害発生時の代替経路としても役立つものとされています。

②新幹線アクセスの強化

横浜市北西部のみならず、川崎市北部、多摩地区などの広い範囲からの新横浜駅へのアクセスがより容易になるとされています。

3号線延伸取組状況
新百合ヶ丘駅から新横浜駅への移動時間の短縮効果について説明する資料。乗り換えがなくなるというメリットもあります(出典:横浜市ホームページ 3号線延伸取組状況 2019年の説明会資料より)

30分が10分になるなど交通利便性大幅アップ

③拠点間アクセスの強化

延伸後の終点となる新百合ヶ丘駅の場合、あざみ野駅までこれまでバス便利用で約30分かかっていたものが、約10分となり、20分もの短縮に繋がります。同様に新百合ヶ丘駅から新横浜駅まではこれまで約35分かかっていたものが、約27分となり、約8分短縮されます。このケースでは、乗り換えがなくなるので大きな荷物を持った人や子ども連れ、高齢者などにとっては、とても便利に使えるようになるのではないでしょうか。

3号線延伸取組状況
新百合ヶ丘駅からあざみ野駅への移動時間の短縮効果について説明する資料(出典:横浜市ホームページ 3号線延伸取組状況 2019年の説明会資料より)

④沿線地域の活性化

新しい駅ができればその周辺でのまちづくりが進み、ターミナル駅の利便性も向上、周辺のエリアを繋ぐ公共交通ネットワークも強化されるはずです。

概略ルート・駅位置
概略ルート・駅位置決定を告げるプレスリリースに参考として掲載されていた想定スケジュール。まだしばらくかかりそうです(出典:横浜市プレスリリース

開業は2030年が目標とされており、まだしばらくかかりますが、駅のおおよその位置も分かってきたことから地元の不動産会社店頭には便利になるこの地区での不動産購入を勧める文言が掲示されており、地域の期待を感じます。

延伸エリアは自然、起伏に富んだ場所

では、延伸エリアの新駅周辺はどのような場所なのでしょう。住むという観点で紹介していきましょう。

古くから人が住んできた多摩丘陵に立地

地形でいうと、このエリアは高尾山麓から三浦半島に向かって東西に延びる多摩丘陵に該当しています。縄文時代などの遺跡が多く出土している地域でもあり、古くから人が居住してきた、住みやすい場所です。

地形
起伏、高低差のある地形がこのエリアの特徴。その分、眺望や日照などには恵まれています(筆者撮影)

ただし、丘陵は起伏、高低差のある地形でもあり、このエリアは全般に坂、場所によっては階段などもある地域です。歩いて、あるいは自転車で移動しようとするとちょっと大変ですが、その分、眺望や採光、風通しの良い住宅が多く、気持ちの良い暮らしが実現できそうです。

並木、植栽、農地と自然が豊か

並木
きれいな並木がある通りも多く、歩道もきちんと整備されています(筆者撮影)

また、歩いてみて気づくのは緑の多さ。バスが通る沿道には並木のある通りが多く、いずれもよく手入れされています。

豊かな植栽
豊かな植栽のある住宅も多く、散歩しているだけでさまざまな花、植物を見かけます(筆者撮影)

戸建て、マンションとも住宅周囲にも緑があり、遠くに目をやると山の緑も。

計画的に開発された住宅地では宅地内に大小の公園が整備されていますし、それ以外にも地形、自然を生かした王禅寺ふるさと公園のような広大な、家族で一日楽しめるような公園もあります。

野菜の直売所
新百合ヶ丘駅前で見かけた野菜の直売所。川崎市、横浜市を問わず、意外に農地があるようです(筆者撮影)

住宅地から少し離れると農地もあり、新百合ヶ丘駅前にはJAセレサ川崎の新百合ヶ丘直売所がありました。横浜市でも直売所に加えて、スーパーで地元の野菜を扱っていたりもします。自然や四季を感じる暮らしができる地域と言えます。

住宅地近くには商業施設が集積

八百屋さん
すすき野団地近くのマンション1階にあった八百屋さん。品揃えと安さにびっくりしました(筆者撮影)

その一方で、住宅地の近くにはスーパーやドラッグストアなどの店舗が集まっており、日常の買い物に便利そう。バス通り沿いには駐車場がいっぱいになるほど買い物客が集まっているケーキ屋さんなどもありました。すすき野では温浴施設を見かけましたし、ゴルフの練習場、テニスコートなどスポーツを楽しむ施設も点在していました。

新百合ヶ丘駅前
新百合ヶ丘駅前。ペデストリアンデッキ沿いに大型商業施設が並んでいます。左手の緑のある部分、1階にバスターミナルがあります(筆者撮影)

買い物という意味では既存のあざみ野駅周辺、新百合ヶ丘駅周辺に商業施設が多く集まっています。特に新百合ヶ丘周辺には大型商業施設、麻生区役所、図書館をはじめ公共施設等が集積しており、買い物、飲食はもちろん、勉学、スポーツ、映画とさまざまな楽しみがそろっています。

あざみ野駅周辺
あざみ野駅周辺。新百合ヶ丘駅周辺に比べると大型店はそれほど多くはありませんが、必要なものはそろえることができます(筆者撮影)

あざみ野駅周辺もスーパーやドラッグストア、大型家具店に加えて商店街があります。生活という意味ではエリア内はどこも整っていると言えます。

新駅予定地の周辺の様子は?

続いて新駅の予定されているエリアについて紹介しましょう。まずはあざみ野駅の隣に予定されている嶮山(けんざん)付近。あまり見かけない漢字が使われていますが、この地名は現存していません。

嶮山には複合スポーツ施設などが

横浜市立嶮山小学校、嶮山公園、嶮山スポーツガーデン前など学校、公園、交差点名などには残されており、地名で言えばすすき野から大場町あたりにかけてのエリア。嶮山自体は険しい山を意味しているそうですが、住宅地として造成されているため、それほどに厳しい高低差を意識することはありません。通り沿いには集合住宅、少し入ると戸建てが並ぶ住宅地です。

ゴルフ練習場
ゴルフ練習場、テニスコートに商業施設が入った複合施設。バーベキューができるスペースなどもあります(筆者撮影)

地元で知られているのは、かつては嶮山スポーツガーデンと呼ばれていたゴルフ練習場、テニスコートを核とした複合スポーツ施設「あざみ野ガーデンズ」。物販、飲食などの店舗も入っており、車で遊びに来る人が多い施設です。

大型団地が集まるすすき野エリア

すすき野団地の中心部
すすき野団地の中心部。バスも頻繁に走っています(筆者撮影)

次のすすき野エリアは集合住宅が中心になっている地域。バスの終着点になっているすすきの団地は1974年に竣工した37棟からなる大規模なもので、敷地内には公園や緑道もあるゆったりした環境が特徴です。

団地
築年数の経った団地はその分、敷地内にゆとりがあり、さまざまな植栽が植えられていたりします(筆者撮影)

すすき野団地は横浜市立地ですが、隣接する川崎市には虹ヶ丘団地があり、1976~1980年代に分譲されたもの。こちらも43棟という規模です。

古いものでは50年近くという団地ですが、その分、価格的にはお手頃。周辺にも同年代くらいの建物は多く、中古で探したいという人ならいろいろ探せるエリアと言えそうです。

ヨネッティー王禅寺付近は交通の結節点

ヨネッティー王禅寺
ヨネッティー王禅寺入口。各種教室なども開かれており、大人にも、子どもにも楽しい施設です(筆者撮影)

次の駅は川崎市麻生区の複合スポーツ施設ヨネッティー王禅寺付近に予定されています。この施設は川崎市のごみ処理場王禅寺処理センターの余熱を利用したもので温水プール、トレーニングルーム、レクリエーションルームなどが整備されています。

田園調布学園大学
左が田園調布学園大学。交差点を挟んで斜め右側にヨネッティー王禅寺があります。このエリアは東名高速を利用するにも便利です(筆者撮影)

近くには田園調布学園大学があり、もともと複数バス路線が行き交う地点でもあります。そこでここに新しく駅を造ることで、利便性をさらに高めようという計画でしょう。

共用施設充実の大規模マンションが多い地域

延伸される地域を、バスを乗り継いだり歩いたりしながら回って来たのですが、最後に住宅に関して。

マンションに関しては棟数のある、大規模な物件が比較的多い地域であることが目につきました。前述の団地はもちろん、それ以降に民間が分譲したマンションでも複数棟からなる、共有施設が充実した物件が少なくないのです。

戸建て、マンションは分布に違い

また、新百合ヶ丘からすすき野団地の手前までは通り沿いにマンションはあるものの、どちらかといえば戸建てが多く、すすき野からあざみ野駅までは逆にマンションが多い印象を受けました。もちろん、どちらのエリアも通りから入ると戸建てが中心ですが、戸建て、マンションのどちらを中心に検討するかを考える際には記憶しておいても良いのではないでしょうか。

住宅
住宅を眺めて歩いているだけでも楽しいエリアでした。実際に住むつもりで歩いてみるといろいろ発見があるかもしれません(筆者撮影)

開通までにはまだ時間がありますが、住環境にこだわりがある、健康的な暮らしを送りたいと考える人なら自然のあるこのエリアには魅力を感じることでしょう。都心に比べれば広く、庭のある住宅も手に入りやすくなるはずです。

(最終更新日:2024.04.19)
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