延床面積・建築面積・敷地面積とは? それぞれの違いを解説します

「延床面積」「建築面積」「敷地面積」はいずれも土地や建物の面積を表すものですが、それぞれの違いをご存じでしょうか? 家を建てるときや探すとき、これらの違いを知っておくと何かと役立ちます。そこでこの記事では、これら三つの面積の違いを解説するとともに、住宅の面積に関する規制を簡単に紹介します。

延床面積(建物面積)とは

延床面積は建物の全フロアの床面積を合計したもので、「建物面積」とも呼ばれます。建築基準法では、壁の厚みの中心から測る「壁芯(へきしん)面積」で床面積を計算するよう定められているため、実際に使用できる面積よりも広めになることに注意してください。

なお、マンションやアパートなど一棟の建物を区分した物件については、壁の内側から測る「内法(うちのり)面積」で登記するよう不動産登記法に定められています。

ちなみに、吹き抜け部分、手すりや外壁などで囲まれていない玄関ポーチ、外壁からの距離が2mを超えないベランダやバルコニーは延床面積の計算対象外です。また、一定の条件を満たしたロフトや地下室も延床面積に含まれません。

ロフト
収納スペースなどに利用されることの多いロフトは、以下の条件を満たした場合、延床面積から除外されます。

・面積が設置する階の床面積の2分の1以下
・天井高1.4m以下
・はしごが固定されていない

なお、自治体によっては固定されたはしごや階段が認められるケースもあるため、気になる場合は役所に確認するようにしてください。

地下室
延床面積は容積率に影響しますが、以下の条件を満たした地下室は延床面積に算入しなくてもよいことになっています。

・住宅の用途に使用する
・地下室の天井が地盤面から高さ1m以下にある
・地下室の床面積が建物全体の床面積の3分の1以下

地下室は防音性が高く、シアタールームやトレーニングルームなどに利用するケースが多いようです。建築費用は通常よりも高額になりますが、土地を有効活用できます。

建築面積とは

建築面積とは、敷地全体を上空から見たときに建物が占める面積のことで「建坪」とも呼ばれています。一般的には1階部分の面積を大きくとるため、1階の面積がそのまま建築面積になるケースがほとんどです。

ただし、1階よりも2階のほうが大きい場合は2階の面積が建築面積になります。建築基準法では建築面積を「外壁またはこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」としているので、建物に凹凸や斜面があっても水平と見なして計算します。

なお、軒やひさしなど、外壁または柱の中心線から突き出た部分については、端から水平距離で1m後退させた線から内側の部分が建築面積に含まれます。

バルコニー
軒やひさしと同じくバルコニーも外壁から突き出した部分ですが、1m以下の場合は建築面積に含まれません。1mを超えて突き出ている場合は、端から1m後退させたところからが建築面積になります。

つまり、水平距離で1m以下の軒やひさし、バルコニーは、はじめから建築面積に含まれないということです。ただし、1m以下であっても両側に壁や柱がある場合は、囲まれた部分が建築面積に含まれます。

玄関ポーチ
屋外にある玄関ポーチは基本的には建築面積に含まれませんが、ひさしつきのポーチで、柱でひさしを支えている場合や壁で囲まれている場合は建築面積に含みます。なお、玄関ポーチ自体は延床面積には算入されません。

車庫やカーポート
屋根付きの車庫やカーポートは建築物と見なされるため、建築面積に含まれます。一方、駐車場として舗装などの整備をしたスペースでも、屋根や柱がない場合は建築面積の対象外です。

敷地面積(土地面積)とは

敷地面積とは、上空から見たときの敷地全体の面積(水平投影面積)です。斜面や高低差があっても水平と見なして計測するため、実際の表面積よりも少なくなります。

なお、セットバック部分は敷地面積に含まれません。セットバックとは、自治体が指定した幅4m未満の道路に接している敷地では、道路の中心線から2m後退したところを道路境界線とする決まりのことです。セットバック部分には建物を建てることが禁止されているため、敷地面積から除外されます。

家の面積に関する規制

自分が所有する土地だからといって、建物の大きさや高さを自由に決められるわけではありません。建築基準法で建物の規模に一定の規制が敷かれているためです。ここからは、家の面積に関する規制として建ぺい率・容積率・高さ制限について解説します。

建ぺい率
建ぺい率とは「敷地面積に対する建築面積の割合」です。隣接する建物との距離が近すぎると通風や採光が妨げられ、快適に生活することが難しくなります。また、火災発生時には火が広がりやすく、被害が拡大する可能性があります。建ぺい率が設けられているのは、このような事態を防ぐためです。

建ぺい率は都市計画で決められた用途地域ごとに次のように上限が定められており、これを超える建物を建てることはできません。

なお、建ぺい率には緩和措置があり、次に該当する場合は10%が上乗せされます。ただし、さまざまな適用条件があるため、家を建てる前に役所に確認するようにしてください。

・防火地域内にある耐火建築物
・準防火地域内にある準耐火建築物
・角地またはこれに準ずる敷地で特定行政庁(自治体)が指定する地域内にある建築物

容積率
容積率は「敷地面積に対する延床面積の割合」で、建ぺい率と同じく用途地域ごとに上限が決められています。

前面道路の幅が12m未満の場合、上記の住居系8地域では前面道路の幅に0.4を乗じた数値から容積率が計算され、指定容積率と比べてより厳しいほうが適用されます。ただし、特定道路(幅15m以上の道路)に通じる前面道路の幅が6m以上あり、その特定道路から70m以内の距離にある敷地は、そのかぎりではありません。

カーポートやロフト、地下室などは延床面積から除外されますが、一定の条件を満たす必要があり、条件から外れた場合は容積率に影響するので注意してください。

高さ制限
建物の高さについては、次のような制限が設けられています。

【絶対高さ制限】
・対象地域:第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域
・建物の高さが10m以下または12m以下に制限される

【道路斜線制限】
・前面道路の反対側の境界線を始点として1.25倍の勾配角度で斜線を引き、その範囲内の高さにおさめる

【隣地斜線制限】
・隣地境界線上の高さ20m地点から1.25倍の勾配角度で斜線を引き、その範囲内の高さにおさめる
・絶対高さ制限の対象地域は適用外

【北側斜線制限】
・北側の隣地境界線上の高さ5mまたは10mを始点として1.25倍の勾配角度で斜線を引き、その範囲内の高さにおさめる
・第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域:高さ5mが始点
・第一種・第二種中高層住居専用地域:高さ10mが始点

まとめ

延床面積は各階の床面積の合計、建築面積は真上から見たときの建物の面積、敷地面積は建物が建つ(建てようとしている)土地そのものの面積です。それぞれの違いを押さえておけば、土地・建物の規模がイメージしやすくなるでしょう。

なお、建物の大きさは建ぺい率や容積率などで制限されますが、状況によって緩和されることがあります。家を建てる際に備えて把握しておくようにしましょう。

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